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泰夢(たいむ)のお話:38

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華恋のお母さんはどんな人なのでしょうか?
それでは、どうぞ!!

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 もちろん泰夢(たいむ)も、自分の後ろに続いて階だんからおりてくる華恋(かれん)の事は知っていた。
 けれども、げんかんの所にいた女の人を見て、思わず立ち止まってしまったのだ。
 後ろからつまった華恋が泰夢にすこしぶつかり、そのひょうしにコップの乗ったおぼんがカチャンと音を立てたけれども、それでも泰夢はその女の人から目がはなせなかった。
(キレイな人だなぁ……)
 頭の中にはぼーっとそんな言葉がうかんでいる。
 たぶん自分の目を引いているのは、その女の人が着ている服なんじゃないかなかと泰夢は思った。
 母が授業参観の日に来てくるような感じの服を、もっとしっかりさせたような服を着ていて、かみの毛もキチンとまとめている。
 その人が華恋の母であることは、パッとみてすぐにわかった。
 顔付きもそうだけれども、そうしてげんかんに立っている感じなんかは、今日の朝にバス停で見たときの華恋ととてもよく似ていた。
(華恋ちゃんもきっと、
 大人になったらこんな感じになるんだろうな……)
 そんな事をふと思って、なんとなくはずかしいような、むねのおくの方がムズムズとするような、そんな気持ちになる。
「泰夢くん、止まってないで早くおりてよ!」
「……あ、ゴメン」
 後ろから華恋にそう強く言われ、ハッとした泰夢があわてて下のろうかまでおりる。
 そんな二人のやり取りを見て、女の人がスマートフォンを口元にしながらクスクスと笑った。
「そっか、そっか……あなたが、泰夢くんね!
 初めまして、わたしが華恋の母です。
 ━━もし華恋が失礼なコトをしたら、えんりょせずに言ってね!」
「あ……はい。
 いえ、あの……その、失礼とかないです。
 オレ━━じゃなかった、ボクの方がいろいろ教えてもらって……」
「もう、お母さん、余計なこと言わないで。
 ━━泰夢くんも、ボクじゃなくて、オレでって約束したでしょ?」
「あ、そうだった……でもさ、
 でも、華恋ちゃんのお母さんとはいまが初めてじゃん。
 だからさ、オレじゃなくてボクの方がよくない?」
「ううん、ダメ!
 わたしと約束したんだから、そっちが先なんだよ!
 それにわたし、ボクっていう泰夢くん、あんまりスキじゃない」
「……そ、そんなコト言ったってさ、
 オレ、目上の人や大人の人にはちゃんとしろって、
 父さんや母さんにいっつも言われてるし━━」
「ぜんぜん心配しなくて、だいじょうぶだよ。
 ウチのお母さんにはそれでいいの。
 わたしといっしょで、お母さんもふつうの方がいいんだから━━」
 と、華恋がトートバックをかたに、泰夢が両手におぼんを持って、さっきまでのように、ああでもないこうでもないと話し始めるのを見て、華恋の母が声を出して笑った。
「もう━━二人とも、すっかり仲良しになったのねぇ!
 お母さん、少し心配してたのよ」
「心配……?」
「うん、そうよ。
 泰夢くんがおばあちゃんの家に来るって話になってから、
 華恋ってばずーっと、どんな子が来るんだろう……
 仲良くできるかな……って、毎日のように言ってたんだから」
「━━ちょ、ちょっと!
 もうーっ! お母さん、だまってよ!」
「はーいはい、ゴメンなさーい!」
 華恋がこぶしをふり上げて文句を言うのへ、華恋の母はコワイコワイと笑いながらにげるそぶりをする。
(華恋ちゃんと華恋ちゃんのお母さんって、
 マジで仲いいんだな……)
 声を上げて笑いながら、そんなふうにふざけあっている二人を見て泰夢はむねがあたたかくなるような気がして、そうして同時に、自分もちょっと前までは母や父とそうやって話していたんだなぁということを思い出し、少しさみしい気持ちにもなった。
 そんな泰夢の思いを察したのか、華恋の母は泰夢にかた目をつぶってみせると、すっと手を差し出す。
「……泰夢くん、華恋とお友だちになってくれてありがとう。
 これからも、華恋のことよろしくね」
「は、はい……
 オレも、おねがいします!」
 華恋の母のとつぜんの行動にびっくりしながら、持っていたおぼんをくつ箱の上にあわてて置くと、自分の手を見て、あせになっているかもしれないとおしりでグイグイとていねいにふいてから、差し出されたその手をにぎってあくしゅをする。
 コンビニエンスストアで華恋と初めてあくしゅをしたのを思い出し、その時と同じようにどういう風ににぎっていいのかとまどったけれども、そっと重ねた華恋の母の手は、華恋と同じように少し冷たくて、そして、思っていたよりもあたたかかった。
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友だちと一緒にいて親と話す時は、ちょっと悩みます。
では、次回もお楽しみに!

小林るい


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