㊿ミャンマー情勢(海外に行けず途方に暮れるミャンマー人労働者)※内容追記
久々のミャンマーに関する記事です。
今回は、以下の記事で解説した日本のミャンマー人の最新状況と、海外に行けなくなってしまった悲惨なミャンマー人の現状をお伝えします。
日本の在留外国人数(2024年6月末時点)
さて、日本にはどのぐらいの外国人が住んでいたり、働いているでしょうか?
答えは、2024年6月末時点で、約359万人です。
そのうち、ミャンマー人は約11万人です。
以下の円グラフが在留資格別の構成比になります。

増大する新移民(ネパール人、インドネシア人、ミャンマー人)
最近、ネパール人、インドネシア人、ミャンマー人が急増していますが、
増大する新移民の出身国の人口は、以下です。
圧倒的に、インドネシアの人口が多いです。

その3か国の2020年以降の日本国内の外国人数の経年変化は、以下です。
ネパール人とインドネシア人の伸びは著しいですが、ミャンマー人も毎年、50%伸びています。

ネパール人、インドネシア人、ミャンマー人労働者の特徴
厚労省のデータを見ると、働く分野に特徴があることがわかります。
ミャンマー人は、医療・福祉(=介護)の割合が高く、建設は不人気です。
インドネシア人は、製造業の割合が高く、宿泊・飲食・サービス業は不人気です。
ネパール人は、宿泊・飲食・サービスの割合が高く、介護は不人気です。
●ミャンマー人:宿泊・飲食・サービス業21%、製造業19%、医療・福祉16%
●インドネシア人:製造業34%、建設業22%、医療・福祉12%
●ネパール人:宿泊・飲食・サービス業30%、卸売・小売業16%、製造業13%
ミャンマー人留学生
ミャンマー人が日本に留学する際には、直接、日本の大学に行く方法と、日本語学校に行く方法があります。どちらも2021年以降は、増加傾向です。

APU(立命館アジア太平洋大学)のミャンマー人
大学は英語プログラムがあるAPU(立命館アジア太平洋大学)が人気です。
2024年11月1日には、ミャンマー人はインドネシア人に次いで、2番目の405名になりました。24年5月1日時点では335名だったので、6か月で70名増加したことになります。


ミャンマー人の出国手続き(ミャンマーからの出国)
さて、ミャンマー人が日本に行く際には、どのような手続きをミャンマー国内で経なければいけないでしょうか?
以下、J-SAT通信118号からの引用する形で、
労働者である技能実習・特定技能のミャンマー内の手続きを紹介します。
※技能実習は実質的に労働ですので、労働者と表現しておきます

①送出機関がミャンマーの労働省に求人票(デマンドレターと呼ばれています)、監理団体と送り出し機関の協定書の写し、企業の押印済の雇用契約書、雇用条件の写しを申請します。その後、ミャンマー労働省から、ミャンマー外務省を経由して、日本の品川にある在日ミャンマー大使館の届きます。その後、大使館のFaacebookページにデマンドレターを申請した企業の審査済みリストが掲載されるので、送出機関から労働省に対して「許可書」を申請し、申請から1週間で労働省から送出機関に許可された「許可書」が送られます。
②送られた「許可書」に送出機関が所在するタウンシップの労働事務所の署名を貰い、労働省規定契約書を締結します。
③海外で就労予定のミャンマー人に対し、ミャンマー労働省が1日間の講習(ミャウダゴン講習)を実施し、修了後に講習修了証明書が発行されます。その後、スマートカード(OWIC: Overseas Worker Identification Card)が発行されます。
④パスポート、スマートカード、COEなどを持参して空港の出国手続きを終えて、出国します。
上記の手続きは、技能実習・特定技能の労働者ですが、
高度人材は、技能実習・特定技能と比較すると簡単な手続きです。

出国できないミャンマー人
なんと、2025年2月1日から③のスマートカードの発給が停止しています。
以下のプロセスで言うと、10、11、12、13、14が停止しているため、海外に渡航予定だったミャンマー人が足止めを食らっています。

ミャンマー人の気持ちになると、いままで日本語学校に通って、1年ぐらい真剣に勉強してN4、N3レベル(日本語能力のレベル)になり、日本側の受入企業の面接も無事に通って、晴れて日本企業に就職予定だったというのに、最後の最後で、その道が封じられてしまったことになります。
日本人に例えるならば、大学4年間一生懸命に頑張って、企業の内定を得て、入社予定だったのに、4月1日を目前にして内定を取り消されたということになります。
ミャンマー人を出国させない理由
2021年2月のクーデター以降、ミャンマーは典型的な途上国らしく、出国制限が起こるたびに、労働省の誰かしらと付き合いを持つ送出機関は、おみやげ(賄賂を含む)を渡すことで、制限を回避してきました。
しかし、今回はおみやげ攻撃が効かないようです。
そのため、ミャンマー軍政のトップのミン・アウン・フライン総司令官が、ミャンマー国内の人口減少に気付いたことが、今回の出国停止措置の理由と言われています。
過去の記事で、何度も、ミャンマーのトップの国軍司令官は、バカ殿だ!と述べてきましたが、最近は、バカ殿の思い付きと、バカ殿の取り巻きによる忖度によって、政策がコロコロ変わります。
2025年3月21日の発表
3月21日にミャンマー政府が国営紙(政府の広報紙)に新たな情報を掲載しました。

これを整理すると、今後の流れは、以下の図のようになると思います。
そもそも、ミャンマー政府は、ミャンマー人の海外就労を制限したいので、日本の受入機関から届くディマンドレター(求人票)の数を制限して、結果としてミャンマー人の送出しの人数も制限することになります。

ミャンマー人が海外の流出して、ミャンマー国内のミャンマー人が減少した⇒海外就労するミャンマー人の数を制限する
いまのミャンマー政府は、単細胞で短史眼的ですので、このような流れになると予想できます。
こんなことをしたら、現在、海外で就労しているミャンマー人は、2度とミャンマーに戻ってこなくなることが目に見えています。
内容追記:新しい規制の内容(3月23日発表)
3月23日の発表で、3月25日以降、1つの送出機関の1か月あたりの送出可能人数が15人までになりました。
(1つの送出機関は)1か月に1つのデマンドレターにしか対応できなくなり、1つのデマンドレターの上限が15名になりました。
具体例:日本企業X社が、ミャンマー人を10月1日から3人雇用する予定のため、4月に送出機関Aにデマンドレターを送付したとすると、この3人のデマンドレター1通のみに対応する形で、4月分の送出は終了する。
なお、ミャンマー政府からの発表では、渡航資格について、男女や年齢制限は言及されていないが、現実には、18〜35歳の男性は渡航許可が降りていません!

つまり、今回の人数制限により、送出機関は、ほとんど日本の受入機関や日本企業にミャンマー人労働者を送り出せなくなります。
日本企業からすると、例えば4月1日にメーカーがとあるラインを新しく稼働するために、ミャンマー人30人の受け入れを予定していたとすると、しばらく、状況が見通せなくなって、新しいラインの稼働の目途がつかないことになります。
このような状況がしばらく続けば、日本企業からすれば、ミャンマーという国は何が起こるかわからないリスクが大きく、ミャンマー人を受け入れることはリスクが大きいことになり、契約を打ち切ることになります、、、
日本側のニーズ(需要)が縮小してしまえば、結果としてミャンマーからのミャンマー人労働者の送り出しが必要なくなり、送出人数が縮小することになります。
ミャンマー政府という加害者により、被害者は、日本企業であり、ミャンマー人労働者なのです!!!
本当にひどい話です(*´Д`)
ミャンマー政府の愚策集
2021年2月1日に国軍がクーデターを起こしました。
2022年4月3日に国軍がミャンマー人やミャンマー企業の保有するドルを強制的にドルに両替しました。
2024年2月10日に国軍は徴兵を開始しました。
2025年2月1日から労働者の海外渡航を制限しました。
2022年4月3日の強制兌換により、ミャンマーから一度撤退した企業は、たとえミャンマーが正常化しても、5~10年近くはミャンマーに戻ってこないことが確定しました。
2024年2月10日の徴兵制開始により、多くのミャンマー人が国を去りました。
2025年2月1日の海外渡航制限では、海外で既に就労しているミャンマー人が、2度とミャンマーの地を踏むまいと固く決意しました。
1度ミャンマーに戻ってきたら、2度と海外に行けない可能性が高まっているためです。
今後、ミャンマー政府が、仮に国内で選挙を実施して、見せかけの民主化を推進しても、一度失墜してしまったミャンマー人の政府に対する信頼は20~30年は元に戻らないでしょう。
そういった意味で、ミャンマー人にとって、日本は希望の国なのです。
日本は、幸いにも日本に渡航することができたミャンマー人が長い時間をかけて、日本に定着できるようにしっかりと支援すべきです。
日本は外国人労働力を受け入れなければ、2032年に日本人が介護をまともに受けるのも厳しい状況になります。
文化的に近く、日本語を真剣に学習するミャンマー人をしっかりと受け入れなければ、より日本から文化的に遠く、日本に関心がない外国人労働者ばかりを受け入れざるを得なくなります。
その点から、ミャンマー人の日本での定着というのは、非常に重要な政治的・経済的な課題です♪
次回はミャンマーを襲った地震です。
