第43話|マカロン|誰も食べたこと無いもんを
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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245
「マカロンがいい」
お?
と思ったが、
すぐに手が止まった。
自分は食べたことが無い。
で、娘たちに聞いても
「無い」と言う。
誰も食べたことの無いものを、
今から買い出し行って作るんか?
友チョコ文化とは、
いったい誰が始めたのか。
その異文化に流されて、
毎年友チョコを作らされ、
この頃はたしか5年目くらいだったと思う。
やるからには、
それなりに形にしたい。
過去にも、
それなりに手の込んだものを作ってきた。
そのせいか娘たちも、
「お父さんに言えば何でも作れる」
と思っとる節があった。
その年にリクエストされたのが、
マカロンだった。
材料を見に行くと、
まずそこで止まった。
なんたらプードル。
初めて聞く名前の材料。
どこに売っとんや、
そんなもん。
そう思いながら探すと、
普通にスーパーに置いてあった。
そこから、
さらに分からんことが続く。
卵白を泡立てる。
ここまではいい。
砂糖を入れて、
さらに泡立てる。
まだ分かる。
そこに、
あのプードルを加えて、
「ツヤが出るまで混ぜる」
……急に難しくなる。
ツヤってなんや。
これで止めてええんか、
まだなんか。
娘たちとの
多数決で決まった
タイミングで混ぜるのを止め、
絞り袋につめる。
生地を絞る。
これはそれっぽい。
で、次。
「乾かす」
乾かすってなんや。
そのまま置いて待つ。
その間、
チョコムースを作っておく。
しかし、
これで合っとるんか?
少し触ってみると、
まだベタつく。
もう一回待つ。
正解がよく分からないまま、
時間が経過したので焼いてみた。
見た目は、
それっぽく出来とる。
丸くなっとるし、
なんかそれっぽいヒラヒラも出とる。
とりあえず冷やした後、
チョコムースを挟んで
食べてみた。
ん?
……思っとったのと違う。
もっとサクッとしたもんかと思っとった。
でも実際は、
思いの外ねっとりしとる。
香りも、
なんか独特で、
これが正解なんか、
よく分からん。
パピコとピノも食べる。
「ん!」
……「ん?」
「うーん……」
「いいんじゃない?」
「おいしいおいしい」
そんな感じの反応だった。
たぶん、
気を遣っとるわけでもない。
でも、
納得しとる感じでもない。
こんなもんなんじゃろ。
分量もよく分からんまま作ったマカロンは、
娘たちの友達の数を越えて余った。
普段は、
近所や飲み仲間に配ったりもしとる。
今回は、
やめといた。
-------とっちゃRECO-------
あとから分かったことだが、
あの時のマカロンは、
たぶん少しだけズレていた。
本来は、
外が軽く割れて、
中がしっとりするくらいがちょうどいいらしい。
あの時は、
乾かし方や焼き加減が足りなかったのか、
全体的に少し重たくなっていた。
ただ、
正解を知ったからといって、
あの日の味が間違いだったとも思っていない。
正直、
やっとる時は面倒な作業だったと思う。
でも、
あとから手記を見返すと、
思い出すのは楽しかったことばかりだった。
あの時の手間やしんどさは、
ほとんど残っとらん。
やるからには、
本気でやる。
そういう時間の方が、
あとから残る気がする。
-------とっちゃRECO-------
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