第56話|絵画大賞|一年貼られる
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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日
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年度末になると、
学校で描いた絵や習字を、
まとめて持って帰ってくる。
丸まった習字や、
端が少し折れた画用紙。
机の横に掛けてあったんじゃろうな、
みたいな穴の空いた作品も混ざっている。
子供のおる家なら、
多分みんな経験あると思う。
一回見て、
「おー、上手じゃね」
と言って、
その後は、
どこかへまとめて入れられるやつ。
なんか、
それが勿体ない気がして、
いつからか、
うちでは
「絵画大賞」
をやるようになった。
床に、
絵と習字を並べる。
「はい。今年の絵画大賞やるよ」
そう言うと、
パピコがすぐ座った。
ピノは、
もう自分の絵を見ながら、
「これは違う」
とか言って、
横へ避け始めている。
3人で、
一枚ずつ見ていく。
良いなと思ったやつだけ、
横へキープ。
そのまま次。
また次。
気付いたら、
床に、
残る組と落ちる組が出来ている。
パピコは、
カラフルな絵を前に置きながら、
「今年はこれじゃろ」
みたいな顔をしていた。
でも、
わしとピノは、
横にあった版画の方で止まった。
黒ばっかりの、
少し地味なやつだった。
でも、
版画にしては、
やたら目が止まった。
黒ばっかりなのに、
なんかずっと見てしまう。
「これ結構時間かかったろ?」
と言うと、
「めちゃ削った」
と、
少し嬉しそうに言った。
結局その年は、
その版画が選ばれた。
「えー、そっちなん」
と、
パピコは笑っていた。
ピノのうさぎの絵も、
妙に印象に残っている。
白い絵の具を、
ぐるぐる塗っている感じで、
形も結構ぐにゃぐにゃだった。
でも、
なんか筆の感じが良かった。
「これ、なんかええな」
と言うと、
「そう?」
と、
ピノは自分で思っていたやつと違ったのか、
少し不思議そうにしていた。
「なんかシンプルなのにね」
と、
パピコも言っていた。
毎年やっていると、
シンプルなうさぎの年があって、
版画のような年があって、
賑やかでカラフルな年があった。
最後に、
去年のチャンピオンを外して、
新しいやつをリビングへ貼る。
その瞬間だけ、
少し部屋の空気が変わる。
翌朝には、
もうそこにあるのが当たり前になっている。
そういうもんじゃろな、
と思いながら、
わしはいつも、
外した方をしばらく眺めていた。
-------とっちゃRECO-------
この絵画大賞で、
ダメ出しみたいな事は、
あまり無かった。
「これ怖い」
とか、
「なんで顔こんななん」
とか、
ヘタなやつも普通にネタにして、
3人で笑いながら見ていた。
でも、
そういう空気だったからか、
毎年ちゃんと全部持ってきて、
普通に並べていた。
子供の絵って、
その頃の空気みたいなものが、
色味に出るんかもしれん。
明るい年は明るくて、
しんどい年は、
なんか違う強さがあった。
-------とっちゃRECO-------
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