中止できた年〜二〇二五年三月の雨〜 辺野古転覆事故・第53稿
前稿で、文部科学省が五月二十二日に公表した文書に触れた。同じ日、もう一つの文書が公表されている。京都府の、同志社国際高等学校の研修旅行等について、である。学校の所轄庁として事故直後から聞き取りを重ね、文科省の現地調査に同席してきた京都府が、把握した事項と見解をまとめた十頁余りの文書だ。
内容の多くは文科省文書と重なる。ただ、確認事項の一行に、括弧書きが一つある。
2023年3月の乗船と同様、2024年3月、2025年3月(2025年3月は当日雨天で中止)、2026年3月の乗船に関しても、事前の下見を行っていないこと。
括弧の中を、もう一度読んでほしい。二〇二五年三月は、当日雨天で中止。
四年間の乗船の系譜に、中止された年が一つだけある。この連載は四か月半、なぜ誰も止めなかったのかを扱った報告書を読み、止める機会の素通りを数えてきた。その途中に、止まった年が、括弧書きで畳まれていた。この稿では、この括弧を開く。
四年の系譜
まず、京都府文書が確認した乗船の歴史を並べる。二〇二三年三月、乗船開始。事前の下見なし。二〇二四年三月、乗船。下見なし。二〇二五年三月、当日雨天で中止。二〇二六年三月、乗船。下見なし。そして転覆。
下見は四年間、一度も行われていない。これは報告書も認定した事実である。では、この四年の系譜の中で、二〇二五年だけに何が起きたのか。
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