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【Vol.08】テーマ「私のこだわり」テラリウム専門ショップ/Terrariaさん

こんにちは。DelaM's (デラムス)編集部です。

苔テラリウム専門誌【DelaM's】のnoteに辿り着いていただき、誠にありがとうございます。

このnoteは苔テラリウムを愛する者たちが、「苔テラリウムを日本の文化にしたい!」という思いのもと執筆したコラムを毎週日曜日に配信する苔テラリウム専門誌です。

今回は「私のこだわり」をテーマにしたTerrariaさんのコラムをお楽しみください。


【今週の執筆者】
テラリウム専門ショップ-Terraria-。
新潟県加茂市を拠点とするテラリウムクリエイター。
「夜と灯りとテラリウム」をテーマに、制作•マルシェやイベント出店などで活動。
Instagram ID:kamo.terrariaにて活動中。


テラリウム専門ショップ/Terrariaさんの記事


自然型テラリウム

新潟県加茂市はいわゆる田舎町です。

しかし、ここにはレイアウトのネタになるような自然がそこら中に転がっています。

近所の道端や、実家の山なんかは少し足を伸ばせばすぐ森の中です。

そこには構想を練るヒントになる素材や、心惹かれる風景がゴロゴロとある。
私にとってこの環境そのものがアトリエなのです。

そんな環境でテラリウムに向き合って分かったその表現手法には大きく三つのタイプがあるのではないかと思います。

①フィギュアや人工物をあしらい物語を紡ぐジオラマ型。
②苔そのものの造形美を一点集中で愛でる鑑賞型。
③森の一部をそのまま切り取ったような自然型。

かつての私は、フィギュアを用いたジオラマ型の製作に情熱を注いでいました。
女性層にも喜ばれるような物語性のある可愛らしいテラリウムを目指していたのです。

しかし、どれほど心を込めて作っても小さなガラス容器の中には、どこか隠しきれない私の「男っぽさ」のようなものが滲み出てしまう。
そんな葛藤がずっとありました。

テラリウムを作り始めて1年が経ち、2023年の作品にはフィギュアが入っていました。

試行錯誤を繰り返す中で、あるとき私はふと手を止めました。

「無理に飾り立てるのではなく、ただそこにある自然をそのまま切り取ればいいのではないか」と。

そうして私は、自然そのものを表現する「自然型テラリウム」の道へと舵を切りました。

私のテラリウムからフィギュアのような人工物を削ぎ落としたのは、そこに余白を残したかったからです。

加茂山公園はレイアウトの宝庫。

何もない土のうえに苔が広がり、石があって、シダの葉が重なる。

ただそれだけ。

シンプルに整えただけの空間のほうが、不思議と見る人の想像力を刺激するんですよね。

ガラスの容器を覗き込むと、道端や森の奥で何百年もずっと繰り返される緑のサイクルが、ギュッとこの中に詰まっているような気がします。

何も置かないからこそ、余計なものが消えて、そこに吹くはずのない「風」や、遠くの「雨」の気配まで感じ取れる。

シダ、石の配置、苔の覆い具合と樹皮の露出割合。木の根元は自然の教科書。

そんな、ふとした瞬間に心が動くようなテラリウムを製作したいと思っています。

足元の自然

岩が纏う苔、シダ、山野草の繊細なレイヤーです。

私の自然型レイアウトをさらに深掘りすると、足もとの自然に辿り着きます。

よくあるテラリウムの作り方として、岩を大きな山に見立てたり、ヒノキゴケを森の木に見立てたりといった「見立て」の手法があります。
もちろんそれも面白い。

でも、そこを避けたいんです。

岩なら岩のまま。
流木ならそれがかつてどこかの木の根であった時の姿のまま。

落ち葉もテラリウムの素材として活用したいですね。

その素材が持つ本来の質感を活かして、自然の風景を原寸大で切り取りたい。

そうして作り上げた空間には、作り手の作為を超えた、本物の自然が持つ強さが宿るような気がします。

多くの人は、壮大な景色を見て感動し、それを縮図にしようとします。

しかし私たちが普段歩いている何気ない道端の足元にも、驚くほど美しいレイアウトが隠されているんです。

よく観察してみてください。

小さな石の集まりでも、配置や形、色などがレイアウトのヒントにもなります。

根の露出、壁に生える植物の向き、小石にしても一つひとつにデザインとしての役割があります。


大きくなるほど世界は深くなる。

私のテラリウムのルーツは、元々アクアリウムです。
だからというわけではないのですが、作る水槽のサイズは気づけばどんどん大きくなってきました。

以前、ADAが主催する世界水草レイアウトコンテスト(IAPLC)の作品群を見た時の衝撃は忘れられません。

トップクリエイターたちが作るあの壮大な世界観。

あんなふうに観る人を一瞬でその世界へ引きずり込むような景色を、自分も作りたいと強く思いました。

45×25×30cm水槽、崖や土の壁から根が生えている様子を再現しました。

もちろんビジネス視点から見ても、自然型テラリウムは素材の選び方やレイアウト次第で、いくらでも高い付加価値を生み出すことができます。

でも、一番の動機はもっと純粋なものです。
単純にクリエイターとしての欲求が抑えきれないのです。

「もっと大きな水槽で大自然の空気感を再現したい」
「もっと深い世界を自分の手で作り上げてみたい」

そんな衝動に突き動かされて加茂山を歩き、作品に触れています。

おわりに

加茂山や道端で足もとの自然をじっくり観察して、それをそのまま水槽の中に移し替えてみる。

ときにはアクアリウムで学んだような、大きな水槽でもっと壮大な景色を追いかけてみたいです。

そうやって自然のありのままの姿に触れようとすればするほど、どうしても「これは岩なら岩のまま、苔なら苔のまま」という、原寸大のリアリティにこだわらずにはいられません。

たくさん言葉を並べましたが、これが私のテラリウムに対する一番のこだわりかもしれません。


─── About DelaM's ───
苔テラリウム専門誌 DelaM's(デラムス)
2026年4月創刊。
苔テラリウムを専門に扱う情報誌。
日本全国の苔テラリウムに関わる方達の記事を編集し掲載。
毎週日曜日発刊。


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