痛みはいつか、誰かの希望になる
私たちが個人的に味わってきた「痛み」や「もがき」は、乗り越えたときに、そのまま価値に変換できます。
壮絶な体験をしてきた人、長いあいだ苦しさを抱えてきた人ほど、本当は誰かに届けられる言葉や物語をたくさん持っています。
乗り越えた先で、その経験は、誰かにとっての「希望の証拠」になるからです。
今はもがいていて、苦しくて、「とてもじゃないけど発信どころじゃない」と感じている人もいると思います。それでも、タイミングが来れば、必ず乗り越えられる。
「いつか」は必ず来ます。
そして、その「いつか」を通り抜けたあなたは、どれだけ多くの人に希望を渡せるんだろう。
その経験を語ることが、あなたのミッションになるかもしれない。
そこには、自信を持っていいと私は思っています。
私自身もそうでした。
まだど真ん中で溺れかけていた頃は、とても発信なんてできなかった。
「こんな状態の自分が、人に何かを語るなんてダメだ」と思っていました。
でも、時間をかけて、自分の中で「もう大丈夫。これは“乗り越えた”と言っていいな」と感じられるポイントを一つひとつ通過してきて、ようやく「これは伝えていい」と思えるようになりました。
完璧になれたわけでもないし、「最高の自分」になった感覚があるわけでもない。
ただ、自分の中で明らかに質が変わったラインがあって、そこを越えたときに「このテーマは伝えていこう」と決めたんです。
そうしたら、伝えたいことがどんどん溢れてきました。
週に何本かnoteを書いても、テーマが尽きない。
忙しすぎて書けない週はあっても、「書くことがない」という意味で止まることはもうありません。
一方で、ここは少しだけ強く伝えたいのですが。
「まだ溺れている最中なのに、人を助けることを仕事にしてしまう」危うさも、現場ではよく見かけます。
苦しさの真っ只中にいる自分を、「誰かの役に立っている自分」という形で救おうとしてしまう。
コーチングやカウンセリング、セラピーを、自分を支えるための浮き輪として握りしめてしまうパターンです。
こうなると、クライアントと一緒に溺れていくことがあります。
あるいは「役に立っている私」で自分の価値を証明しようとして、相手を依存させてしまうこともある。いわゆる「依存型コーチ」「依存型カウンセラー」は、この構造になっていることが少なくありません。
表面上の出来事はもう終わっていても、その奥にある自分自身のテーマやビリーフはまだ全然癒えていない、というケースも多いのです。
その状態だと、フラットにクライアントと関わることができません。自分の課題を相手に投影してしまい、知らないうちに「自分を助けたい気持ち」を相手にぶつけてしまうからです。
だからこそ、まずは「自分がフラットに人と関われる状態になること」に集中してほしい。
そこまで来たとき、あなたが乗り越えてきた経験は、とてつもなく大きなリソースになります。
「乗り越えよう。大丈夫、乗り越えられるよ」と言いたい一方で、もう一つ大事なことがあります。
それは、「乗り越えるタイミングも、人それぞれ」ということです。
環境が整うタイミング、支えてくれる人との出会い、自分の心と身体が準備できるタイミング。
それらが揃っていないのに、「早く手放さなきゃ」「さっさと乗り越えなきゃ」と自分を急かすと、かえって苦しくなることもあります。
だから、焦らなくていいと思うんです。
今はただ、生き延びることに精一杯でもいい。
いずれ、あなたが自分の足で立てるタイミングが必ず来ます。
その時まで、その痛みを抱えている自分を、どうか見捨てないでいてほしいなと思っています。
そして、自分のペースで乗り越えたとき、その経験は、あなたと同じように苦しんでいる誰かにとっての「灯り」になる。
その日のために、今はただ、あなたのペースで生きていていいのだと思います。
著者プロフィール:
Effica株式会社 代表取締役
全米NLP協会認定トレーナー
柳下早紀
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