『東雲:シノノメ』 その名と色が示す古典椿の美学に迫る
今回のこれで、3000本目の記事との事らしい事からとびきり美しい古典椿の紹介をしようと思う。
東雲 (シノノメ)
江戸時代の園芸ブームに始まり現代に至るまで、多くのツバキファンを魅了してきたツバキ品種である。
『東雲』(シノノメ)という品種は、その名の響きもだが、その花姿や花色ともに風情のある品種である。
先ずはこの名の由来からである。『シノノメ』の言葉とはかつて住居の明かり取りに使われてきた『竹の網目』が語源となる古語『篠ノ目』から転じた言葉と言われる。
古風で雅(ミヤビ)な響きを持った素敵な言葉である。これが転じて夜明けの空の意味を表した感じで『東雲』と同じ『シノノメ』のヨミでも使われる事となる。
夜が明けようとして東の空が明るくなってきた頃の事、つまり明け方を指す言葉である。陽が昇る東の空の事を
東の雲と表現する、とても詩的な言葉であると思う。
そしてこのツバキの花色である。その花色が『闇夜が明けて東の空が、じわじわと明るく染まっていくその時に一瞬見せる曙光』を連想させることから名付けられる。
『シノノメ』の品種の花色の特徴は、『鴇羽』(トキハ)色と呼ばれるもので、その文字が示す通り鳥の『鴇』(トキ)の羽色を表したもので、独特な色が特徴となる美しい椿である。
この様に『シノノメ』と云うツバキは、美しき古語の音の響きの美しさと、花色を空色と鳥羽色とを対比させた、江戸時代からの古典椿にも相応しい銘が選ばれたものとなっている。
この古典椿は、京都は哲学の道沿いにあるツバキの名所である、大豊神社(オオトヨジンジャ)にて咲いていた姿を、じっくりと時間を掛けて撮影したもの。















以下に、この『東雲』が掲載されている文献を記載
文献 百椿集(ヒャクチンシュウ)
発刊 1630年(寛永7年)
編集 安楽庵策伝 (アンラクアンサクデン)
点数 タイトル通り、100種を掲載
備考 日本最古となる椿の専門書として発刊
背景 椿ブーム到来の火付役にもなったもの
文献 椿花図譜(チンカズフ)
発刊 1635年(寛永12年)
編集 烏丸光広(カラスマルミツヒロ)公爵
点数 椿の品種が約600種掲載
備考 写実的で美しい各種の椿が載る彩色図譜集
背景 徳川秀忠や家光が椿を愛した事から江戸と
京都で、最初の椿ブームが始まった時期
文献 草木写生(ソウモクシャセイ)
発刊 文政〜天保年間(1820〜1830年)
編集 各派によって独立編集された図譜が発行
河野鉄兜(コウノテットウ)
円山応挙(マルヤマオウキョ)の一派
点数 椿に関しては200種ほどが掲載
備考 江戸時代の絵師達による写生図集であり
各種の植物が掲載され、椿は頻繁に登場
背景 椿ブームを反映、一重、八重、千重、唐子の
花図以外、変わり葉椿も多く図譜に登場
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和名 椿
(ツバキ)
洋名 ジャパニーズ カメリア
(JAPANESE CAMELLIA)
学名 カメリア ジャポニカ
(CAMELLIA JAPONICA)
品種 東雲
(シノノメ)
分類 ツツジ目、ツバキ科、ツバキ属
種類 常緑低木
草丈 1〜2m
開花 11〜3月
花色 紅色地、白斑入
花径 5〜7cm 中輪
咲型 千重咲
蕊型 蕊なし(千重咲ゆえ)
原産 日本、出雲
言葉 誇り
控えめな優しさ
撮影 2025年3月1日
場所 大豊神社
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