第62話|ブラ|お父さん、よく頑張ったね
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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日
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中学入学前。
学校から、
「白シャツから透けにくい色の下着にして下さい」
みたいな説明があったらしい。
その話を友人にした時、
「パピコ、
そろそろちゃんとしたブラ買ってやりんさい」
と言われた。
そういや、
ずっとスポブラだった。
春休み。
娘らは、
うちの実家へ泊まりに行っとった。
母も、
妹もおる。
「向こうで買いに行きんさいよ」
とは言っていた。
男のわしと行くより、
そっちの方が絶対気楽じゃろう。
ちなみに、
わしは行かない。
父は基本出掛けとるし、
母、妹、娘二人、
女性だけの空間と言うのは、
なんか居たたまれない。
なので、
昔から娘だけ行かせる形が多かった。
帰ってきて、
「もうすぐ中学生じゃな」
とか話しよった時、
パピコが急に言った。
「あ、ブラ買いに行かんと」
「なに!?
ちゃんと買いに行けって言ったやん!」
「なんか恥ずかしいじゃん」
いや、
わしと行く方が、
もっと恥ずかしがってほしい。
っていうか、
わしがハズい。
でも、
そんな事も言っとれんので、
三人で下着売場へ行った。
「ほら、
サイズ測ってもらってきんさい」
「えー、
何て言えばいいん?」
不安そうに聞いてくる。
知らんがな、
とは思った。
でも、
どうも一人で行けそうにない。
こんな時、
ピノが妙にしっかりしとる事もあるけぇ、
少し期待して見た。
目が合った瞬間、
首を横に振られた。
無理か。
仕方ないので、
うなだれながら、
パピコを連れて店員さんへ近づいた。
「すいません…
娘なんですが、
サイズを…」
「あ、ブラのサイズですか?
こちらへどうぞ」
店員さんは、
全部分かっとる感じで、
なんの心配も要らん反応だった。
「あー…
終わった…」
なんか、
変に疲れた。
これで一段落じゃな、
と思っとったら、
後ろから肩を叩かれた。
振り向くと、
ピノだった。
「お父さん、
よく頑張ったね」
うなずきながら言う。
「うん…
ありがとう…」
こいつ、
楽しんどったんじゃなかろうか?
-------とっちゃRECO-------
子供の成長って、
「出来る事が増える」
だけじゃなく、
親側の“対応した事ないイベント”
が増えていくこともある。
特に、
シングルファザーだと、
本来、
母親側へ流れやすい場面も、
普通に自分へ来る。
でも、
やってみると、
案外どうにかなる。
というより、
店員さん側は、
多分、
何回も見とるんじゃろなと思った。
あの日、
一番落ち着いとったの、
店員さんじゃった。
-------とっちゃRECO-------
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