セミの抜け殻から学んだこと(番外編研究ノート)
○月☓日
以前、
セミが減った気がするという
話を書いた。
そんなある日、
学校へ向かう途中で、
木にしっかりと
つかまっている
セミの抜け殻を見つけた。
今にも動き出しそうなのに、
もちろん動かない。
ここから、
あの羽のある姿になって
飛び立ったんだなと思うと、
改めてすごい。
あの小さな体で、
ずっと着ていた殻を脱ぎ、
大人になる。
なんだか少し感動した。
そういえば、
子どもの頃、
セミの抜け殻を
大量に集めていた友達がいた。
あれは一体、
何が目的だったのだろう。
種類を調べていたのか。
コレクションだったのか。
それとも、
ただ単純に
「いっぱい集めると嬉しい年頃」
だったのか。
今となっては謎である。
そんなことを、
どうでもいい研究テーマのように
考えていた翌日。
家の中で、
また抜け殻を発見した。
……いや。
セミではない。
部屋着である。
脱いだまま、
見事に床へ置かれていた。
「おい」
犯人は、
だいたい予想がつく。
次女を呼んで事情聴取。
「はーい。
気をつけまーす。」
素晴らしい?返事だった。
数日後。
また抜け殻が落ちていた。
何回脱皮するつもりなのだろう。
脱皮するなら、
ついでに片付けまで覚えてくれ。
そう思った。
……でも、ふと我に返る。
人のことを言えるのだろうか。
自分も使ったものを
ヒョイッと
置いてしまう前科がある。
子どもは親を見て育つ。
まずは、
自分がちゃんと
脱皮しなければいけない。
そう決意した。
しかし、
決意というものは、
現実への反映に
少し時間がかかるらしい。
どうやら我が家では、
セミより人間の方が、
脱皮に時間がかかるらしい。
たぶん。
以上、研究ノートより
