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イオンモール熊本爆発 四店舗に出ていた同じ連絡

7月28日午後5時35分ごろ、2人は一般向けの入口から館内に戻った。爆発は午後5時50分ごろ。その間、15分。


四店舗への連絡

産経新聞の取材に応じたハビタの湯瀬剛二営業部長(64)によれば、地震発生直後、同氏は安全確認のため県内4店舗の店長に連絡している。イオンモール熊本の店舗と、他の3店舗。その際、施設側からの許可を得た場合は売上金を回収して金庫に保管するよう伝えた。

許可を得た3店舗の店長は、それぞれ売上金を回収し、金庫に保管したという。

同じ連絡が、4店舗すべてに出ていた。3店舗では何も起こらず、1店舗で2人が死亡した。

湯瀬氏がこの依頼をした理由は、イオンモール熊本が当面休館となる可能性を考えたためだと説明されている。売上金を店に置いたまま施設が閉まる事態を避けようとした判断になる。

他の3店舗がどのような施設に入っているかは報じられていない。単独店なのか、商業施設のテナントなのか。「施設側からの許可」を誰がどう出したのかも、現時点では分かっていない。3店舗で許可が得られたという事実だけが残っている。

休みだった店長

イオンモール熊本の店舗では当日、大竹玖瑠美さん(22)と同僚女性(25)が勤務していた。店長は休みだった。

地震発生後、同社は店長を通じて2人の無事を確認している。その後、湯瀬氏は店長に「もし戻れるのであれば売上金を金庫に保管してほしい」「無理ならば可能な範囲で」と求めた。店長から依頼を受けた2人が、午後5時35分ごろ館内に戻った。

この店長は、休日に会社から連絡を受け、内容を部下2人に伝えた立場にある。指示の発出者でもなく、受け手でもない。他の3店舗では店長自身が売上金を回収しているから、休みでなければ本人が入館していた可能性もある。伝達経路の中間にいた人物について、報道はほとんど触れていない。

前稿では、伝達にあたった店長自身が犠牲者の一方だったとする報道があることに触れたが、これは誤りだった。訂正する。

大竹さんは4年前の春に高校を卒業して入社した。県内の別店舗で働き、イオンモール熊本には7月上旬に異動したばかりだったという。

制止されなかったか

説明が食い違っている箇所がある。

湯瀬氏によれば、2人が館内に戻ろうとした際、入口にはイオンのスタッフがおり、「気をつけて」と言われ、制止されることはなかった。

これに対しイオンの担当者は3日、再入館を可能だという趣旨を従業員に伝えた事実はない、と取材に説明した。当時の状況について、現地スタッフらへの聞き取り調査を進めているという。

イオンの吉田昭夫社長は7月29日の会見で、避難後は館内に入らないマニュアルになっている、と述べていた。湯瀬氏もそのマニュアルは知っていたとしたうえで、なぜそうしたミスを犯したのだろうと後悔している、と語っている。

規定の存在は双方が認識していた。入口で何が起きたかについては、双方の説明が一致していない。

この食い違いは、聞き取り調査の結果によって施設側の管理責任の議論を左右する。労働基準監督署や警察の調査が入る場合も、入口の状況は確認対象になる。約1500人の従業員がいた施設で、再入館をどう扱っていたかという話でもある。

順番が逆だった

会社の説明は三度動いている。7月28日、爆発。当初は取材を断っていた。8月2日、通夜の場で指示の存在を認めた。3日、遺族への当初説明が事実と逆だったことを認め、公式サイトに謝罪文を掲載した。

順番の話は、こうだ。ハビタは当初、「売上金を金庫に戻してほしい」と依頼する前に、大竹さんの側から「荷物を取りに戻りたい」と申し出があった、と遺族に伝えていた。実際には、売上金の依頼が先だった。

テレビ朝日が伝えた親族とのやり取りは、次のようなものだった。親族が「売上金を金庫に入れてくれと言ったのが先ですよね。私から電話があって詰められてすり替えただけでしょ」と問うと、湯瀬氏は「そういうことになります」と答えている。

湯瀬氏の釈明は、「私がちょっと錯綜していて、荷物を取りたいと言ったのは金庫に金を入れてほしいと言った後」「店長とのすり合わせの時に判明し、聞いた時点で思い込んでしまった」というものだった。

親族は「認めてください。ここまできてそこまで言いますか。玖瑠美はいないんですよ、命がなくなっているんですよ」と述べた。母親は通夜の場で「娘は帰ってこないんですよ。帰れと言ってほしかったです」と話している。

大竹さんが駐車場で親族に偶然会っていなければ、この経緯は確定していない。

残っているもの

ハビタが公式サイトに掲載した謝罪文は、産経新聞によれば、館内に戻る指示など詳細には触れていない。

労働基準監督署の調査着手は、3日時点で報じられていない。前稿で書いたとおり、労働安全衛生法25条は事業者に退避義務を課す形で書かれており、労働者の側に退避権と不利益取扱い禁止の明文はない。他3店舗で連絡を受けた店長たちも、同じ制度の下にいた。

爆発原因の調査は、指示の話とは別の系統で進んでいる。経済産業省と高圧ガス保安協会の専門家による現地調査が入り、LPガス事業者への聞き取りも行われている。日本テレビは独自取材として、損傷の激しい2階南側にフロアマップへ記載のないエリアがあったと報じた。爆心地の可能性が指摘されている。

2日の通夜には数百人が並び、3日に告別式が営まれた。中学時代の友人は「売上金が大切なのは分かるが、なぜ戻らなければならなかったのか」と語っている。

一方、車中泊をしていた70代女性が熱中症とみられる症状で亡くなり、認定されれば今回の地震で初の災害関連死となる可能性がある。

大竹さんがイオンモール熊本に異動したのは、7月上旬だった。その店舗に戻ったのが7月28日午後5時35分ごろ。爆発は午後5時50分ごろだった。

地震と、その後の事故で亡くなられたすべての方に哀悼の意を捧げます。

(本稿の事実関係は8月3日時点のもの。湯瀬氏の肩書きは産経新聞の表記に従った。朝日新聞は取締役と伝えている)


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