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スリー・ディグリーズ「にがい涙」——歌とサウンドの魅力を聴く #2

まずはこちらの前編からどうぞ。

『にがい涙』を聴き直してみると、最初に感じた印象とはまた違った魅力が見えてくる。

スリー・ディグリーズといえば「天使のささやき」のようなしっとりとしたコーラスを思い浮かべる方も多いと思うが、この曲はそれとは少し趣が異なる。

『にがい涙』は、はっきりとしたリズムと力強いボーカルが前面に出た、とてつもなくエネルギーのある楽曲だ。


見てたはずよ あたしの気持ちが
少しずつ あなたの方へ 
傾いていくのを 見てたはずよ


出だしから、言葉を1音ずつ刻むようなリズムで歌い出されるこのフレーズには、どこか切迫した気持ちが感じられる。

やわらかく包み込むような歌声というよりも、思いがしっかり伝わるよう届けようとする力強さ。こうした表現は、「天使のささやき」とはまた違った魅力だと思う。


それにしても、歌唱の確かさには目を引かれる。

日本語の発音がとても自然で、言葉のひとつひとつがきちんとこちらへ届く。無理に歌っている感じはなく、むしろ最初からこの言語で歌うことを前提にしているかのような安定感がある。
気持ちの余裕もあって、楽しんで歌っているのが分かる。

当時の録音環境や制作背景を思うと、その完成度の高さには驚くばかりだ。


曲全体としても、リズムの強さとメロディの親しみやすさがうまく組み合わさっていて、思わず体で拍子を取りたくなるような心地よさがある。

”さすがは筒美京平!”なのである。

当時の音楽番組では生演奏のバンドが入ることが多く、今回紹介している映像でも、厚みのあるサウンドが印象に残る。
ホーンの響きにはずっしりとした重みがあり、ソウルフルな雰囲気をしっかりと支えているように感じられる。


当時はただ「めずらしい曲だな」というだけの印象だったが、こうして聴き直してみると、彼女たちの歌そのものの力や、丁寧に作られた楽曲としての完成度の高さがよりはっきりと見えてくる。

『にがい涙』が今も語られる理由は、こうしたところにもあるのかもしれない。

この曲をどこかで耳にしたことがある、そういえば思い出した、という方も多いのではないだろうか。


この曲がどのように歌い継がれてきたのか、次は「カバー」という視点からも少し見てみたいと思う。

第3回はこちら。

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