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泰夢(たいむ)のお話:27

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美味しいご飯でお腹いっぱいになった泰夢は……?
それでは、どうぞ!!

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「ごちそうさまでした!」
「はーい、おそまつさまでした。
 どうだい? おなかはちゃんといっぱいになったかい?」
「うん! おばあちゃん、おいしかったよ!
 私、かたずけ手伝うね!」
「あっ、オレも……じゃなくて、ボクも手伝う━━」
 テーブルの上に山もりに乗っていたごちそうはみんな無くなって、今は空になった食器がたくさんならんでいる。
 どっこいしょと声を上げる祖母に、華恋(かれん)も軽い身のこなしでイスから飛び出し、そして少し遅れて、はち切れそうにパンパンになったおなかをさすりながら、泰夢(たいむ)もようやく立ち上がった。
 トリのカラアゲも大きなハルマキも、どれもこれも本当に美味しくて、泰夢はわれをわすれてモリモリと食べ、一方の華恋も泰夢に負けじとばかりに次から次へ口に運び、そして、そんな二人の様子を祖母が幸せそうに見つめながら、おかわりはだいじょうぶか、何か飲み物を出そうか、とめんどうを見る。
 最初はむちゅうになって食べるばかりだった泰夢と華恋だが、少しずつおなかがふくれたころから、ポツリポツリと言葉をかわすようになり、そこに祖母が入ることで、いつの間にかおたがいの事を話すようになっていた。
 華恋と祖母の話では、華恋は泰夢が考えていたとおり━━そして、この考えが当たったことが、泰夢をより気分良くさせ、それまでの暗くて重たい気持ちや華恋を苦手と思う心を少し軽くしてくれた━━祖母の家から川をはさんだ向こう側に住んでいて、川のガケをくだったところにある古い人道用のつり橋をわたれば、一〇分もかからないというご近所さんのようだった。
 また、華恋の母は夜おそくまでの仕事をしているらしく、夜はこうして泰夢の祖母の家により、いっしょにご飯を食べたり勉強をしたりして母がむかえに来るのを待っていることがよくあるという話だった。
(……だから、ばあちゃんのこともよく知ってるし、
 自分んちみたいにして家に入ってったのか)
 理由が分かってしまえば、華恋のなぞの行動もどうということはなく、泰夢も大いになっとくをした。
(そっか……
 泰夢くんって、弟か妹ができるんだ…いいなぁ)
 一方の華恋もまた、泰夢と祖母の話から泰夢の家に新しく赤ちゃんが生まれることや、そのために一人でこの家にやってきた事を知った。
 もちろん泰夢の祖母から、孫が来るから面どうを見てやってほしい、と言われていたのでなんとなく事情は知っていたけれども、こうして目の前で二人が話しているのを聞きくと━━帰りのバスの中での泰夢がやったことは、まだ許す気持ちにはなっていないけれども━━慣れない土地に一人で来て、心細かったりさみしくなったりするんだろうな、と泰夢のことを思い、そして少なくとも泰夢がもう少し落ち着くまでの間は、私がちゃんと見てあげなくちゃと気持ちを改める。
「……寺田さん、こっちはもうふくヤツ無くなったよ」
「あ、そうなの?
 それじゃあ、これで終わりだね。
 ━━ねぇ、おばあちゃん。私たち、ほかに手伝うことある?」
「ありゃ、もう終わっちゃったのかい!
 泰夢と華恋ちゃんが助けてくれたから、もうすっかり片付いちゃったよ。
 あとは明日の支度だから、ばあちゃん一人でやるから。ありがとねぇ。」
 祖母が食器を洗い、泰夢が拭き、華恋がそれを棚にしまう。
 みんなで協力をして後片付けをすませ、ようやく一息ついた泰夢は、食後のデザートだと祖母からもらったプラスチックの器に入った水ようかんと、むぎ茶の大きなコップを両手に持って、あの大きなソファでゆっくりしようと居間へ向かう。
「ねぇ、泰夢くん。上にいこうよ!」
 と、そこへ華恋が声をかける。
「へ……?」
「それ、こっちにちょうだい。
 ━━おばあちゃん、私たち二階で勉強してくるね!」
 そう言い、ポカンとする泰夢の手から水ようかんと麦茶を取っておぼんに乗せると、自分の分も合わせて乗せて、階だんの方へ向かった。
 せっかくゆっくりしようと思ったのに……と、ぶつくさ小声でいいながら、泰夢もしかたなくその後に続く。
 祖母の家の二階には二つの部屋があり、ひとつは昨日に泰夢がねとまりした父が昔使っていた部屋と、もうひとつは父の妹、つまり泰夢のおばの部屋だった。
 階だんをのぼって向かって右側にあるおばの部屋のドアを、華恋がおぼんを持った手で器用に開けると、そのまま中にはいっていく。
(…えっ、もしかしてコイツって、こっちの部屋使ってんの?)
 その華恋の慣れた様子に泰夢はおどろいて、その場でかたまってしまう。
 ドアの前に立ったままいっこうに入ってこない泰夢に、華恋はするどい目ででにらみながら、
「入って、早く!」
と、ちょっと強い口調でよんだ。
「…………」
 自分はいったい何をしたんだろう、たしかに華恋のことは苦手だけれども、いっしょにごはんを食べて少しだけれども話もして、後片付けも協力してやったのに……
「━━う、うん」
 小さな声でそう返事をし、まるで先生から急に職員室によばれたような、不安だらけの気持ちで、そのおばの━━そして、たぶん今は華恋の━━部屋に入っていった。
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学校の職員室って、独特な雰囲気がありますよね!
では、次回もお楽しみに!

小林るい


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