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第42話|焼肉|いい意味で想定を裏切られた日

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245  
 
この日は、
男親としては
最大の試練の日となる予定だった。

台所で料理をしよった時だった。

後ろでバタバタ音がして、
扉が開く。

「お父さん!!!」

ん? と振り向くと、
パピコが赤くなったパンツを持って立っとる。

「こうなっとるって!
 あれよな!」

珍しい虫見つけた!
みたいなテンションで言うてきた。

「あー、あれじゃな。」

「洗面台でパンツ洗ってから、
 あーちゃんに買ってもらった
 ナプキン使い」

「わかった👍」

そこはもう知っとるらしかった。

正直、

「どうやるん?」

みたいなところまで聞かれたら
どうしようかと思っとったけど、
その心配はいらんかった。

しばらくして、
台所に戻ってきたパピコが

「そうか〜
 きたか〜」

と、何か考察しよる。

こっちも、

ああ、
そういう歳になったんじゃな、

と少し思った。

「赤飯炊かんとな」

と言うと、

「なんで?」
「そんな美味しゅうないもん」

と返ってきた。

昔は紅白がめでたい色でな、
初潮の時はその赤にちなんで
赤飯を炊く、

そんな話をした。

するとパピコ、
間髪入れずに

「それなら、
 私は赤飯より焼肉がいい!!」

思わず大笑いしてしまった。

「いや、
 お前がそれでええなら
 ええけど。笑」

想像しとった流れと違いすぎて、
面白いでしかなかった。

もっと、

照れるとか、
隠すとか、

そういう空気になるんかと思っとった。

でも実際は、

思ったよりずっと普通で、
思ったよりずっとあっけなかった。

正直、

少し身構えとった自分が
拍子抜けした。

そしてその日の晩、

ほんまに焼肉に行った。

そして、
焼肉を食べている最中、

ピノが急に何か思い出したように、

「!!!ってことは!!!
 私の時も焼肉になるのか!!」

と、
大発見でもしたような顔をし、

同じ顔をしたパピコが

「ほんまじゃ!!」

と言う。

「そーなるな。笑」

と返しながら、

なんか、

ああ、
これでよかったんじゃろうな、

と思った。

変に重くもならず、
変に軽くもならず、

ただ、

一つの出来事として
通り過ぎていった感じだった。

いい意味で、
想定を裏切られた初潮だった。

男親であるが故の不安は、
正直あった。

この日は、

その一つが
無難に無くなった日じゃった。

--------とっちゃRECO--------

初潮というと、

もっと重たくて、
もっと気を遣って、
もっと腫れ物みたいに扱うものだと
どこかで思っていた。

でも実際は、

家庭の空気で
だいぶ変わるんだと思う。

深刻にしすぎると、
子どもも深刻なものとして受け取る。

逆に、
雑すぎても不安が残る。

あの時は、

たまたま
ちょうどいいところに
着地できた気がする。

少なくとも、

恥ずかしいことでも、
隠すことでもなく、

「そういう時期が来た」

くらいの扱いに出来たのは
悪くなかったんじゃないかと思っとる。

同じ出来事でも、
深刻に扱えば
深刻なものになるし、

日常の延長で扱えば、
そのまま受け取られることもある。

今回のことも、

たぶん
それに近かったんだと思う。

それと、

祝い方なんて、
ほんまは何でもええんじゃろうな。

赤飯でも、
焼肉でも。

要は、

その子が嫌じゃない形で

「大事にしとるよ」

が伝われば、
それで十分なんじゃろうと思う。

--------とっちゃRECO--------

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