【第三章】まもるとこわす 家づくり|大手家づくり企業と戦う300日の記録|信頼できるチームをつくる
あっという間に年末ですね。今年はクリスマスをゆっくりお祝いするような気分になれずにいたのですが、娘たちはそれぞれお友達とクリスマス会を勝手に楽しんでくれる年齢になり、ママサンタの役目もそろそろ終えたかな……という、少し寂しいような、ホッとしたような気分です。
前回までにnoteに書いていた内容は、今年の9月から10月頃までに起きたこと。この章からは10月から11月にかけての出来事を振り返ります。
この章からお読みいただいた方はぜひ「序章」からお読みいただけると、流れがわかりやすいかと思いますので、ぜひ。
この連載では、隣の建て替え工事に伴うトラブルに巻き込まれている夫と私が、編集やデザインの視点に加え、生成AIを「分析ツール」として駆使し、問題に立ち向かうプロセスを公開します。
相手は大手ハウスメーカー。立場は弱い「隣人」。それでも理不尽な力から愛する家族を「まもる」ために、具体的に何をしたのか?
まだ解決していないからこそ書ける、綺麗事ではない思考と行動のプロセスをすべて公開します。
住宅トラブルに悩む方、これから家を建てる方へ。泣き寝入りせず家を守るための「実践的なノウハウ」として役立てていただければ幸いです。
専門家を「探す」という困難
夫はずっと「物置の背面に土留めをしなかったのが原因」だと話していたので、それをもっと専門的に科学的に証明しなくてはいけませんでした。
そもそも、物置の背面に土留めをしないとどういうことが起きるのか? 足らない頭で一生懸命に考えました。

私はまず、小さい頃に砂場で誰もが遊んだことのある「棒倒し」をイメージしました。砂場のてっぺんに刺さった棒を倒すことなく交代で砂を掻き分けるゲームですが、棒の側方の砂を取れば、棒はかならず倒れます。
これと同じ現象が、物置の裏の土にも起きているのではと連想することで、物理の苦手な頭でも現象のイメージをつかむことができました。
地盤の神様・建物の神様
地盤の専門家との巡り合わせ
インターネットで「土木建築」「地盤調査」ということばから検索し連絡を入れてみるものの、「何」のための地盤調査で、「どんな」方法で調査するかを的確に指示しなくてはいけないことや、裁判などに活用できる意見書を書いてくれるような調査会社を見つけ出す事はとても困難でした。そんな矢先に市のホームページで見つけた「一般社団法人 地盤品質判定士協会」という存在。
「一般社団法人 地盤品質判定士協会」は、地震などの自然災害はもちろん、公共事業や、建築瑕疵などにおいて地盤調査の方法をアドバイスするだけでなく、調査結果に基づいた評価や対応策を提案してくれます。横浜市とも協定を締結し、擁壁や崖地の安全対策に関する相談会を無料で実施しています。
藁をもつかむ思いで、協会の問い合わせ先に電話しましたが、その後の対応の早さに、本当に心が救われました。わずか1週間程度で、最適な地盤品質判定士を紹介してくださり、その後、地盤の神様(地盤品質判定士)に現地調査にきていただきました。気になる場所について説明すると、地盤調査の方法、復旧するために必要な工法、概ねの予算なども教えてくださいました。

もちろん地盤調査にはそれなりの調査費用がかかります。本来ならば物置を再設置するための金額に回し、地盤が沈下したことも「埋め戻し」をされたから大丈夫だと、自分を納得させ、穏便にすませることもできたかもしれません。
でも、地盤の現状の安定性を知らず、少しばかりの不安を残したままにいれば、それこそ近隣住民への迷惑を与えるのではないかという不安要素や、ひいては家族の安全性を守る家自体が危険な場所になってしまうという思いを抱えることになり、根本的な解決にはなりません。。
私たちは「家族の安全を守る場」である家の安心を取り戻すために、どのような結果になろうとも調査をし、問題があれば復旧しようと決めました。
建物診断のプロとの出会い
地盤調査を待つ間の11月のある日、家の基礎に大きなひび割れがあるのを発見しました。不安に思った私は不同沈下を疑い、デジタル水平器を購入し、家中の14箇所で東西・南北向けに水平器を設置し、定点観測と記録を続けました。

日々の観測結果から出た数値からは、住宅の瑕疵(欠陥)や修理の目安とされる数値が表示され、私たち家族は夜間の安全性を保つために、実家へ一時避難をすることにしました。12月半ばまでの調査日まで不安が拭えず、心身ともに疲弊していた私たちは、今の家の状態を知るために、建物の専門家を探すことにしました。
検索の先に辿り着いたのが「ホームインスペクション」や「家屋調査」という言葉。それぞれ、似てはいるものの少しだけ目的 が異なります。
ホームインスペクション
主に住宅の購入前や売却前に、安心して取引を行うために行う「健康診断」のようなもの
家屋調査士
土地や建物の物理的な状態を調査・測量し、法務局に登記申請を行うための専門家ですが、隣家との境界線を専門に測量する調査や、登記手続きに特化した調査、近隣工事に伴う現状調査など、事業所によって得意分野は様々。
ホームインスペクションを頼んでも裁判資料のような報告書はあげられない、闇雲に家屋調査を依頼しても、建築工事にまつわる証拠資料のための調査士は、業社経由からしか受理できないなどの理由で、自宅の現状を知る術が見つからず不安な日々を過ごしていました。
そんな矢先にインターネット検索で偶然見つけたのが「一般社団法人 建物診断協会」という文字。「一般社団法人建築診断協会は中立公平な第三者機関として不動産取得者に有益なサービス(建物診断・見積診断・修繕サポート・建築代理交渉など)を提供しています。」という紹介文に、「これだ!!」と直感が働き、すぐに電話をかけました。
偶然にも理事長に電話が繋がり、神業のスピードでその週末には現地調査に理事長自らが自宅までお越しくださいました。

温和な雰囲気の理事長からは、床の傾きを正確に測る方法、基礎に入ったヒビの深刻度、行政との連携の仕方、そして隣人関係の築き方までをも教えてくださり、良い巡り合わせと、行動指針を与えてくださった理事長には、本当に頭が上がりません。私たちに必要な家屋調査業社も理事長からのご紹介で、年末にも関わらず駆け込み調査をお引き受けいただくことができました。
この問題が解決したら、地盤品質判定協会や、建築診断協会の活動内容についても、noteで取材させていただけたらと考えています。
より良い専門チームのつくりかた
【まもるポイント①】
餅は餅屋 相手の得意技を見極める
一概に地盤調査や家屋調査と言っても、さらに細かな得意分野があるということを知りました。思えば料理撮影が得意なカメラマンもいれば、ポートレートに特化している人もいる。デザイナーも同じです。電話の問い合わせ時には、相手の得意技を聞き出すことが必要です。「業務外だけど、なんとかなるかも」くらいの熱量ではなく、「その件ならお任せください」くらいのチームを作る方がよっぽど効率もよく、気持ちよいチームになります。
【まもるポイント②】
専門家任せにはしないが、プロを信頼し敬意を払う
個人の感覚としては、ことをすべて専門家任せにするのではなく、ある程度同じ言語で話せるくらいの知識の下準備は必要だと感じています。私の場合、「側方流動」「安息角」「不同沈下」「パイピング現象」など、普段聞きなれない言葉に振り回されましたが、わかりやすい例えでイメージしたり、友人や親族に聞いたりして知識を深めるようにしました。一方で、専門家の意見は尊重し、信頼関係を育むことはとても大切だと感じています。こちらは付け焼き刃的な知識しか持っていないのに対し、相手は百戦錬磨。現場を数多く見てきた技術者や専門家の意見は尊重し、信頼関係を築くようにしましょう。
【まもるポイント③】
信頼の連鎖でつながる最高のチーム
私の問題を解決するには、地盤の専門家、建物の専門家、法律の専門家など、様々な専門家の知恵と力が必要です。良いチームワークを作るためには、やはり信頼の連鎖でつながること。誰かを紹介するということは、「この方があなたのために助けになってくれますよ」という信頼の連鎖だと感じています。そうした善意の信頼に根付た紹介であれば、チームワークは良いものとなります。だからこそ、より良いチームワークを築くには、個々との信頼関係が大切です。メールや対面での対応の仕方一つで、その誠意は伝えられるはず。トラブルの渦中にいても、相手を思いやる心のゆとりは持ち合わせるようにしたいものです。
次回はこの問題を法的に解決するステージに移ります。弁護士って、依頼したらすぐに引き受けてくれるって思ってました(苦笑)。最大の誤算でもありましたが、弁護士選びってとてつもなく大切なことなんだと、今になってはしみじみと感じます。いくつもの弁護士事務所の門を叩いては、戦略を練り続けた夫との記録をお届けしたいと思います。
今回はイレギュラーの週末更新。実はようやく大きな締切を二つ終えました。とはいえ、まだまだ書かなくてはいけない原稿が溜まっております。私にとって原稿を書くとは「浄化」の作業でもあります。頭の中にモヤモヤといくつもの雲のような塊があって、それを結びつける方法を探している感じ。

熱があるうちに書くのが良いと思っていた時期もあるのですが、モヤモヤしているうちに書くよりも、ご飯をつくりながら、掃除をしながら、時に庭いじりをしながら考えていると、一本の線のようになってつながっていくような感覚を得る時があります。そうなると、PCの前に座って書き始めることができる。絡み合っていた情報や感情が、一つの川の流れのようになる感覚です。書き終えた時には、気持ちも落ち着き「浄化」されるようなイメージがあります。
前回までのnoteから、第三章、そして続く第四章までの道のりを、どうやって整理をしようかと迷いあぐねていたのですが、なんとなく道がみえてきた気がしています。お正月に一気に読めるように、来週の月曜には、問題を法的に解決するための弁護士選びの記録を(夫の奮闘記として)お届けします。引き続きお読みいただけると嬉しいです。
家づくりをこれから始めようと思っている方、トラブルの最中にいる方などにとって、少しでもためになる記事になれたら嬉しいです。合わせて「スキ」をいただけると、めちゃくちゃ励みになります。
