知的退行時代②:中国、スラングに飲み込まれる子どもたち
「6-7(シックス・セブン)」という、アメリカの若者スラングを紹介した投稿を興味深く読みました。
というのも、そこで描かれていた現象が、まったく同じ形で中国にも広がっているからです。
中国では2020年前後から、「梗」(ネタ・ネットミーム等、広範囲の意味として使われる)が若者を中心として流行。一方で、子どもの言語能力の低下やコミュニケーション問題も話題になり始めました。
一見すると別々の国のトレンドですが、その背景には共通して抱える「ミームにまつわる社会問題」が潜んでいます。
前回の高齢者問題に引き続き、「知的退行の時代」シリーズ第二弾の今回は、中国社会におけるミーム文化について解説します。
中国ミーム文化の変容と拡大
若者文化から社会問題
中国で「梗」が話題になり始めた当初は、若者の流行語として取り扱われていました。「凄い/素晴らしい」を意味する「666」は2017年ごろに登場、当時は若者文化の一つとして、好意的に解釈されていました。
騰訊のSNS事業群市場部の李丹総経理は、「言語と文字は文化の代表であり、縮図。今の若者のリアルな姿を生き生きと反映しており、その他の世代の人々が彼らのことをよりはっきりと理解できるように促すため」と説明する。
しかし、「神ってる」を意味する「YYDS」が登場した2021年ごろにはすでに賛否両論あることが分かります。
昨年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)では、代表数人が、「ネット用語を整理しながら改善」したり、「下品な言葉を禁止」したりして、ネット用語の乱用を減らし、中国語の保護を強化しなければならないと指摘した。一方、多くの専門家は、「ネット用語を禁止する必要はない。ネット用語は言葉が移り変わる過程で生まれる自然の産物で、わざわざ禁止する必要はない」との見方を示している。
明確に社会問題として取り上げられるようになったのは2023年ごろ。当時、国営放送テレビであるCCTVは子どものミーム氾濫を特集しました。

この頃に話題になったニュースでは、ある小学3年生の作文に対する先生の苦悩が紹介されていました。

作文の一部「漏漏漏有包头、砖头里动的是蛆、猫里猫里猫里猫里、砖头里动的是蛆……」*ほぼ意味のないナンセンスな文字列
当初、先生は意味が分からなかったのですが、後ろのほうに書かれていた 「拴Q(xuan Q : Thank you の当て字)」 という言葉を見た瞬間、理解しました。生徒が書いていたのは、すべて歌の歌詞だったのです。
その瞬間、先生は「一気に血圧が跳ね上がり、頭痛がした」と感じたそうです。知らないうちに「梗」が少しずつ子どもたちの現実生活へと浸透してきていたのです。
このように「梗」は、子どもたちの学習への悪影響をキッカケとして、問題視されるようになりました。

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