第27話 | コロ無し自転車 | 知らぬ間に進んだ時間
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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245
外の寒さが、
少しだけ和らいできたからか、
ピノが、外で遊ぼうと言い出した。
一緒に外に出ると、
ピノはコロ付きの自転車を持ってきて、
コロを外してほしいと言った。
お、練習する気になったか。
そのやる気に少し嬉しくなって、
ウキウキで外してやった。
すぐ目の前の広場に行って、
無意識に、
自転車の後ろへ回り込んだ。
よし、後ろ持っちゃるけぇ、
そう言おうとした時、
「へ? いらんよ?」
そう言って、
ピノはそのまま走り出した。
一瞬、意味が分からんかった。
なんで?
ピノは、
運動神経がいいほうじゃない。
まだ時間がかかると思っていた。
それが、
姉ちゃんと同じくらいの年齢で、
すいすい乗りこなしている。
追いかけて聞いてみると、
ピノはあっさり言った。
「あ~ちゃんと、練習した」
※あ~ちゃん=私の母のこと
ああ、なるほど。
聞けば、
冬休みに実家で過ごした時、
自転車の後ろを持って、
あ~ちゃんが
一緒に走ってくれていたらしい。
あの人、もう七十になる。
それでも、
子供の自転車のスピードなら、
走れるらしい。
まじか。
同時に、
少しだけ、別のことも思った。
自分が教えていたら、
どうだっただろうか。
ムキになって、
声を荒げていたかもしれない。
うまくいかなくて、
ピノがへそを曲げていた可能性もある。
当時の自分は、
そうなることが、割と多かった。
一方で、
母のやり方は、
見守りながら、
安全だけを優先する
教え方だったんだろう。
スパルタで育った自分とは、
ずいぶん違う。
厳しさだけが、
成長の早さを決めるわけじゃない。
そんなことを、
ぼんやり考えた。
ナイス母さん。
そう思ったと同時に、
その成功の瞬間に、
自分が関わりたかった、
という思いも、
確かに、そこにあった。
-------とっちゃRECO-------
子供の運動技能の習得は、
教え方そのものよりも、
環境と関係性の影響が大きいとされている。
安心できる相手と、
失敗しても否定されない状況では、
学習のスピードは自然と上がる。
一方で、
指導者が感情を強く出すほど、
子供は萎縮しやすくなる。
母の関わり方は、
結果的に、
ピノにとって最適な環境だったのかもしれない。
それを認めることと、
自分が関われなかった寂しさは、
同時に存在していた。
その二つを抱えたまま、
親としての立ち位置を
考え直すきっかけになった。
-------とっちゃRECO-------
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第55話|お絵かき|横で描いとる
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