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資産運用で築く「豊かな将来」 〜FP技能士が贈る未来へのヒント2〜 9/20

9/20 3つのライフイベントを掘り下げる

前回までのあらすじ

FP技能士の元永との対話を通して、麻緒は「資産の目減り」という現実と向き合う。 貯金だけでは資産は守れないことを知り、未来を守るための行動へと意識を向けていく。

「実際の手段の話に、先程話した『ライフイベント』を掘り下げていこうね。……麻緒さん、例えば20代の新社会人と60代の定年が近い人だったら、同じ運用方法で良いと思う?」
「……いや、思わない。20代はこれから多くのライフイベントを迎える。結婚と出産と教育、住宅購入を視野に入れながら、老後資金を作る必要がある。でも、50代ならライフイベントはほぼ終わっているだろうから、老後資金だけを気にしたらいいと思う」
 麻緒が戸惑いながらもはっきりと言うのに、元永と香緒里は頷く。
「麻緒さん、正解。そこで先程のライフプランの話だ。香緒里ちゃんや麻緒さんは、これから『教育資金』『住宅資金』『老後資金』、が必要になるライフイベントが起こる可能性がある。順番に、まずは『教育資金』について、見ていこう」

「小学校から大学までかかる『教育資金』は、環境によって大きな開きがある。住んでいる区域によって全然違うから、ここではざっくりと『小学校から高校まで公立、大学は国立だったら1,000万円ぐらい、すべて私立に通ったら2,200万円ぐらい』と、おおよその数字で仮定しておこうか。実際には、他にも仕送りなどが必要になるなどの支出があると思うけど、子どもを育てるにはこのぐらいの金額が必要、というざっくりとした目安で考えておいて欲しい」
「結構かかるんですね……」
「そうなんだけど、3大ライフイベントは誰しも通る道だから救済策はたくさんあって、返済不要な奨学金や低金利の貸付などの制度がある。ここでは深く触れないけど、とにかくこれぐらいかかるものだ、と把握してくれれば大丈夫」

参考:子供1人当たりにかける教育費用(日本政策金融公庫)

 言って元永は、パソコンの画面に映したスライドのページを送る。
「さて次は『住宅資金』。これは住宅金融支援機構、住宅ローンを貸付けている組織の利用者調査から読み解いていこうか。2024年のデータによると、中高住宅の2,573万円からマンションの5,592万円まで幅広い。おおよそ2,500万円〜5,500万円ほどかかる、と考えておくといいだろうね」
「ずっと賃貸でもいいんでしょ?」
 麻緒が素直にそう言うと、元永は頷く。
「もちろんそれでも構わないよ。ただ、60歳を超えると賃貸物件が借りにくくなるというデータもある。それを見てから、自分のライフスタイルから考えてもらえるといいかな」

参考:フラット35利用者調査(住宅金融支援機構)
参考:高齢の親は賃貸物件を借りにくい? 老後の家探しのコツを解説(UR都市機構)

「確かに、結婚して子どもをもうけたら、安心して暮らせる家に住みたいですもんね……」
 香緒里がそう言うのに、麻緒が少し驚いたような顔をする。どうやら彼女はその視点に初めて気づいたようだった。
「そうだよね、そうなると持ち家という話になる可能性は高いよね。だけど、それは自分のライフスタイルと比べて考えて欲しい。たとえば、出張や転勤が多い職種だったら賃貸の方が融通が効くだろうし、逆に、在宅勤務や自宅起業などで自宅で過ごす時間が多かったりするなら持ち家にお金をかける……という具合だね」
 元永の言葉に麻緒は顎に手を当ててすっかり考えこんでしまう。

「……じゃあ、最後に『老後資金』。これは、先程説明した生活費をベースに考えよう」
「先程元永さんが言っていた、『一人暮らしだと毎月約14.3万円。夫婦二人だと毎月約23.6万円』という目安ですね?」
「そうだよ。例えば、65歳まで働いてから年金を受給すると仮定しよう。それで、平均寿命の87歳まで生きるとして、22年の老後資金を逆算してみよう」
 麻緒がはっとなったように電卓を掴んで、即座に叩く。
「一人だと、3,775万円。2人だと6,230万円……」
「そうそう。その費用から、老齢基礎年金と老齢厚生年金を先程の金額から差し引けば、実際にかかるお金が導き出される。平均値から見るざっくりとした計算だけど、老齢基礎年金が年間70万円ぐらい、老齢厚生年金が年間175万ぐらいと仮定して、年間245万円受け取れるとしよう。だから22年で5,390万円という計算になる。もちろん、2人だと受け取る年金も2人分になる。この例だと、老後資金がなくても、年金だけでも充分な生活ができそうだね」
 香緒里は明らかにほっとした様子で、小さく息を吐く。
「子どものための『教育資金』、住宅の購入に必要な『住宅資金』、定年後の生活を支える『老後資金』、ライフイベントは理解できたと思います」
 麻緒が電卓から目を上げて、そう言う。それに元永は微笑みを返した。

参考:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額(日本年金機構)
参考:<みんなの平均>国民年金・厚生年金は実際いくらもらっている?(イオン銀行)
「良かった。これで資産運用の『目標と目的』は明確になったと思う。続いて、『資金の割り振り』について、考えていこう」


注記
この物語は筆者の想像に基づいたフィクションであり、登場する人物、団体、および物語上の設定はすべて架空のものです。作中に登場する実在の地名や場所は物語を彩るための舞台装置として用いており、現実の出来事や人物とは関係がありません。

免責事項
・資産運用には元本割れなどのリスクが伴います。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
・本記事は、執筆時点において公開されている情報をもとに構成したものであり、その正確性や有用性について、一切の保証をするものではありません。
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また次の作品でお会いできることを楽しみにしております。

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