資産運用で築く「豊かな将来」 〜FP技能士が贈る未来へのヒント2〜 10/20
10/20 資金の割り振りを考える
前回までのあらすじ
香緒里と麻緒はファイナンシャル・プランニング技能士である元永からライフイベントについて説明を受ける。教育資金、住宅資金、老後資金についての話を聞いて、資金の割り振りについての話を進めていく。
「それでは『資金の割り振り』について考えていこう。先程のライフイベントの話から『目標』と『目的』については明確になったと思う。次は、いま持っているお金をどう運用するか、という話をする」
「いま持っているお金をどうするかってことですか……」
麻緒が真面目な顔でそう言うのに、元永は大きく頷く。
「そう。いま手元にあるお金は、ざっくりと『生活費』『貯蓄』みたいなラベルが貼られてると思う。それをもう少し、細分化していこう」
日常生活で使うお金:流動資金(生活費)
貯めておくお金:安定資金(生活防衛資金)
すぐに使う予定がなく増やしたいお金:余裕資金(収益資金)
「大きく分けるとこの3種類。『流動資金』と『安定資金』はいま日常的に触れているだろうし、すでにやっていることだと思う」
「はい。あくまで自分の感覚ですけど、日常生活でお金を使って、使わなかったぶんは貯蓄として残っているような感じです」
麻緒が素直に言うと、元永は頷く。
「うん、麻緒さんの言う通り。必要な『流動資金』を使った後に残るのが『安定資金』という認識で間違いない。そこに新しく、『余裕資金』という枠を加えるイメージだよ」
参考:資産運用の基本(JAバンク)
参考:目的に応じてお金を分ける(東海東京証券)
麻緒が不思議そうな顔で首をひねる。香緒里も不思議そうな顔で見つめていた。
「先程、生活費の管理の話をしたけど、それができると『流動資金』と『安定資金』がいくらになるかの計算ができるはず」
「……あ、そっか。『流動資金』と『安定資金』が分かれば、そこから『余裕資金』を作ればいいんだ?」
「麻緒さん、正解。でも、『流動資金』と『安定資金』からいくら取り出せばいいか、判断つかないよね。例えば『安定資金』を全て『余裕資金』に割り振ると、突然の事態に対応できなかったり、運用している資産の暴落は直接大きな打撃になる」
元永の言葉に麻緒と香緒里は大きくうなずく。
「参考資料として、世界的に見て日本は『安定資金』である貯蓄に割り当てる率が高い、というデータもある。これによると、日本人は収入のおよそ50パーセントを現金や預金に充てていて、資産運用は20パーセントぐらい。それに対してアメリカでは、現金・預金は11.7パーセントで、資産運用が57.9パーセント。このように、一概にどれくらいが妥当か、という判断はしにくい」
「じゃあ、どうすれば……?」
麻緒が素直な質問を言葉にすると、元永は頷く。
「これはあくまで僕個人の意見だけど……以下のステップを踏むといいと思っている」
『安定資金』を3〜12ヶ月分貯める
それを超えるお金を『余裕資金』にまわす
「つまり、まずは『安定資金』を一定額溜めて、そこから溢れる分を『余裕資金』に充てる、ということですね?」
「うん、麻緒さんの言う通り。具体的な金額については色々な意見がある。だけど、『なにかあった時のために資金を蓄えてから、余裕資金で資産運用を始める』というスタイルは同じ。要は、人それぞれなので正解というのはないんじゃないかなと思う」
「なるほど……じゃあ、自分のスタイルに合わせて、と考えて良いのでしょうか?」
香緒里の言葉に元永は大きく頷く。
「そうだね、その認識でいいと思う。ただ、それだと貯められないという人もいると思うから、『毎月、固定額を自動引き落としにして、余裕資金を作る』というやり方もあるよ」
「あー……確かに、給料から天引きされていれば、残った額でなんとかしようと考えますもんね……」
麻緒は自分に心当たりがあり過ぎて、苦い顔で呟いた。
「麻緒さんの言う通り。iDeCoがそれに向いているし、NISA口座で毎月積み立てを設定するなど、やり方は色々とある。……さて、次は資産運用で大切な、『取るリスクと得られるリターン』について話を進めよう」
注記
この物語は筆者の想像に基づいたフィクションであり、登場する人物、団体、および物語上の設定はすべて架空のものです。作中に登場する実在の地名や場所は物語を彩るための舞台装置として用いており、現実の出来事や人物とは関係がありません。
免責事項
・資産運用には元本割れなどのリスクが伴います。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
・本記事は、執筆時点において公開されている情報をもとに構成したものであり、その正確性や有用性について、一切の保証をするものではありません。
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