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ダンジョン第64階層【実録】『絶望の試練!背水の陣で放つアナログ防壁とギルドマスターの涙』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️

01:アイソレーション・デスパア〈孤立無援の憔悴〉



昨日構築した魔導設計書(提案書)を握りしめ、俺は朝一番で田中工業へと向かった。

扉を開けると、そこには目を覆うほどの暗雲が立ち込めていた。

絶望的…!

ギルドマスター(社長)は、深くソファに腰を下ろしていた。


まるで全魔力を吸い取られたかのように、疲労困憊しきった顔だ。

青白い表情の奥に悲しい瞳が私をじっと見つめてくる。

「社長、大丈夫ですか」

俺は隣に座り、静かに声をかけた。

「昨日は眠れなくてさ」


「気が狂いそうだよ……」

無理もない。


田中工業の宝物庫(売上)の実に70%は、青木工業からの奉納金に依存している。


圧倒的依存…!


当然、この盟約(契約)が途絶えれば、田中工業は即座に廃業へと追い込まれる。

今までそんな危機を微塵も想像していなかったギルドマスター(社長)にとって、まさに青天の霹靂。


命綱が切れる寸前の状態なのだ。


俺は極度の緊張から、幻の前髪をかきあげようとして、うっかり自分の頭皮を直接ガリッと強く引っ掻いてしまった。


パラパラと落ちるフケ。

そして、無駄に響き渡る関節の鳴る音。

『おい、おっさん』

『ハゲ頭から絶望の粉雪を降らせてる場合じゃないワン』

『お前のその哀愁漂う加齢臭のオーラ自体が、ギルドマスター(社長)への最大のデバフになってるワン 』


頭の奥で、魔犬ツンの容赦ないジャッジメント・サタン(魔犬の正論)が突き刺さる。

相変わらず、可愛げのない駄犬だ。

だが、ツンの言う通りである。

ここで俺がアイソレーション・デスパア〈孤立無援の憔悴〉に囚われている暇はない。

「ギルドマスター(社長)」

「先日宿題をいただいておりました課題解決について、ご説明させていただきます」


俺は姿勢を正し、ギルドマスター(社長)に向き直った。



02:アナログ・ソリッド・ディフェンス〈物理的鉄壁防御〉



「まず、結論は伊藤統括導師(部長)の条件をすべて飲むことになります」


俺の言葉に、ギルドマスター(社長)の肩がビクッと揺れた。


戦慄的…!

「その上で、こちらから対抗策を講じます」

俺は魔導設計書(提案書)を広げ、詳細な術式を語り始めた。


「まず最初に、この境界外の魔導委託(外注)システムを軌道に乗せるため、当面はうちの魔導女師(女性講師)の平野と山口の2名を専属で対応させます」

ギルドマスター(社長)の目がわずかに見開かれる。


「そして、青木工業が最も懸念している魔法情報の流出(情報漏洩)です」

「これに関しては、魔導指導学校(資格学校)東都校にある『鍵付きの個室』で作業を完結させます」

極限的…!

「さらに、使用する魔導板(パソコン)についても固定式のものを新たに用意する」

「太い骨格線(ワイヤー)で物理的に机へ縛り付け、絶対に持ち出せないように固定します」

これこそが、私の泥臭い物理刃(自分軸)の極致。

最新鋭の自律結界(セキュリティソフト)という超高位魔法には頼らない。

骨格線(ワイヤー)で縛り付ける生々しいまでのアナログ・ソリッド・ディフェンス〈物理的鉄壁防御〉を展開するのだ。

「平野と山口の2名が、作業の最適律(効率性)をある程度の代償印(担保)できる状態になった段階で、次の信徒(卒業生)たちへ順次業務を渡していくようにします」

私はさらに言葉を重ねる。

「その時間を稼いでいる間に、信徒(卒業生)たちの因果照会(身辺調査)を実施します。そこで、作業環境や条件のすり合わせを行います」

「条件の合った信徒(卒業生)に対し、独立傭兵の契印(業務委託契約)の中に厳密な秘匿呪縛(機密保持条項)も記載しておきます」

「すべての条件が揃った信徒(卒業生)に対してのみ指導を行い、少しずつ作業を渡していく」

「そして、平野と山口にチェックをさせます」

「最後に、御社の専任執行官(担当者)の方に最終チェックを行っていただく、という流れです」


ギルドマスター(社長)は、青白い表情のまま、私の言葉をじっと飲み込むように聞いていた。

静寂的…!

やがて、絞り出すように呟いた。

「本当に……それで大丈夫だろうか」

「私は心配でならないよ」

震える声。


それは組織のトップが抱える生々しい魂の重圧(プレッシャー)だった。

私はギルドマスター(社長)をなだめるように、そして自分自身に言い聞かせるように、真っ直ぐに目を見てトゥルー・アンロック〈真実の心解錠〉を放った。

「必ず、大丈夫です」


「私たちがうまくいかせます」

その声の熱量に触れ、ギルドマスター(社長)は小さく頷いた。

「……そうだよね」

まるで、自分自身を落ち着かせるかのようなかすかな呟き。

最終的に、ギルドマスター(社長)もこの魔導設計書(提案書)に同意した。



03:アブソリュート・ジャッジメント・ルーム〈絶対的審判の執務室〉



その週末。

金曜日の午後3時。

凍てつくような冷たい日差しが差し込む中。

俺たちはこの解決策を手に青木工業の伊藤統括導師(部長)の元へと向かった。

案内されたのは、静かでだだっ広い執務の間(会議室)。

中央に巨大なテーブルが一つだけ置かれている。


俺たち2人が並んで座り、じっと待つ。

息が詰まるようなアブソリュート・ジャッジメント・ルーム〈絶対的審判の執務室〉の空気が、肌を刺す。


ヒリヒリ…!


バンッ!

扉が開く。

忙しそうに通信魔導具(電話)で誰かと怒鳴り合いながら、伊藤統括導師(部長)が入ってきた。

念話(電話)をガチャンと切るなり、開口一番!!

鋭い声で言い放った。


「それで、どうなんだい」

「条件通りにいきそう?」

ここは、絶対に説明のミスがあってはならない戦場(フロント・ライン)。

私は満を持して、深く息を吸い込み、口を開いた。



「はい」

「伊藤統括導師(部長)の条件通りに私たちは対応することが可能です」

「ほう。それは安心したよ」

「……で、具体的にはどんな内容なんだい?」

俺は田中社長に説明したように、極めて丁寧に、そして論理的に、アナログ・ソリッド・ディフェンス〈物理的鉄壁防御〉の全容を伊藤統括導師(部長)に説明した。


無慈悲的…!


伊藤統括導師(部長)は、口をへの字に曲げ、腕組みをしたまま、氷のような視線でこちらを睨みつけている。

そして、重々しい口調で切り捨てた。



「う〜ん…………」

「確かにある一定の提案ではあると思う」

「しかしね」

「それは本当にうまくいくのかね?」


冷酷的…!


「賢者の耳障りの良いロジック(机上の空論)なら、いくらでも言うことはできるよ」

「実際に経験のない信徒(卒業生)たちが、そのレベルの作業で断絶の境界線(締め切り)である3日を守れるのかね?」

「百歩譲って、あなたたちの優秀な魔導師(講師)さんたちならできるのかもしれないがね」


空気が凍りつく。

私も田中ギルドマスター(社長)も、言葉を失い、黙り込んでしまった。


悪魔的…!



04:アルティメット・サクリファイス・オファー〈背水の陣の直訴〉



永遠とも思える、1分ほどの沈黙。

ドクン…ドクン…!

心臓の音。


鼓膜の奥でうるさいほどに響く。

このままでは、全てが終わる。

私は腹の底から力を振り絞り、口火を切った。

「それでは、この仕組みで一度試練の供物奉納(テスト納品)をさせてください」



伊藤統括導師(部長)の眉がピクリと動く。



「その上で、もしうまくいかないようなことがあれば、今まで通りのやり方で田中工業の誓約兵(社員)の方に供物の奉納(納品)していただきます」

「もちろん、その場合の供物の奉納(納品)の等価値(価格)は、10%の奉納金(売上)の削減の金額でやらせていただきます!」


驚愕…!


私は完全に独断先行で、アルティメット・サクリファイス・オファー〈背水の陣の直訴〉を発動した。

自らの退路を断ち、物理刃(自分軸)だけで相手の懐に飛び込む決死の魔法だ。

横に座る田中ギルドマスター(社長)は、まさに寝耳に水。

驚きのあまり口をポカンと開けたまま、完全に固まった表情で私を見つめている。



それを聞いた伊藤統括導師(部長)は、何やら値踏みするように顎をさすり、ゆっくりと口を開いた。



「ほう……分かりました。チャンスをあげましょう」


安堵…!


「次の1週間後」

「その仕組みで供物の奉納(納品)してください」

「絶対刻限(納期)と不備(ミス)がなければ、その仕組みによって行うことを認めましょう」

「その上で、新しい盟約(契約)を結ぶことにします」

「しかし、うまくいかなかった場合には……」

「田中工業との盟約(契約)は、アブソリュート・パージ(理不尽な契約解除)とさせていただきます」


絶望的…!


あまりにも冷徹な最後通告。


田中ギルドマスター(社長)は、思わず声を震わせて叫んだ。


「そ、そんな……」


「あんまりじゃないですか!」


俺は無言のまま……。

田中ギルドマスター(社長)の震える肩に手をそっと置き、その場をなだめた。

これ以上交渉すれば、わずかなチャンスすら失う。

青木工業の巨大なビルを出て、会社へと戻る帰路。

夕暮れの瘴気(息苦しい空気)が、俺たちを重く包み込んでいた。

田中ギルドマスター(社長)は肩をガックリと落とし、泣きそうな声で私に呟いた。



「本当に……大丈夫なんだろうね」

「なんとかしてくれよ……」

俺たち二人の背中には、どうしようもない寂しさと恐怖がまとわりついていた。

振り返ることは許されない。

これから待っている試練の供物奉納(テスト納品)に向けて、待ったなしの極限状態が続いていくのだ。



【次回予告:ダンジョン第65階層】


猶予はわずか1週間。

未経験の信徒(卒業生)たちを巻き込んだ、泥臭すぎるアナログ戦術は、果たして巨大企業の要求を満たすことができるのか。

だが、現場に立ち込めるのは不穏な暗雲。

想定外のエラーと、迫り来るタイムリミットが、おっさんと女神たちのMPを容赦なく削り取っていく。

絶体絶命の窮地に立たされた時、冷徹なる大魔女が放つ無慈悲な一言とは――!

最後までお付き合いありがとうございます。


【迷宮の深淵へようこそ】


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覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。

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