資産運用で築く「豊かな将来」 〜FP技能士が贈る未来へのヒント2〜 6/20
6/20 なぜ資産運用が必要なの?2 〜老後の生活費と資産の目減り〜
前回までのあらすじ
忙しい日々を送る31歳の編集者、麻緒。 ある日、麻緒は自分が将来に対して何の準備もしていないという事実に直面する。そして後輩の香緒里の紹介で、ファイナンシャル・プランニング技能士である元永と話すことになった。
「香緒里ちゃん、安心して。老齢年金をもらえないという意見は根強いけど、それを明確に示せるデータは見つけられない」
暗い顔の香緒里に、元永は続けた。
「ただ、金銭的に破綻しにくいのではないかと推測できるデータはある。いま年金を運営しているのは『年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)』。年間で兆単位の運用利益を出している。詳しいデータは見当たらないんだけど、この収益が各種年金の給付額を超えないのであれば、金額的に崩壊する可能性は低いだろう、と推測できる」
参考:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
参考:年金積立金管理運用独立行政法人 2025年度の運用状況
「じゃあ老齢年金については安心していいのかな……?」
「そうだね。……ここで2人に質問だ。自分が平均寿命まで生きるとして、日々の生活の中でなにを考えたらいいと思う?」
「うーん……やはり気になるのは、生活費ですよね。自分が高齢者になった時、どんな生活をしているのか、想像できません」
香緒里は考え込んだ顔で、顎に手を当てながら言う。
「香緒里ちゃん、正解。そうだよね、そんな先の生活費なんて想像できないよね。だから、データを見てみようか」
「おおよその金額だけど、一人暮らしだと毎月約14.3万円。夫婦二人だと毎月約23.6万円が必要と言われている。つまり、老齢年金でこれ以上の額を受給できる人には、基本的に資産運用は必要ない、という見方もできる」
「……基本的に?」
元永の言葉に、麻緒はぴくりと反応する。この天性の勘の鋭さには恐れ入る、と香緒里は感じていた。
「そう、老後の生活費は、足元を見据えてできることをやろうという話だから、自分しだいでなんとでも調整できるはず。でも、絶対にどうしようもない生活費の変化と言えば、2つ目の答えは分かるかな?」
麻緒は少し考える。絶対にどうしようもないことで、最近話題になっていたお金の話題といえば……。
「……あ、インフレか!」
「麻緒さん正解。さすが世の中の情報に詳しいね。消費者が購入する商品やサービスは、年々上がり続けている。もちろん、インフレそのものが悪いわけじゃなくて、『景気拡大による需要の増加』から『収益の増加や賃金の上昇が行われて経済が活性化される』という流れであれば、健全なインフレだ」
参考:「インフレ」「デフレ」をおさらいしよう!経済現象の基礎用語を解説(三菱UFJ銀行)
そこまで言ってから元永はコーヒーを一口飲んで、それからまた続けた。
「けれど、インフレになるとなにが起こるのか。……はい、麻緒さん。いま手元に100万円あります。今後ずっとインフレが起こり続けたら、100万円の価値はどうなりますか?」
「え? いや、貯金20万円ぐらいしかないけど……100万円は、今後も100万円じゃないの?」
元永の問いに麻緒は困惑しながら、後頭部をかきながら答える。
「うん。でもインフレが続くと、いままで100円で買えたものが……」
「あー! そういうことか! 『目減り』するんだ!」
元永の言葉を遮って、麻緒は思わず叫んでいた。
「麻緒さん、さすが。いままで100円で買えていたものが、110円に値上げされると、相対的に100万円の価値は『目減り』する」
「あー、なるほど、そっか……そうだよね……」
麻緒が呟くように言っているのに元永は頷いて、続ける。
「ついでに言うと、2022年頃からドルに対しての日本円の価値は大幅に下がった。以前は1ドルに対して110円ぐらいだった価値が、いまは1ドルに対して140円を超えている。ここまで言えば、麻緒さんなら分かるよね」
麻緒はスマートフォンの画面を叩きながら、少し興奮したように言う。
「うん。持っていた100万円は、昔は9000ドルぐらいに換金できた。でも、いまは6700ドルぐらいにしか換金できない。そして円安で原材料を輸入するのにもお金がかかる。だから、普段の買い物で購入する商品の価格も上がる」
「……麻緒さん計算早いね……素晴らしい」
元永が驚いた顔で香緒里を見ると、彼女も似たような表情で素直に頷いていた。
「とにかく手元のお金の価値は、僕たちではなにもできないところで、目減りすることがある。そのことは伝わったかな?」
「……うん。なんか私、いまのままじゃダメだなって、素直に思えた……」
麻緒は呟いて、うなだれてしまった。
「ただ、安心して欲しい。各種年金の給付額は、物価の変動などを基準に金額が変化する。令和7年4月に原則1.9%の引き上げが発表されている。インフレや消費者物価指数などの変動に年金制度も変化しているということは、安心材料になるかもしれない」
免責事項
・資産運用には元本割れなどのリスクが伴います。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
・本記事は、執筆時点において公開されている情報をもとに構成したものであり、その正確性や有用性について、一切の保証をするものではありません。
・本記事の情報に基づいた行動により、閲覧者がいかなる損害を被った場合でも、当方は一切の責任を負いません。
お読みいただきありがとうございました。
もし気に入っていただけましたら、スキを頂けると励みになります。
また次の作品でお会いできることを楽しみにしております。
#ファイナンシャルプランナー #ファイナンシャル・プランニング技能士 #資産運用 #投資 #投資信託 #株式投資 #年金 #豊かな将来
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします。
いただいたチップは資料の購入費用、取材費などの活動費として有益に使わせていただきます。この記事は noteマネー にピックアップされました

