【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中健一編#9
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
そろそろ直感的に今何番目か解んなくなってきたw
で俺の持ちキャラはこいつ。
今回はこの力作にからめて書いてみるかね。
気配を消す少女
あんたもなんか悩みってのがあるかい?
まあ生きてりゃガキンチョから御老体まで悩みってのはあるもんだと思うんだよな。
最近の俺の悩みといえば、仕事のトラブルと、何か知らんけれど少年少女の悩みが耳に入ってきちまうことだ。
だから、悩み事を聞くとなんか話しかけたくなっちまうんだよ。
いや、わかってるさ。それはオマイが勝手に話しかけるからだろって。
でもなぁ、コレばっかしはクセみたいなもんで直そうにもどうにも出来ないんだ。
耳栓でも買って普段しとけば良いのかね。
でも少年少女がため息でもついている姿が見えたらどうにもならんわけよ。
たまには俺の悩みを聞いてもらいたいもんだぜ。
で、いつも通り残業でゴキブリホイホイ(ファーストフード店の見た目で俺がそう呼んでるだけ)で腹ごしらえに来ているわけだが、とりあえず座ったカウンター席でいつものセットを食おうとする。
あ、また野菜忘れた。
まあ、もういいや。
で、いつも通りポテトから食ってたんだけれど、目の端に誰かがいる感じがした。
ちらっと見るといつも見る制服をまとった少女が座っていた。
見ない顔だなあと思って転校生かなんかか?とか思ってチラ見を続ける。
おかしい。
何かがおかしい。
なんつーんだ。気配がしない。
それでいて、目はそこかしこにいるヒトたちに向けられている。
なんだ?タカさん(探偵業)とこのバイトかなんかか?
そのくらい気配が消されている。
少女。その年齢でどうやってその技術を身に着けたんだ?
気配の消し方
なるほど。俺も気配消しとけばいたずらに誰かに絡むこともないのかもしらん。
そう思って、ちょっと少女を観察してみる。
う、はたから見ると変質者の類になるな。これ。
と思いながらも、観察を続ける。
まず、驚くほど体の動きが少ない。
普通ならクセとかでどっかの体が動くもんだと思う。
わかりやすいのは貧乏ゆすりとかだけれど、そこまででなくても、鼻をすするだとか、頬を掻くだとかありそうなもんだ。
そういうのがまったくない。
なんなら呼吸してんのかこの少女とか思っちまったくらいだ。
ちっと真似してみっか。
体を無駄に動かさず、呼吸を周囲の音に紛らわせ、それでいて周りに目を配り続ける。
……うん。無理だ。
俺には探偵は出来ねぇな。
あれかね。
少女のつけている分厚い眼鏡が必須アイテムなんか?
目線を隠すためのやつなんか?
ナニモンなんだ?
この年齢でこの所作。
タダモンじゃない。
そう思ってふと考える。
あれ?もしかして、俺もチェックされてたりする?
たしかにこのゴキブリホイホイにはよく来るし、見られてたとしても、たぶん俺は気づけていない。
そう考えたらちっと怖くなって、いそいでポテトとハンバーガーをアイスティで流し込んで店を出た。
この年齢になって、少女に戦慄を感じるとは思ってもいなかったぜ。
会社に戻る道中も、やたらに人目が気になって、何も悪いことをしているわけじゃないのに、犯罪者になった気分だ。
うぉう怖いぜ。
さっさと会社に戻ってPA会の報告書まとめて帰ろう。
「あれ?田中さんじゃん」
いきなり声をかけられる。
振り返るとそこにはタカがいた。
「いきなり声かけるんじゃないよ!ビビるじゃんか」
「何?なんか後ろめたいことしようとしてる?」
タカはこういう感情の裏表を読むのが得意だ。
流石に探偵ってところなんだろう。
「こちとら品行方正が売り物のサラリーマンだぜ!んなわけあるかい」
「いや、やたらにビクついてるからよ」
そんなに俺ってわかりやすいのか。
そりゃあ、目立つなって方が難しいって話なのかもな。
「いや、そこのファーストフードでやたらに気配を消してた少女を見て、俺も気配を消せるかって試してたんだよ」
「うん、失敗してるな」
わかってんだよ!と心の中で毒づく。
「まあ、気配なんて消すもんじゃないさ。田中さんは田中さんなんだから」
またわかったようなこと言いやがるぜ。
「じゃあ俺、葵に行ってっから」
「たぶん今日は行けないぜ」
タカは背中越しに手を降って去っていった。
あの少女もあの少女として生きてきたからあの所作なのかもな。
そんなふうに思って俺は会社に戻った。
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