泰夢(たいむ)のお話:15
新シーンに突入。バスが終点の駅に到着です。
それでは、どうぞ!!
===============
・シーン1-2:さわがしい駅前のロータリーで
だれかから、強くかたをゆさぶられたような気がして、泰夢(たいむ)は目を覚ました。
(わっ! オレってば、完全にねちゃってたぞ━━!)
泰夢が乗っていたバスは、終点である駅前の停留所にとまっていて、大きくもり上がった植えこみがあるロータリーの、そのはしっこの所で静かに次の発車を待っている。
ぼんやりとする目を強くこすってねむけを覚ますと、あわててイヤホンをはずしてまわりを見回す。
バスの車内にはもうだれもいなくなっていて、デイパックをかかえた泰夢だけがポツンとすわっている状態だった。
泰夢が目覚めたのを見て、バスの運転手さんが「終点についたよ」と教えてくれた。
運転手さんにお礼を言って、荷物を整えるとあわててバスから飛びおりて、駅前の広場に出る。
「あっちいなぁ……」
祖母の家からはだいぶ山を下ってきたのだろう。
このあたりまで来ると、バスに乗ったときの、あのすずしくてさわやかな感じの空気ではなくなっていて、どちらかと言うと、泰夢の住んでいる街に近いような気がする。
少し太陽が高くなってきたのもあってか、アスファルトの道路から強い照り返しの熱さも感じる。
「えっと、駅がここでバス停がここで…ってコトは、あっちか?」
バス停のところに建てられた雨よけの屋根の下に入り、ベンチにデイパックをおいて学習スクールのプリントを引っ張り出し、目の前でぐるぐる回しながら、今の場所と地図を合わせるようにして見ていく。
学習スクールの方向にある駅前の大通りに目をやると、それらしい感じの子どもが、ひとり、ふたりと同じ方向へ歩いていくのが見えた。
「うん、やっぱりあっちで合ってるみたいだ」
目的地を確にんした泰夢は、もう一度地図をのぞきこんで頭を上げると、キョロキョロとあたりを見回した。
もうひとつの目的地である「コンビニ」がどこにあるのか、どちらかと言うとこちらが大事なので、念を入れて地図を何度も見る。
「あ…、あった! よっしゃぁーっ!!」
すぐに見慣れたコンビニのかんばんを見つけた泰夢は、スマホで時間をチェックし、学習スクールの始業時間まではまだ間があったので、ロータリーからぐるりとコンビニの目の前を通っていく。
「やった、すわるトコあるじゃん! 通信もできるっぽい!」
コンビニのまどに両手をつけて、そこからのぞくようにして中を見た泰夢がそう声を上げた。
これなら昼休みや学習スクールの授業が終わった後に、学校の友だちたちとゲームでいっしょに遊ぶこともできるだろう。
すっかり気分が良くなった泰夢は、軽くスキップをしながら学習スクールの方へと歩いていく。
駅前の通りに入って進んでいくと、子どもの数がだんだんと増えていき、その先の方に、目立つ水色のハッピに白いハチマキをした、スクールの講師らしい大人のすがたが見えた。
そのまま他の子どもたちの後について歩いていくと、駅の大通りにあるひさし屋根の下に学習スクールのかんばんがあり、そうして、その建物の前で泰夢は思わず足を止める。
(う、ウソだろ…こんなトコロで?)
そこに建っていたのは、泰夢がいつも通っている教室があるようなビルではなく、木でできたオンボロの一階建ての家みたいな建物だった。
===============
泰夢の予想を大きく裏切るオンボロ教室…
では、次回もお楽しみに!
小林るい
