【第二章】まもるとこわす 家づくり|大手家づくり企業と戦う300日の記録|事実を記録する編集術
物事の本質を捉える。
この『まもるとこわす 家づくり』を公開してから2週間が経ちました。編集者として25年以上経験を積んできましたが、ずっと仕事とプライベートを切り離して考えていた部分もあって、プライベートなことはinstagramに綴るのみ。それが、この2週間でふたつの記事が『家づくり』というカテゴリのnoteの「急上昇」と「人気」タブに入りました。
たくさんの方に見てもらえているんだなぁと思うと、ことばを綴ることの重みに、仕事や私事という境界線はないのかも、と感じています。
この連載では、隣の建て替え工事に伴うトラブルに巻き込まれている夫と私が、編集やデザインの視点に加え、生成AIを「分析ツール」として駆使し、問題に立ち向かうプロセスを公開します。
相手は大手ハウスメーカー。立場は弱い「隣人」。それでも理不尽な力から愛する家族を「まもる」ために、具体的に何をしたのか?
まだ解決していないからこそ書ける、綺麗事ではない思考と行動のプロセスをすべて公開します。
住宅トラブルに悩む方、これから家を建てる方へ。泣き寝入りせず家を守るための「実践的なノウハウ」として役立てていただければ幸いです。
そしてこの記事からお読みいただいた方は、ことの経緯を序章からお読みいただければ、わかりやすいかと思いますのでぜひに。
1.あらゆる可能性に目を向ける
事実の「カルテ」を作る
まずは、「事実」のみを時系列にわかりやすく整理することにしました。
「何が起きたか」「何をしたか」「誰と話したか」。複雑な問題こそ、余計な情報を削ぎ落とすことが解決への最短ルートです。

この時に日記や日々の記録などが役に立ちます。
そして、弁護士の無料相談にも行きました。そこでも改めて思い知らせれたのが「訴える側が『因果関係』を立証しなければならない」というハードル。前途多難な壁に思え、帰り際に夫と行った居酒屋で、自分の力量のなさに悔し涙を流したのことを、ついこの前のように感じます。
この日から私は決意を改め、とにかく自分に出来ることはなんでもやってみよう、あらゆる可能性に目を向けてみようと決意しました。とりあえず悔しい気持ち、悲しい気持ちをスッキリと切り替えるために、思いっきり泣いてみることに。(これが意外と効果抜群でした)
私がいつ見ても泣ける映画のひとつは『おおかみこどもの雨と雪』。導入から泣き出す私を見て、子どもたちは訳がわからなかったと思います。それでも思う存分泣いたことで、気持ちがだいぶスッキリしました。
この一連の私事を、仕事モードに切り替えたおかげで、編集者としてのリサーチ魂に火がついたのだとも思っています。(笑)
私が始めた自分にできること
まず一番最初は、物置が倒れた原因の一つとして考えられる「経年劣化」に関する検証から始めました。
手元には、リフォーム前の庭に置かれた物置の写真や、物置が倒れた当日の写真がたくさんあったのが、とても役に立ちました。ただ、写真では物置の底面部分が暗く、脚部を確認することができなかったので、露出を上げ、シャドウを落とす画像補正を施し、物置の底面部の支柱に折れた部分や錆がなかったかを確認しました。

加え、夫婦で撮影していた物置転倒時の写真を全て見て、物置の周囲だけでなく、転倒時の周辺状況も確認しました。 撮りためた記録写真は、物置転倒の当日には気づかなかった細部を、後日落ち着いて見返す、大切な資料ともなりました。
2.事実を記録する編集術 |
写真は「撮る」のではなく「残す」もの
住宅トラブルにおいて、写真は最大の資料であり武器になります。ただし、SNS用の「映える写真」とは180度異なる、「事実を語るための記録術」が必要です。私が実践した、後に家族と家をまもることになった写真整理術をご紹介します。
まもるポイント①
【構図】グリッド機能で「歪み」を逃さない
iPhoneのカメラ設定で「グリッド」を表示させましょう。平行を確認することで、後から「撮り方が悪いだけ」とされないまもりを固められます。
正面、上、横、斜め。引きの絵で全体の状況を撮り、寄りの絵で問題箇所の詳細を撮る。平行・垂直を意識して撮影することで、後から「撮り方が悪いだけだ」という相手の言い訳を封じ込めることができます。
まもるポイント②
【時間】タイムスタンプで「偽装」を封じる
証拠写真において「いつ」撮られたものかを把握することはとても大事です。そこでiPhoneなどのスタンダードなカメラアプリだけでなく、場合に応じては、写真そのものに日時が刻印されるアプリ(「タイムスタンプ」など)の活用もおすすめです。私は再設置後の物置の経過を、毎日同じ角度、同じ距離から撮影し続け、変化のプロセスを「動かぬ証拠」として積み上げました。撮影日時を写真に刻む。これは法的交渉において強力な客観証拠にもなります。
まもるポイント③
【共有】Google Driveでチームの「解像度」を上げる
収集した膨大な記録は、夫婦や弁護士、専門家と共有できてこそ価値があります。私たちはGoogleフォトの共有アルバムを活用し、さらに一歩踏み込んで必要な写真データをGoogleドライブで整理しました。まとめた写真は共有機能を活用し、アクセス権限なども管理しながら、必要時に必要な方とのみデータ共有ができるというのもGoogleドライブの魅力です。そして何より、大切な写真はいくつかの場所に分けて保存しておくこと。私はiphoneなので、icloudとGoogleドライブ、そして自宅のHDDなど、普段からデータを複数の箇所で管理する癖がついています。
3.事実を記録する編集術 |
共有する意識をもって整理する

写真はそのままでも時系列データに整理されますが、データを見る環境に左右されず、時系列で並べられるようにするため、一つ一つの写真データをリネームしました。
命名規則: 「250210_0000_物置脚部.jpg」(西暦下2桁月日_内容または元のデータ名_補足)
整理: 全データを日付順にフォルダ分けし、第三者がパッと見て「いつの写真で、何が起きているか」を理解できるように設計する。
写真は目的によって撮る方法や記録のまとめ方が異なると考えています。この考え方は、私の仕事の中で培った編集者やデザイナーの視点がとても役に立ちました。写真はなんとなく撮るのではなく、なんとなく選ぶのでもなく「目的」に沿った撮り方、保存方法のポイントがあるということ。
SNSで投稿するような「日常を表現する」という目的の写真ではなく、記録として残すという気持ちで撮影しましょう。
当たり前のようでいて、問題の渦中にいる時こそ基本的なことを忘れてしまうもの。「あの時にちゃんと写真を撮っておけばよかった」「あの日からあの日は何があったんだっけ?」なんていう後悔を残さないように、ぜひ参考にしていただければと思います。
さて、次の記事では、自分で得た検証をもとに、専門家への科学的な実証を依頼し、正確なデータを入手するまでの道のりをご紹介します。
住宅トラブルって、本当に聞きなれないことばや、解らないことばかり。だからこそ、身近な例えで頭を整理するがとても助けになりました。
そちらも合わせて、次の記事でご紹介したいと思います。
【さいごに】
感情のベールを剥がし、本質を見つめる大切さ
事実から感情を剥がしてみると、物事は驚くほど単純に見えてくることがあります。この「本質に目を向ける力」を私に教えてくれたのは、発達障がいを抱える長女でした。

私たちが「ふつう」や「常識」と呼んでいる世界とは、少し異なる視点を持つ彼女。彼女とのコミュニケーションにおいて、私は「まず事実を聞き取り、その後にどう感じたかを聞く」という順番を心がけるようにしました。
その対話を繰り返すうち、彼女の「ママはわかってくれない」という口癖が消え、少しずつ自分の気持ちを表現できるようになっていったように感じます。娘が教えてくれた「真っ直ぐに事実を見る目」。それが今、この難しい問題に対応する力になっています。感情に溺れず、事実に杭を打つ。それが、私たちが失われた安心を取り戻すための、唯一の道だと信じています。
ここまでお読みいただいて、ありがとうございました!
