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ダンジョン第65階層【実録】『絶対納期まで残り6日!実績ゼロの泥臭い大博打と深夜11時の決死の救援要請』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️

01:インポッシブル・デッドライン〈絶望の猶予期限〉



青木工業という巨大な壁に対し、俺たちは泥水すするような直談判を決行し、なんとか首の皮一枚繋がった。

冷徹な伊藤統括導師(部長)の眼差しを前に食い下がったものの、安堵している余裕など俺たちには一秒たりとも残されていない。

残された時間は、絶望的なまでに少なかったのだ。


圧倒的死地…!


来週金曜日には、俺たちが提案した境界外の魔導委託(在宅システム)をフル稼働させ、完璧な状態での供物の奉納(納品)を済ませなければならない。


俺は追い込まれた極限状況の中で、緊急の戦術評議(ミーティング)を招集した。

集まった関係者は5人。

ギルドマスター(社長)、俺、清水さん、平野さん、山口さんだ。

そこには息をするのすらためらわれる重苦しい瘴気(空気)が立ち込めていた。


「今日集まってもらったのは他でもない」

「先ほど伊藤統括導師(部長)のところに出向き、改善案について提案をしてきました」


俺は低い声で顛末(てんまつ)を語り始めた。


「しかし、伊藤統括導師(部長)を完全に満足させるだけの提案にはなりませんでした」

「実績ゼロの境界外の魔導委託(在宅システム)に対し、彼らは明確な不安を感じているということです」

「ある意味、妥当すぎる判断です」


絶望的…!


これまでの歴史と信頼を重んじる大企業にとって、名もなき中小ギルド(中小企業)が持ち込んだ未知のシステムなど、リスクの塊でしかないのだ。




02:テレパシック・コマンド〈遠隔意識誘導〉



「来週の金曜日にこのシステムを使って供物の奉納(納品)を完了しなければならないという事実を共有するため集まりました」

「奉納の絶対刻限(納期)を死守し、絶対にミスがないことが絶対条件となります」


俺の言葉を聞いた瞬間。


ギルドマスター(社長)以外のメンバーは一様に驚きを隠せず、大きく息を呑んだ。

こんなにも早く実績のないシステムを本稼働させると想像していた者がいなかったからだ。

実質的にはテスト稼働と言いながら、そこで最終判断を下される大博打。

現場で実務に携わる本人たちには、計り知れない魂の重圧(プレッシャー)となるのは間違いない。


狂気…!


張り詰めた空気の中。

極度の緊張と焦りからか。

俺は場を和ませようと無駄に大げさなオーバーリアクションで力強く机を叩き、勢いよく立ち上がろうとした。

しかし、机の脚に思い切り膝をぶつけ、鈍い音を立てて床に悶絶してしまった。


「ぐふっ」という情けない声と共に、空気が一瞬にして完全に凍りつく。


『おい、おっさん!』

『勢い余って自爆してどうするんだワン!』

『そんなポンコツな身のこなしで、このクソゲー(社会)を生き残れると思ってるのかワン!』

『さっさと立ち上がって、貧弱な物理刃(自分軸)を振り回す覚悟を決めろワン!』


痛い。

膝の皿が割れるかと思ったが、魔犬ツンの言葉が心に突き刺さる。

俺は痛みを必死に堪えながら這い上がる。

真っ青な顔の3人に向かって、声を張り上げた。

「いでよ!!」

テレパシック・コマンド〈遠隔意識誘導〉!!

俺は声の熱量とタイミングで相手の意識を強制的に揺り動かす泥臭い魔法を放った。


「何も心配することはありません」

「あなたたちは、これまで膨大な時間と経験を有してきている」

「どんな理不尽な環境でも乗り越えてきたという自負があるはずです」

「それを3人が協力して乗り越える時期が、予定より少し早まっただけです」

「このヒリヒリするような緊張感を楽しみましょう」

「あの冷徹な伊藤統括導師(部長)を、我々の底力で見返してやりましょう」


希望的…!


本当は、俺自身の胃袋は魂の重圧(プレッシャー)で捻り潰されそうになっている。


しかし、己の物理刃(自分軸)を信じて前に進むしかない。

俺はギルドマスター(社長)に最終確認を投げた。


「進めていいですよね」


彼は勘弁した顔で、力なく軽く頷いた。




03:ミッドナイト・マナ・ドレイン〈深夜の魔力枯渇〉



「現実的に来週の金曜日に供物の奉納(納品)をすることは確定しています」


極限…!


「そこから逆算すると、魔導指導学校(資格学校)側で3日間で魔導錬成(作図)を仕上げる必要があります」


「そこから、清水さんにチェックをしてもらうのが1日」

「不備があった箇所は修正を行い再提出いたします」

「ここも1日となります」

「そして最終日に最終確認を行って翌日に青木工業へ提出するという流れになります」


その無情な工程表を見て、山口さんが顔を強張らせながら重い口を開いた。


「……本当にタイトなスケジュールですね」

「ミスすることは、ほぼ許されないということですよね」


俺ははっきりと残酷な真実を答える。


悪魔的…!


「おっしゃる通りです。」

「無駄を極限までなくし、修練度を上げることで短縮を図るしかありません」

「明確な縛理の書(ルール)を決め、魔導錬成(作図)の量が多い案件は、人数を調整して取り組むなど一定の工夫が必要になります」

「場合によっては、私とギルドマスター(社長)も最前線に加わって全員で泥臭くカバーします」


俺の決死の覚悟を聞き、細かいルールの確認と役割分担を済ませ、戦術評議(ミーティング)は解散となった。


平野さんと山口さんは清水さんから細かい説明を受け、魔導指導学校(資格学校)に戻り、息をつく暇もなく魔導板(パソコン)に向かい魔導錬成(作図)に取り掛かった。

しかし、実践での経験が少ない彼女たちにとって、すんなりと事が進むはずはなかった。



焦燥…!


時計の針が夜11時を過ぎる頃。

俺の執務スペースに、幽鬼のように浮かない表情をした二人が訪ねてきた。

彼女たちの目は血走り、ミッドナイト・マナ・ドレイン〈深夜の魔力枯渇〉によってMP(精神力)が完全に枯渇しているのが見て取れた。


「どうしたの。魔導錬成(作図)は順調ですか?」


平野さんたちは黙ったまま立ちすくんでいた。限界を超えた疲労のせいか唇が微かに震えている。


長い沈黙の後。

彼女が重い口を開いた。


「それが……かなり苦戦しています」

「魔導錬成(作図)の作業自体は問題ないのですが、青木工業独特の縛理の書(ルール)があって……」

「それを一つ一つ確認したり修正したりする時間が、思った以上にかかってしまうんです」




04:エマージェンシー・ソウル・コール〈深夜の緊急通信〉



理不尽…!


俺はその報告を聞きながら、最悪のシナリオが現実になりつつあることを悟った。

ただでさえギリギリのスケジュールの中で、想定外の確認作業に時間を奪われる。

間違いなく奉納の絶対刻限(納期)には間に合わない。


「なるほど」


「状況はよく分かりました」

俺は少し考えた上で、彼女たちに一つの決断を告げた。

「それであれば、ここに清水さんを呼びましょう」


「いつでも直接聞ける環境を作って、3人で進めるしかないです」


限界…!


ある意味。

厳格に言えば「境界外の魔導委託(在宅システム)で2人で完結させる」という当初の目的からは外れるかもしれない。

だが、MP(精神力)が枯渇している彼女たちをこれ以上孤立無援で戦わせるのは、プロジェクトの完全なる崩壊を意味する。

慣れるまではこの環境を強制的に構築するのがベストだ。

俺はすぐさま通信魔導具(携帯電話)を手に取り、深夜であることを承知の上で清水さんに連絡を取った。



俺は緊張のあまり、無い髪をかきあげる仕草をしてしまい、空を切った手が自らの額をペチッと虚しく強打する。

赤く腫れた額をさすりながら、声のトーンを落とし、俺の全人生を乗せた魔法を放った。

「いでよ!!」

「エマージェンシー・ソウル・コール〈深夜の緊急通信〉!」


俺は切実な思いをぶつける。


「清水さん」

「夜分遅くに本当にすいません」


俺は声のトーンを落とし、切実な思いをぶつける。


「清水さんに、どうしてもお願いしたいことがあります」

「明日から魔導指導学校(資格学校)に出向いて仕事をしていただくことは可能でしょうか」

「平野と山口が思った以上に青木工業の縛理の書(ルール)に苦戦しているんです」


無慈悲…!


「念話(デバイス越しの通話)でやり取りをしているタイムロスは致命傷になります」

「直接やり取りを行って、彼女たちの練度を強制的に高めていただきたいのです」

「どうか、お願いします」


通信魔導具(携帯電話)の向こうで一時の重い沈黙が流れた。

俺の額から再び冷たい脂汗が滲み出る。

そして、清水さんが静かに口を開いた。


「……一つだけ、条件があります」


致命的…!


「私の家からそちらまでは少し遠いので、出勤する時間は通常の1時間遅れでお願いします」

「帰る時間も同様に1時間早く帰らせてもらいます」

「それでよろしければ行きますが、ギルドマスター(社長)には言っておいてください」


清水さんの実生活を考えれば当然の要求だ。

俺は即答し、ギリギリの状況下で究極の選択をリアルタイムで行った。


刻々と時間が削られていく中で、焦りだけが支配していく。

残りあとわずか6日。

この絶望的な修羅場を乗り越えられる保証など、どこにもないのだ。




次回予告:【ダンジョン第66階層】


残り時間は容赦なく削られ、疲労困憊の陣列に新たな亀裂が走る。

清水さんを魔導指導学校(資格学校)に召喚した決死の防衛線は、果たして青木工業の複雑怪奇な縛理の書(ルール)という魔物を打ち破れるのか?

極限状態での魔導錬成(作図)が続く中。

ついに恐れていた事態が勃発する。

迫り来るタイムリミットと限界を迎えるMP(精神力)の前に、俺たちのアナログな執念は無残にも砕け散ってしまうのか!?

最後までお付き合いありがとうございます。



【迷宮の深淵へようこそ】


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