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第3話|タミフルとハンバーグ|初めての看病

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日
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冬の朝。
子どもらが、家の中を走り回っとった。

いつもの延長みたいな雰囲気で、
元気そうじゃと思いながら、近づいていく。

ピノの頬に触れた瞬間、
手のひらに、熱が残った。

「あれ、ピノ。
 顔、あっちっちじゃが。」

慌てて体温計を持ってきて測ると、
39.6度。

さっきまでの元気さとの落差が、
どうにも、飲み込めんかった。

病院が開いとる時間じゃったけぇ、
すぐに電話した。

家にパピコひとり残すわけにもいかん。
結局、3人で向かうことにした。

診察では、
これといった結果は出んかった。

熱が出たばかりじゃと、
インフルエンザの反応は出んらしい。

「明日、もう一度来てください。」

そう言われて、
頓服だけもらって、帰る。

家に戻ってからは、
言われた通りに過ごした。

暖房をつけた部屋を、しっかり加湿。
肌着で寝かせて、
保冷剤をタオルで巻いて、
脇と足の付け根に挟む。

1時間ごとに検温して、
メモに残した。

姉ちゃんにうつさんように、
とは言われたけど、
ワンオペじゃ、どうにもならん。

潜伏期間の可能性もある。
誰かに預ける、いう選択肢もない。

結局、同じ部屋で、
少し距離を置いて寝かせて、
ふたりまとめて、看病することにした。

夜は、ウトウトしながらも、
検温だけは続けた。

不安よりも、
やることを、淡々とやっとる感覚の方が、
強かった。

次の日。
パピコも休ませて、
また3人で病院へ。

今度は、
インフルエンザの反応が出た。

タミフルが処方された。
粉薬で、ピノは苦いと言って飲まん。

アイスに混ぜると、
文句を言いながらも、
何とか食べてくれた。

その日のうちに、
パピコにも、熱。

こういう時は、
だいたい、こうなる。

次の日の病院で、
パピコも、陽性。

さすがは姉ちゃん。
薬は、そのまま飲むことができた。

得意げなパピコと、
「姉ちゃん、すげー」
という目で見上げるピノ。

向き合っとる姿が、
なんとも言えんかった。

それから数日間は、
看病の日々。

水は飲む。
お粥も、よう食べる。
りんごのすり下ろしや、うどんも、
ええ反応じゃった。

40度近い熱があるとは、
思えん瞬間もあって、
元気はないけど、
よう笑い、ようしゃべった。

メモをつけながら、
変化を見る日が続き、
結局、仕事は、
1週間まるごと休むことにした。

3日か4日ほど経って、
ようやく熱が、
37度台に落ち着いた日の夕方。

パピコが、ぽつんと言った。

「ハンバーグ、食べたい。」

あまりに突然で、
「ほんまに?」と、聞き返した。

豆腐を混ぜたハンバーグを、
ひとつ作って出すと、
ふたりとも、黙って、
ぺろっと平らげた。

元気が戻っとる証拠なんじゃろうけど、
その食べっぷりには、
ただただ、驚くしかなかった。

子どもの回復力いうのは、
ほんまに、
こっちの想像の外にある。

まさか、
自分の分のハンバーグまで、
なくなるとは、思わんかった。

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第11話|食卓の空気が悪くなった日|ピノのひと言で戻った時間
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