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怪談:【臍がらみ】第6話 「岸辺」【創作大賞2024参加作品】


行方不明の2名の女子生徒の一人、古田理沙のXのアカウントに投稿されていたポスト


なるほど、これがこの前言っていた古田理沙のスマホから投稿されていたポストか。これで全部か?」

 俺のスマホを人差し指と親指で挟み、わざとらしく顎髭を撫でながら岸辺は興味深そうにしていた。

「いや、古田理沙に関してはこれまでの投稿を全て削除して件のポストを行方不明になってから投稿していたようだ。どう思う?」

「面白い、ネタになる」

「真面目に言えないのか」

「大真面目だ、今テレビ局で都市伝説番組を組んでいるんだがありきたりな既出ネタばかりでな、これを盛り込んでも良いんじゃないかと言えるくらいには面白いぞ」

 大学時代から変わらない飄々とした態度、彫りが深く整った顔つき、変わったのはヒゲを生やしたことくらいだ。

 こちらが眉を顰めていることに気づくと崩していた姿勢を直して彼は続けた。

「冗談だよ、妹さんは気の毒にな。あの怪談はもう大分広まっちまって顔も晒されちゃってるじゃないか、一部の心無いやつなんかは妹さんが呪いの根源なんじゃないかなんて言っている。心中お察しするよ」

「最近は学校を休むようになった、こちらとしては目の届く場所にいてくれるのは助かるが……」

「相手が人間だって思ってるのか?モノホンの怪異とか幽霊だったら居場所を把握してたって意味ないぞ」

「それでも1人になった奴がやられるのがホラー映画の定番だろ?」

「それもそうだな、それでそっちでの調査はどうなんだ?」

「いや、やはり“うみお”という奴は【だるまさんがころんだ】以外の怪談はどの小説系のサイトにも投稿していないようだ」

「なるほどな、お前は相変わらず取材力がないな、発想が足りない」

 ムッとすると彼は「怒るなよ」と言いたげに両手をわざとらしく動かしながら続けた。

「お前も俺も創作を始めた時、一つの媒体だけにこだわったか?違うだろ?」

 そういうと彼はバッグの中からノートPCを取り出し、画面をこちらに向けた。そこには大きく『SSゴースト速報チャンネル』と表示されていた。いわゆるネット掲示板のスレッドをまとめたサイト、しかもオカルト系の読み物を集めていたであろうまとめサイトだ。あまりの懐かしさに頭の中にフワッと風が通り抜けるような感覚がした。

「ネットでホラーといえば洒落怖だろ?八尺様とかくねくねとかさ、いっぱいあったろ」

「確かに学生の頃はこういうのを読み漁ってたな、懐かしさにクラクラするよ」

「わかるぜ、それに俺は件の怪談を読んだ時に洒落怖と似たような読み味を感じた。もしかしたら作者は結構歳近いのかもな。」

 たしかに、じめっとした書きっぷりに全てが明らかになるわけではない話の不透明さ、理不尽さはコトリバコとかきさらぎ駅のような往年のネットホラーに通づるものを感じる。

「それでこれを見つけた」

 彼奴は得意げに言うとゆっくりを画面を下へスクロールする。するとSSのタイトルが画面の下からフェードインしてくる、こういうところで勿体ぶるのは演出家としての仕事病なのだろうか。そして、そのSSのタイトルは……

「【大切な家族】……」

「重要なのはそこじゃない、スレ主のネームを見ろ」

 スレ主というのは掲示板のスレッドを立てたユーザー、読み物系の掲示板の場合、その読み物の作者にあたる。

◆FdkaBkUmio

「“うみお”だ……」

「俺はもう読んだ、読んでみろよ」

 そう言うと岸辺はノートPCをこちら側に寄せてきた。
 キーボードに手を置き、ゆっくりとスクロールをし始める。

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