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第41話 空手|二年越しの覚悟

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245  

最初に空手道場を見学したのは、
たしか二年前だった。

パピコが名探偵コナンにハマりはじめた頃で、

「蘭ねえちゃんみたいになりたい」

と言って、空手をやりたいと言い出した。

ピノはというと、
パピコに全ノリだった。

姉がやると言えば、
自分もやる。

あの頃はそんな感じだった。

見学だけのつもりだったが、
先生に言われて少し体を動かさせてもらった。

するとパピコ、
いきなりそれなりに形になっていて、
正直、ちょっと驚いた。

そんな娘を見たにも関わらず、
当時の自分は一旦見送りという決定をした。

理由は単純で、
他の親御さんたちの関わり方がかなり積極的だったからだ。

送り迎えだけじゃない。
行事や手伝い、いろいろ参加している。

正直、

「あそこまで出来るだろうか」

と思った。

要するに、
ビビったんだと思う。

自分の都合だった。

それから二年。

家ではいろいろなことがあった。

いじめのこともあった。

親として、
どうしたものかと考えていた時期でもあった。

そんなある日、
ふと思い出して二人に聞いてみた。

「君ら、
 空手やりたいって
 昔言いよったのは、
 まだ気持ちとして残っとる?」

すると、

「「え!?やりたい!!」」

声を揃えて即答だった。

自分も子どもの頃、スポーツをしていた。

あれは多少なりとも
ストレス解消にはなっていた気がする。

この頃の二人にも、
何か発散できるものが
あった方がいいのかもしれない。

そう思って、
もう一度見学に行った。

道場では、小さい子たちが
わちゃわちゃと体を動かしていた。

まだ型も何も、
とにかく体を動かしている感じ。

その一方で、道場の端では
中学生くらいの子たちが
静かに型をやっていた。

結構な迫力。
道着が風を切る音が
かっこよかった。

先生に言われて、
二人も少し体を動かさせてもらった。

パピコは、静かにやっていた。

特に騒ぐでもなく、
ただ先生の動きを見ながら、
一つ一つ真似している。

初めてとは思えない動きだった。

一方ピノは、へっぴり腰。

それでも周りの子たちと
和気あいあいと体を動かしていた。

終わり際に、もう一度聞いた。

「どうする?
 やってみるか?」

返ってきた答えは、やっぱり同じだった。

「やりたい。」

先生に揃えるものを聞いて、
次の日、道着を買いに行った。

最初に見学に来てから、二年越しだった。

もし二年前、
ビビらず始めさせていれば
今回のようないじめには
遭わなかったかもしれない。

そんな後悔が、
自分の中に少し残っていた。

だからこそ今回は、
しっかり関わる覚悟を決めて
始めた習い事でもあった。

それでも、
2年前に始めとったら、
今と違う未来もあったんじゃろうか?
覚悟を決めても、
この疑問は消えんのんよなぁ。

—— とっちゃRECO ——

今回、空手を始めさせた理由は
正直に言えば「強くなってほしいから」ではない。

ストレスを外に出せる場所を
作ってやりたかったからだ。

子どもは基本的に
「家」と「学校」
この二つの世界で生きている。

心理学ではここに
“第三の居場所(サードプレイス)”
があると心の安定が保たれやすいと言われている。

スポーツや習い事、
地域活動などがそれにあたる。

家でも学校でもない場所で
自分の役割や仲間を持てること。

これは子どもの
**ストレス耐性(レジリエンス)**を
高める要素の一つだとされている。

自分自身も、
子どもの頃はスポーツをしていた。

当時はそんな言葉は知らなかったが、
今思えば
あれが発散の場所だったんだと思う。

もう一つは、
親の判断について。

最初に見学に来たとき、
自分はビビってやらせなかった。

他の親御さんの関わり方を見て、
自分にそこまで出来るか
自信がなかったからだ。

ただ子育ての研究では、
親の決断は“最適解”ではなく
“その時の最善”であることが多い

と言われている。

状況も、親の余裕も、
その時々で違うからだ。

だから、
間違うこともある。

でも、
あとから修正できることもある。

今回の空手は、
自分にとっては
その「やり直し」の一つだった。

子育てはたぶん、
完璧な判断を重ねるものではなくて、

迷いながら、
少しずつ軌道修正していくものなんだと思う。

—— とっちゃRECO ——

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