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資産運用で築く「豊かな将来」 〜FP技能士が贈る未来へのヒント2〜 13/20

13/20 相談を終えて出会いの食堂へ

前回までのあらすじ
リスクとリターンの基礎を学んだ香緒里と麻緒は、ついに具体的な金融商品の解説に進んだ。「リスクとリターンは正比例する」という大原則のもと、それぞれの商品のメリットとデメリット、そして投資信託における「インデックスファンド」と「手数料」の重要性についても深く掘り下げていた。

 一同は元永の馴染みのイタリアンレストラン、オステリア リンコントロに着く。麻緒と香緒里が隣り合わせに座り、その向かいに元永が座っていた。本日もコースは肉と魚があり、元永と麻緒は肉を選び、香緒里は魚を選ぶ。

「そうえいば、元永先輩ってパートナー作らないんですか?」
 アペリティーボのスパークリングワインを飲んでいたら、麻緒がいきなり言い出した。香緒里は面食らってワインを軽く吹いてしまう。
「そうだね、妹が成人したら、かなあ」
 元永は動じることなく、淡々と答える。それに麻緒は不満げな表情だ。
「そうなんですか? 元永先輩って、その、恋愛したい欲求とか……もがもが」
 さすがに香緒里が止めた。麻緒の口を手で覆って、止める。
「麻緒先輩! お世話になっている先輩なんですから」
「あはは……ごめんごめん」
 麻緒には罪悪感はないので、軽く謝る。思ったことを言っただけだったのだ。元永はその光景に笑って、口を開いた。

「……ところで、今日の話はどうだったかな。初心者向けに説明できていたかな?」
 彼がそう言うのに、香緒里が頷く。
「はい。資産運用に詳しくない私でも、理解できました。まずは家計を見直して、ライフイベントに備える。それから、自分に合った金融商品を選ぶ」
 香緒里が微笑みながら言うと、麻緒と元永は深く頷く。店員がプリモ・ピアットとしてじゃがいものニョッキを運んできて、3人の前に置いた。
「そうか、伝わっていたなら良かった。資産運用って、『これが正解』みたいなのってないんだよ。買えば儲かる銘柄みたいなのを求める気持ちは分かるんだけど、それじゃあ公営ギャンブルと同じになっちゃうからね。難しいところだよ」
 元永がため息をつきながら、ワインを一口飲む。その表情は彼がファイナンシャルプランナーとして、なにか思うところがあるのだろうなと思わせた。

「それで……私たち、いますぐなにかできることがあるのでしょうか?」
 麻緒がもっともなことを言う。それに元永は少し上を見て考えて、しばらくしてから、口を開いた。
「絶対的な安定はないけど、リスクを減らすことはできるかもしれない。例えば、書籍を読む。証券会社や銀行が行っているセミナーに参加する。それに、情報サービスを提供している企業から情報を買うとか、ニュースに敏感になっておくとか……ぱっと思いつくのは、それぐらいかな」
「その、取引を行うためには、口座の開設とかが必要ですよね。そういう話はまた次回ってことでいいですか?」
 息を吐く元永に、麻緒が言う。どうやら素直な疑問のようで、麻緒はいつもの素の顔でそう言っていた。

「そうだね。今日の話で基本は伝わったと思うから、次は実際の口座の開設と、NISAとiDeCoについて話せたらと思っている」
 その言葉に麻緒と香緒里は喜んだ顔を見せる。
「NISAとiDeCoって、聞いたことあるよね?」
 元永が戸惑うように言うと、
「はい。テレビとかでよく聞きます」
 と、麻緒が素直に答えた。
「よかった。いま日本で資産運用をするなら、NISAとiDeCoの話は避けられない。それぐらい大切な制度だし、それをうまく活用するのがいいと思うんだ」
 元永がそう言うのに、2人は頷く。店員がセコンドピアットとしてリンゴとぶた肉のソテーを元永と麻緒の前に置いて、イワシのキッシュを香緒里の前に置いた。

「まあまとめると、あまり肩肘張らないで。資産運用に気軽に触れてもらえるといいかな、と思っている」
「……元永先輩って、資産運用でどれだけ利益出してるんですか?」
 元永の言葉に、麻緒が素直な質問を投げかける。元永は視線を泳がせてから少し考えていた。
「……そうだね、僕が結果出してないと説得力ないもんね。ええと、もうすぐ運用を始めてから10年ぐらいになる。利益はおおよそ年間6パーセントぐらいで、いまは投資した原資に対して、60パーセントぐらいプラスになっている……という感じかな」

「え? 60パーセント!? じゃあ先輩がいままで投資した資金、10年で1.6倍になってる……ってことですか!?」
 興奮した麻緒が腰を浮かせて、思わず大きな声をあげてしまう。香緒里がその腰を掴んで、「まあまあ」となだめた。
「うん、まあ、そうだけど……これはあくまで個人の例。もっと利益を出せる人もいるだろうし、そうじゃない人もいるだろうから、一概に判断できないよ。ただ、僕みたいな投資の素人でもそれぐらいの結果を残せる、と思うと気持ちが軽くならない?」
 元永の問いかけに2人は激しく納得してしまった。もしかしたら自分たちでもできるかもしれない。その可能性を示してくれたことは、何事にも耐え難い事実だった。

「元永先輩……なんというか、お金もそうですけど、マジで好みなんですけど」
 麻緒が不意に、火照った顔で言い出した。香緒里は即座に危険を察知して、彼女の身体を押さえつける。
「すみません、元永先輩。麻緒先輩、酔うといつもこんな感じで……!」
 香緒里の両腕に捉えられた麻緒はまさに野獣だ。息を荒げて肩を上下させ、手を離したらいまにも飛び出しそうだ。
「いや、まあそれは別にいいんだけど……せっかくセコンドピアットが来ているんだから、みんなで一緒に食べないか?」
 元永が笑顔で言う。それに香緒里は頷いて、麻緒も静かに皿をつつき始めた。


注記
この物語は筆者の想像に基づいたフィクションであり、登場する人物、団体、および物語上の設定はすべて架空のものです。作中に登場する名称は物語を彩るための舞台装置として用いており、現実の出来事や人物とは関係がありません。

免責事項
・資産運用には元本割れなどのリスクが伴います。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
・本記事は、執筆時点において公開されている情報をもとに構成したものであり、その正確性や有用性について、一切の保証をするものではありません。
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また次の作品でお会いできることを楽しみにしております。

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