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第57話|マスク|息が出来んかった

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日
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コロナが流行った頃、
皆さんも覚えていると思うが、
店から、
マスクが消えた。

ほんまに、
一枚も無かった。

ドラッグストアを何件か回っても、
棚だけ空いている。

最初は、
「そのうち戻るじゃろ」
くらいに思っていた。

でも、
全然戻らんかった。

ニュースでも、
毎日コロナの話ばかりで、
学校も、
空気がかなりピリついていたと思う。

学校でも会社でもマスクが必須で、
家の在庫が切れる頃、

「作ればええんじゃない?」

と、
子供たちが言い出した。

おー、面白そう!

すぐ近くの手芸屋さんへ行って、
好きな布を物色した。

どんな形にするか、
新しい形はないか、
そんな話をしながら家路につき、

帰るとすぐさま作り始めた。

ピノは、
普通にかわいい柄を選んでいた。

パピコは、
マスクとして無難な布を手に持っている。

わしは、
長持ちした方が良いと思い、
色味の落ち着いた、
丈夫な布を買って帰った。

家で、
動画を見ながら、
3人で作り始める。

最初は、
かなりワイワイしていた。

「これ裏じゃない?」
「ゴム長すぎん?」
「ワイヤー入れる所いるじゃろ?」

そんな事を言いながら、
机の上が布だらけになっていき、
マスクもたくさん出来ていった。

ピノはかなり可愛いものが出来た。

我が家で言うと、
ピノしか似合わないデザインの、
マスクだった。

逆にパピコは、
誰がつけても良さそうな、
機能的なものが出来上がった。

とっちゃのも中々ええのが出来た。

紐も布もある程度丈夫で、
しっかり作ったので、
何年ももちそうなマスクじゃった。

しばらく、
お互いのマスクを褒めあっていた。

「、、、とっちゃのやつ、
 息できんわ。」
全く出来ないわけではないが、
とにかく息苦しかった。

良く考えれば、
当たり前だった。

パピコは笑っていた。

ピノも、
「丈夫そうとかで選ぶけぇよ」
とか言っていた。

パピコに布をもらって、
自分のを作り直した。

あの時は、
家にマスクがあるだけで、
少し安心した記憶がある。

外へ出る時、
玄関に、
3人分並べて置いてあった。

かといって、
あまり使わない結果になり、
今やどこにあるか分からん。

でも、
あのマスク作りの思い出は、
思いの外、色濃く残っとる。

-------とっちゃRECO-------

あの頃は、
外へ出るだけで、
少し緊張感があった。

学校も、
店も、
会社も、
なんとなく、
みんなピリついていた気がする。

子供たちも、
普通に遊んでいるように見えて、
行事が減ったり、
急に休みになったり、
多分、
色んなものを感じていたんじゃろなと思う。

でも、
家の中では、
なるべくいつも通りにしたかった。

マスク作りも、
対策と言うより、
半分イベントみたいになっていた。

-------とっちゃRECO-------

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