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パーパスとは何か──基礎からわかる存在意義(復元記事)

はじめに──この記事について

操作ミスで削除してしまったため、再アップします。以前コメントやシェアをしてくださった皆様、本当にありがとうございました。

この記事では、「パーパスとは何か?」という基本的なところを整理していきます。
VUCAと呼ばれる変化の激しい時代において、なぜパーパスがこれほど注目され、必要とされるのか。現場での支援経験を交えながら、整理してみました。



パーパスとは何か──ミッションとの違い


多くの企業にはすでに、ミッション・ビジョン・バリュー(M/V/V)が存在します。
では、なぜあえてパーパスを再定義する必要があるのでしょうか?

ミッションは「自社がどうありたいか」

ミッションとは、たとえば
「私たちは〇〇のような企業でありたい」
「〇〇の価値を提供する存在であり続けたい」
という、企業の内側から見た理想や決意です。

多くの場合、ミッションはスローガン的であり、「私たちはこうありたい」という宣言で終わってしまうことが少なくありません。

パーパスは「社会との接点にある存在意義」

一方でパーパスは、こう問います。

私たちは、なぜ存在するのか?
私たちがこの社会に提供している価値は何か?
私たちが消えたとき、社会は何を失うのか?

つまりパーパスは、社会に対する“存在意義”の明確化です。


ミッションが「どうありたいか」という内向きの自己定義であるのに対し、
パーパスは「なぜ存在するのか」という外向きの社会関係性の中にあります。


なぜ今、パーパスが求められるのか?


その背景には、VUCA(先行き不透明で変化の激しい)な時代性があります。

多くの企業がこれまで頼ってきた中期経営計画─いわゆる「3年後、5年後の戦略シナリオ」は、変化のスピードに追いつかなくなっています。

実際、私が支援した企業でも、中期経営計画を廃止し、その代わりにパーパスを明確化するという意思決定を行った事例があります。

入山章栄教授(早稲田大学ビジネススクール)も『世界標準の経営理論』の中で、

「5年計画はもはや意味をなさない」
と述べており、私も現場感覚として強く同意します。

パーパスは、戦略を束縛するものではない

誤解されがちですが、パーパスは「戦略を固定するもの」ではありません。
むしろその逆です。

事業ドメインが変わっても揺るがない軸としてのパーパスがあるからこそ、変化に柔軟な企業運営が可能になるのです。

事業戦略(=How)は変えていい。
でも、「なぜこの会社が存在するのか」(=Why)だけは、変えてはいけないものなのです。


「正解のない時代」に必要なのは、共通軸

事例1|富士フイルム──ピボットを可能にしたのは何か

典型的な事例が、富士フイルムです。
写真フィルムという主力事業が急速に衰退した際、同社は自社の軸を「ナノテクノロジーによる価値創造」に再定義しました。

その結果、化粧品・医療・バイオなど新たな領域へ大胆にピボットし、成長を遂げています。

この変化の根底にあったのは、
「社会に対して、どんな価値を届ける存在か?」というパーパス的視点の明確さでした。
もうひとつ、パーパスが求められる理由があります。
それは、誰も正解を知らない時代になったということ。

これまでのように、上司が正解を知っていて、それに従えばよい時代は終わりました。
変化が速く、過去の成功パターンが通用しない現代では、
若手でも、ベテランでも、自分で考えて判断する力が求められます。

そのとき、必要になるのが自由のための共通軸です。
行動をルールで縛るのではなく、抽象度の高い理念=パーパスで方向性を合わせるのです。

事例2|リッツカールトンの“裁量と信頼”を支えるもの
リッツカールトンには、スタッフ一人ひとりが2000ドル(約30万円)までの裁量を持ち、お客様のために自由に判断できるという仕組みがあります。

この大胆な自由が成り立つのは、

「お客様に感動体験を届ける」
という共有されたパーパスが組織に深く根づいているからです。

自由には、責任が伴います
その責任を支えるのが、“自分の頭で判断する力”と“共通の価値観”です。


パーパスが機能しない企業に共通すること


私のもとには、「パーパスを作ったけれど、活用できていない」という相談がよく届きます。

よくよく話を聞いていくと、
“個人との接続”が設計されていないことがほとんどです。

どれだけ美しい言葉でも、自分の人生や価値観と重なっていなければ、人は動きません

だから私は、パーパス策定の際、必ず
「社員一人ひとりが、自分の軸と重ねられるプロセス」を組み込みます。

名和高司氏の言葉に寄せて

名和高司氏(『パーパス経営』)はこう言います。

「パーパスは掲げるものではなく、実装するものだ」

私も同じ想いです。
実装とは、現場の行動が変わること、意思決定に影響すること、迷ったときの拠り所になること
そうでなければ、ただの額縁の言葉です。

そして、もうひとつ私が感じているのは
「パーパスが形骸化してしまうもう一つの原因」についてです。

それは、パーパスの策定プロセスを社内の限られたメンバーだけで完結させてしまうこと。

たとえば、役員会議で話し合って決めました、というようなケース。実際に多く見かけます。
そのとき、外部のプロフェッショナルを入れないと何が起きるか。

「それっぽいけど、どこの会社にも当てはまりそうな言葉」に落ち着いてしまうのです

よくある言葉の例
「持続可能」「豊かさ」「幸福」「希望」「喜び」「信頼」「共生」「チャレンジ」「イノベーション」…
それが組み合わさったありふれた表現の例
「持続可能な社会の実現」
「人々に豊かさと幸せを」

…たしかに悪くない。でも、その会社じゃなくても言える言葉なんですよね。

パーパスは、「その会社である理由」がにじみ出てこそ機能します。
その会社の歴史や文化、強み、思考の癖。表面的な議論では出てこない、無意識に刻まれている“らしさ”が、そこに含まれていることが大切です。
ここで、逆に、差別化されたパーパスに共通する特徴も見てみましょう。
• 具体的な出来事や体験からにじみ出た言葉
• 社員が実際に使っている社内語・感覚語
• 一見すると変だけど、語れば深い“意味のある言葉”

例:
パナソニック「モノづくりに心を」
リクルートの「まだ、ここにない、出会い。」
私は、パーパス策定のプロセスを支援する際、
ワークや対話を通じて、思考の深い層から“その会社らしさ”を掘り起こす設計にしています。

そして最終フェーズでは、必ずコピーライターなど言語化のプロとともに磨き上げていきます。
それまでの議論や言葉の断片をすべて受け止めたうえで、その会社の核がにじみ出る表現へと仕上げていく

それが、“使えるパーパス”と“語られるブランド”の土台になると私は考えています。


NLPという実装技術


こうした“パーパスの接続”には、従来は数ヶ月〜半年程度かかることも少なくありませんでした。

私は、NLP(神経言語プログラミング)という技術を活用することで、
個人と組織の軸を短期間で結びつける支援を行っています。

具体的には、
• 自分自身の価値観を掘り下げ、
• 組織のパーパスと重なる部分を言語化し、
• 日々の意思決定や関わりに落とし込む

といったステップを、対話とワークを通じて設計しています。


まとめ──パーパスは“問い”である


パーパスは、もはや「掲げているかどうか」ではありません。
“どう使えているか”が問われているのです。

変化が激しく、不確実性が高まる今だからこそ
自社の存在意義を問い直し、社員一人ひとりと重ねていくこと。

それが、組織の強さを根底から支える力になります。

最後に、私がパーパス策定の場で必ず問いかけている言葉を、ここに記して終えたいと思います。

「あなたの会社が、明日なくなったら、社会は何を失いますか?」

その答えについて対話することが、パーパスの始まりです。

著者プロフィール:
Effica株式会社 代表取締役
全米NLP協会認定トレーナー
柳下早紀

公式サイトはこちら:https://effica.co.jp

▼後編はこちら




参考資料
• 入山章栄『世界標準の経営理論』(ダイヤモンド社)
• 古森重隆『不屈のイノベーション』(日本経済新聞出版社)
• 高野登『サービスを超える瞬間』(かんき出版)
• 名和高司『パーパス経営』(東洋経済新報社)
• 各種企業サイト・事例記事等


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