【第四章】まもるとこわす 家づくり|大手家づくり企業と戦う300日の記録|盾と矛を手に入れる
盾と矛を手にいれるまでの道のり
すみません。急にRPGみたいなタイトルで。でも、私にとって今回のトラブルは、もはやゲームのような感覚に陥ることがあります。「正義はどちらなのか」という意味でのゲームっぽさと、一つ一つアイテムを増やしているような感覚からかもしれません。
そしてもう一つ、今回のトラブルで、私がだいぶ平然といられる様になったのは、もはや「仕事」としてこの問題を捉えたことに尽きると思います。ビジネス関係において、お客様に対して、誠意とは何か、届けたいものは何か、会社がある社会的な意味は何か?そんな風に考えると、与えられている課題や相手の対応にいちいち腹を立てるのもバカらしく思えてきました。相手がどう出てこようが、私は私。問題が起きた時にどう行動するかでその人の本質が見えると思っているので、わたしはこれまで築き上げてきた、私の信念にしたがって物事に対処すれば良いわけです。相手の土俵に立ってイライラするのではなく、私が信じる道や解決方法を突き進もうと思いを新たにできました。
この連載では、隣の建て替え工事に伴うトラブルに巻き込まれている夫と私が、編集やデザインの視点に加え、生成AIを「分析ツール」として駆使し、問題に立ち向かうプロセスを公開します。
相手は大手ハウスメーカー。立場は弱い「隣人」。それでも理不尽な力から愛する家族を「まもる」ために、具体的に何をしたのか?
まだ解決していないからこそ書ける、綺麗事ではない思考と行動のプロセスをすべて公開します。
住宅トラブルに悩む方、これから家を建てる方へ。泣き寝入りせず家を守るための「実践的なノウハウ」として役立てていただければ幸いです。
これまでの章はことの経緯と、事前準備、そしてチーム作りについて書いてきました。この章からはいよいよ、法的な解釈を求める回です。この記事からお読みいただいた方は、ことの経緯を序章からお読みいただければ、わかりやすいかと思いますので、ぜひ下記のリンクからお読みください。
はじめての弁護士相談
前章でも少し書きましたが、弁護士って門を叩けばすぐに受任してくださるものだと思っていました。建築トラブルって本当に難しいそうです。
さて、私と夫がいよいよ弁護士事務所の門を叩くわけですが、初回、それはもう緊張しました。名前や住所、連絡先の記載に加え、身分証明書を提示しての相談。物事の経緯とこちらの希望を伝えるのに時間が足りず、自分のプレゼン能力を磨かねばと猛反省しました。
私と夫は、9月に施主が話し合いに訪れてからの数ヶ月、弁護士事務所に持参する書類をまとめるほか、毎晩この問題について話し合いを繰り返してきました。それまではテレビを見ながらくだらない話をしたり、プールに行ってラーメン食べるという意味不明な健康活動をしていた時間も全て、この問題に対する戦略会議を重ねる時間になりました。
①費用倒れの壁を越える

まず、最初に当たった壁は、紛争解決のためにかけた費用が、最終的に得られた経済的な利益を上回ってしまう「費用倒れ」によって、受任してもらえないという壁。相談時点で確定していた物損は『物置』のみで、隣接地工事の約半年もの間、擁壁に開けられ放置された穴との因果関係を立証できていなかったため、「新品の物置を自腹で購入した方が、弁護士費用よりも安いですよ」と柔らかくお断りされたということです。それについては良心的だとも思えましたし、金銭的な意味でいえば賢い解決方法だとも思えました。ただ、弁護士は「地盤沈下による修復費用が必要になれば、話は別です」とも付け加えられましたので、地盤品質調査士による調査結果を待てば良いと考えました。
②圧倒的な力の壁を越える
一方で、別の弁護士事務所では「大手ハウスメーカーを相手に調停をしても、話し合いの場についてくれるとは限らない。それに、企業側も裁判どうぞどうぞ、という姿勢ですよ」という建築トラブルの裁判事例についても教えてくださいました。さらに勝訴したとしても、判決金としては、希望額に到底満たない数万円で解決せざるを得ないケースも多いとか。結局のところ訴えたところで、個人対大企業では、資金切れや気力で根負けし、望まぬ結果で終わる現実を知り、とても報われない思いを感じました。
③責任追求の壁を越える
また、今回とても難しかったのは、責任の所在についてです。
今回の場合はこんな感じでした。

タマホーム株式会社を窓口に、家の新築を依頼したが、家を建てるための解体(株式会社阿部興業)や造成業者(株式会社K-STYLE)は、タマホーム株式会社が紹介し、施主が直接業者と契約するという分離発注がなされているということ。
何か問題が起きた時に、誰が責任者なのかが曖昧であったことは、トラブル当初の時点から感じていました。しかも施主は一般の方ですから建築や土木の知識や常識に通じているとは思い難い。施工業者が建築のプロであるのに対し、施主や隣人の私たち家族でさえ素人です。それならば、トラブルの見極めや対処法について、わかりやすく翻訳するコーディネイター的な存在が必要ではないかとも感じていました。
解決するのは自分という意思を持つ
弁護士事務所に依頼し、資料を渡せば全てを解決してくれるわけではありません。そして現実の世界では必ずしも正義が勝つとは言えないようです。そして一番大切なのは、弁護士はセラピストではありません。どんなトラブルの渦中にいようとも、落ち着いて話せるようにしましょう。弁護士相談とは、法律という制度に沿って問題解決の糸口を探る場であり、解決するのは自分ごとであるという認識を持つ必要があります。
私と夫は何度も弁護士事務所に相談に行きましたが、もはや受任してくださいというお願いで訪れているという感覚ではなく、弁護士から与えられた課題を乗り越え、さらなるクエストを見つける場として訪れていたような気がしています。どうしたらこの問題を、法のプロの視点でもっと簡潔に解決できるのかというアドバイスをもらうだけでも、ゴールは一つではないと気付かされます。
私たちの場合でいえば、
課題 解決方法
費用倒れ 物置の物損だけでない損害賠償金額の確定
裁判どうぞどうぞ〜 交渉または示談で終わらせる方法を考える
責任の所在が曖昧 責任の所在を明らかにする方法を調べる
というように課題を逆説で捉え、一つの課題をクリアしては、弁護士事務所の門を叩き、受任できない理由をまた問題解決の課題と捉えるといった具合に、ひとつひとつの階段を登っていくような戦略を積み上げてきました。

とはいえ、弁護士事務所を訪れた後の恒例の居酒屋飲みでは、悔し涙を流してみたり、二人の気持ちをぶつけてみたものです。私が泣けば、夫が朝まで寝ずに戦略を考え、その戦略を実行していくのが私の担当です。今思えば最高のパートナーがいたからこそ、少しずつ乗り越えられてきたのだと思っています。
弁護士相談時のポイント
【まもるポイント①】
弁護士の得意分野を知る
これは基本中の基本ですが、離婚、相続、不動産、建築トラブルなど、弁護士によっては得意なジャンルというものがあります。大手弁護士事務所はオールマイティに取り扱ってくれるかもしれませんが、それでも企業側、消費者側など、どの視点で戦うのが得意か、どんな武器(法的な知恵や経験)を持っているのかによっても、選ぶべき弁護士事務所は異なってきます。解決したい方向に寄り添ってくれる弁護士事務所を調べるためには、各弁護士事務所のホームページに掲載されているこれまでの解決事案や、弁護士の得意分野などを記載したページが参考になります。
【まもるポイント②】
事前資料は簡潔に、相談時間はプレゼンタイム
弁護士は忙しく、多くの案件を抱えながらも相談窓口を開設しています。弁護士相談はたいてい1時間制になっていますが、事前に簡単に物事を理解していただくために資料を送付することができます。その資料はA4で、2-3枚程度にしておいた方が、簡潔でわかりやすいです。私の場合、初回に音声記録が入ったフォルダまで共有してしまったため、六法全書ばりの厚さの出力紙を持参した弁護士の姿を見て、仰け反りそうになりました。時系列、要点、法的におかしいのではと感じる点、証拠写真ややり取りの記録などは、さっと取り出して説明できるように資料を整え、プレゼンに望む気持ちで準備すると良いかもしれません。
【まもるポイント③】
要点を整理して話す
弁護士はセラピストではありません。酷かった、悔しいという気持ちを分かってはくれますが、法律に沿っているかどうかは別問題。感情を整理して、起きた出来事を淡々とわかりやすく、要点を整理して説明しましょう。多くの事務所はPCの持ち込みが可能で、資料や写真を大型モニタで共有しながら説明することができます。簡潔に説明を終えた後は、どの部分が法的に間違っているか、それを証明するためには何が必要かという法的なアドバイスをもらう場所として捉えましょう。
さいごに
戦うためには癒しと愛が必要だ
最近ハマっているロミロミマッサージがあります。今年は本当に戦いのような年でしたので、癒しも大事にしなくてはいけませんから。古代ハワイから伝わる伝統的な癒しの技術・療法で、冷え性の私にとってはもはや治療だと思っています。ハワイの文化に根差し、愛の精神を込めて行われ、魂のレベルでの癒しを重視するロミロミですが、その精神を体現しているなぁと感じる、とても温かなサロンです。(そしてとっても良心的なお値段も嬉しいところ!! )
「愛」つながりで、少し話しを広げます。私は3人姉妹の長女ですが、母親の愛情にとても恵まれて育ったと思います。幼い頃から教えられたのは「愛が一番大切なこと」。この教えは、この状況を解決するための指針にもなっています。地盤損壊の不安から家を追われ、今もなお安全が担保されない不安定な生活が続く中、母の愛が本当に助けになっています。家が倒れるかもしれないという不安な心を癒してくれたのは、母が作ってくれた「おでん」や「シチュー」。お母さんの味って、あったかくて愛のある救いの味です。
【修正記録】
2026年2月17日|関係各社の名前を表記いたしました。
