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泰夢(たいむ)のお話:19

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泰夢も人間関係に悩みます!
それでは、どうぞ!!

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 とつぜんにせなかをたたかれて、泰夢(たいむ)はせきこんだ。
 たたかれた、といってもそれほど強くはなくて、軽くおすぐらいの強さだったかもしれないが、つくえにおいたデイパックをかかえるようにして体をふせていた泰夢にとっては━━そして、例の女子のことをいろいろと深く考えていたので━━思わずせきこんでしまったのだ。
 なので、泰夢を取り囲んだ三人の男子たちも、やり過ぎたと思ったのか、さっきはおこった感じで「なにしてんだよ!」と声を上げたが、すこし調子を落として「ここで、なにしてるんだ」ともう一度口を開いた。
 三人の男子はどうやら地元の子どもらしく、この教室で「夏休み強化コース」を受けることから考えると、泰夢と同じ学年なのだろう。
 夏らしい半ソデのTシャツとパンツに、それぞれ「学習スクール」であつかっているかたがけカバンを持っていることからも、それがわかった。
「…………」
「おまえ、なんとか言えよ」
 めんどうくさい事になったなぁと思い、同時にどうやってここをやりすごそうかと考えている泰夢に、三人のうちのひとりがそう言った。
 せが高くて体つきもがっしりとしていて、あとの二人がその後ろに立っているところから見ると、どうやら三人組のリーダーと言った感じだった。
「耳が聞こえないんですかぁ? オレの言うこと聞こえてますかぁ?」
 リーダーがそう言うと、後ろの二人がクスクスと笑い声を立てた。
「べつに、聞こえてるけど…なに?」
 つくえから体を起こし、イスに深くすわり直して三人組の方を向く。
「お前がいるとこ、オレたちの場所だからどけよ」
「そーだよ、カズくんのいうとおりだぜ」
「おまえ、勝手にすわってんなよな」
 カズくんと言うらしいリーダーの男子が言うのに合わせて、後ろの二人も声を上げる。
 こちらをからかうような感じが、泰夢は気になった。
(ああ、ホントにめんどうな事になったなぁ…)
 泰夢は、自分の方から友だちをどうこうするのはきらいだし、その逆もきらいだった。
 そういう事をする友だちには、きちんと言う事にしている。
 だが━━
 ここは初めての場所だし、そして自分がまだよく知らない人がいるところだった。
 いつもの泰夢ならばこういう時は━━とくにそうした時の最初のうちは━━なるべく目立たないようにして、まずは素直に三人組の言葉をきいて、場所を移動するのだろうけれども、いまはこの場所から動けなかった。
 どこかに移ろうかと考えて、さっと教室内に目を回したけれども、席はだいぶうまりはじめていて、ここから動けばあの女子に近い場所に行かなくてはならなそうだったのだ。
 泰夢がどうしようかと考えていると、リーダーがもう一度口を開いた。
「どけよ……」
 さっきの時よりもだいぶおこっているような声音だった。
 こっちをむりやりどかそうとするような感じがして、そしてその言い方に泰夢もすこしはらがたった。
「……なんでだよ。ここ、お前の席って決まってるの?
 べつに名前とか書いてなかったし、学校じゃないんだから道具箱だってないだろ。
 それに夏休みの強化コースだから、みんな勝手に席決めてるっぽいし。
 だったら、ここにすわるのはオレの方が早かったんだから、そっちが他に行けばいいじゃんか!」
 そう一気に言ってしまってから、しまったと思った。
 さっきからの例の女子のモヤモヤとした気分もあって、つい強い感じで言ってしまった。
 だいじょうぶか……と思って三人組の方をみると、案の定びっくりしたような顔で泰夢を見て、そしてそれぞれに顔を見合わせるようにして、その場からはなれるそぶりを見せた。
(あー、やっちゃったか……)
 その様子を見、泰夢はもう一度つくえの上のデイパックをだきかかえるようにすると、三人組にせを向けてさっきのように体をどさりとあずける。
(アイツも……また、こっちを見てたよな)
 三人組に言い返している間に、ちらりと例の女子のすがたが目に入った。
 こちらを見ていて、こともあろうか心配そうな顔つきをしていた。
(ちぇ、もうイヤだよ……)
 夏休みの間の、しかも学習スクールに通う時だけの場所なのだから、なるべく目立ちたくなかったし、だれともかかわりあいになりたくなかった。
 だが、いまので泰夢は確実に、少なくともこの三人組と、そして━━なぜそうなのかは、いまだに分からないけれども━━例の女子の四人に、自分の事を知られてしまった。
 「あいつ、よそから来たヤツだぜ、きっと…」と三人組がしゃべりながらはなれていくのが聞こえた。
(━━でも泰夢はやさしい子だからだいじょうぶ。
 こっちでもすぐに友だちができるよ━━)
 昨日の夜に祖母がそう言っていたのが頭にうかぶ。
(友だちなんていらないし、オレはいますぐ家に帰りたい……!)
 三人組に強く言い返したからか、あの女子の心配そうな表情を見たからか、よく分からなかったけれども、むねの真ん中あたりがグルグルとし、そのグルグルはのどから鼻の方へあがって目の周りを熱くして、そして、少しなみだがにじむ。
 そんな泰夢のせなかに、授業の始まりを告げるチャイムが鳴りひびいた。
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ようやく授業が始まるようです!
では、次回もお楽しみに!

小林るい


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