コンビニで15分。トイレに行ったはずの息子は…
数年前、我が家が家の購入を検討していた頃の話だ。
夫も私も実家が近いわけではなく、希望のエリアは割と広かった。だからいろいろな建売を、不動産屋さんに紹介してもらいながら見て回っていた。
まだハナは新生児、リクは9歳だったと思う。
その、帰り道のことだった。
急にリクが言い出した。
「トイレ!漏れそう」
最寄りのコンビニに車を停めて、トイレに行くように促した。
15分経っても、出てこない
ハナが生まれたばかりだったし、リクはトイレに行くだけ。コンビニの駐車場に停めているのだから大丈夫だろう、と車で待っていた。
ちなみにこの頃は、リクがいて里帰り出産が難しかったため、遠方から私の母が手伝いに来てくれていた。車には、母と、生まれたばかりのハナもいた。
ところが、15分経っても、リクがなかなか出てこない。
「ちょっと遅いなぁ」
「大きい方だったのかな。大丈夫かな。トイレ、混んでるのかも」
さすがに心配になってきて、母に車をお願いして、私は店舗に入った。
すると…
そこに、いたのは
店舗に入ってすぐ、車からはちょうど死角になって見えない場所で、リクが漫画を立ち読みしていた。
完全に、集中しきっている。私が来たことにも、もちろん気づいていない。
「リク!」
そこでやっと、リクは顔を上げた。それでも、まだ状況がわかっていない。漫画に没入していたせいで、自分が今どういう状況なのか、把握できていない様子だった。
「トイレに行くって言ったのに!みんな車で待ってるのに、何してるの!?」
リクは、漫画を持ったまま、怒っている私の顔をただ見ている。反省している顔では、なかった。
私は漫画を取り上げて棚に戻し、リクを連れて車に戻った。
大人3人が、同時に感じた「違和感」
もちろん、そんなこととは知らない母と夫は、やさしく声をかけた。
「大丈夫だった?混んでた?」
「トイレ間に合った?お腹、どう?」
そう、15分も出てこないというのは、普通はそういうことだと思うだろう。
そこで私の答えを聞いて、みんな、愕然とした。
そして当の本人は、まったく反省していない。なんなら、少しムスッとしている。謝罪も、ない。
このとき、大人3人が同時に、同じことを感じた。
「何か、おかしいぞ」
その日の夜、リクが寝てから、あの出来事について話し合ったのを覚えている。この頃から私たちは、発達障害について調べ、受診を考えるようになっていった。あれは、その大きなきっかけになった出来事だった。
今なら、特性としてわかる
同じようなことは、成長して大きくなっても変わらずあった。
地区センターに勉強しに行くと言って、本を立ち読みし続けていたことや、カフェに勉強しに行ったのに本に吸い寄せられていた事象もある。
今なら、あのコンビニの一件も、特性として理解できる。
切迫していたトイレを済ませたリクは、トイレを出てすぐの漫画コーナーに気を取られ、そのまま集中してしまった。ワーキングメモリが少ないことも手伝って、私たちが駐車場でずっと待っていることを、すっかり忘れてしまったのだろう。
叱られる側なのにムスッとしていたのは、単純に、楽しい漫画を読んでいた時間を中断されたから。そして、相手の気持ちを察したり、その場の空気を読んだりすることが苦手な特性から、「今、自分は謝る立場だ」ということが、うまくわからなかったのだと思う。
「違和感」を感じたら、メモを残してほしい
もし、自分の子に「何かおかしいな」と違和感を感じるようになったら、そのときのメモをぜひ残しておいてほしい。
何歳のときのことか。どんなエピソードで、そのとき子どもはどう反応したのか。
成長とともに忘れ去られていくことなら、それでいい。でも、もしそういう出来事が続くようなら、いつか受診するとき、短い診察時間の中で「今の困りごと」を先生に伝えるのに、きっと役立つはずだ。
あの日の私たちには、まだ何もわからなかった。でも、あのコンビニの15分が、リクを理解していく最初の一歩だったのだと思う。
この話の続きはこちら↓
あなたと、あなたの大切な人の明日が、少しだけ軽くなりますように。
この記事が「うちだけじゃないんだ」と思えるきっかけになれたら嬉しい。
フォローすると、凸凹兄弟のリアルな日常がタイムラインに届きます。これからも、同じように悩む誰かのそばにいられるような記事を書いていきます。
▼この記事を含む、「もしかして」から初診にたどり着くまでの記録はこちら
▼あずきのページはこちら
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
いただいたチップは、発達の本や支援グッズの購入など、これからの記事づくりに使わせていただきます。
「うちだけじゃない」と思える場所を、これからも続けていきます。