見出し画像

第21話 | 似顔絵|ピノの持つユーモア

▼最初から読む
第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日
https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245 

保育園から持って帰ってきた紙を広げると、
真ん中に人が描いてあった。

青い服で、緑のズボン。
手は横に広がっていて、
顔の周りは、少し線が多い。

するとピノが一言。
「はい、おこうしゃんかいたよ」
自信満々の笑み。

ありがとう、って言いながら見ていると、
右側に赤い丸がいくつかあって、
その下に、また赤い線。

「これ、なに?」

「バラ」

そう言われて、もう一度見る。
確かに、丸が重なっとる。

「なんでバラ?」

「かわいいでしょ」

その紙は、
近くのスーパーで配られていた
父の日の似顔絵大会のものだった。

自分と思わしき人物の周りには、
バラっぽい花や、
ハートや風船みたいなものが描かれている。

「おとうさん、かっこいいのが良かったな」

そう言ったものの、
なんとなく、嬉しくて笑ってしまった。

「なんでこんなにバラがあるん?」

「だって、バラがあるとエレファントじゃん」

一瞬、意味が分からん。

「……エレファント?」

「うん」

たぶん、
エレガントと言いたかったらしい。

大笑いすると、
ピノがへそを曲げそうだったので、
笑いをこらえて、
微笑むにとどめた。

説明はせんかった。

机の上に置いたまま、
しばらくその紙を見て。

ピノにたっぷりお礼を言ってから、
夕飯の準備にかかった。


-------とっちゃRECO-------

子供の絵は、
上手さや再現性よりも、
何を中心に置き、どこまで描こうとするかに、
その子なりの認知や関心の向きが表れやすいと言われとる。

幼児期の描画は、
対象を正確に写すというより、
「どう見えているか」「どう感じているか」を
配置や装飾で表現する段階に近い。
中心の人物を描いて終わらせず、
まわりを埋めるように描く行為は、
その時間、ひとつの対象に向き合い続けていた
結果とも受け取れるらしい。

今振り返ると、
そこに何かを見ようともしなかったこと自体が、
ひとつの見落としだったのかもしれん。

自分自身、絵を描くことが好きな人間なので、
画面いっぱいに描かれていることに
特別な違和感を持たなかった。
ただ、幼児期の絵としては、
そういう描き方はあまり多くないとも言われとる。

しっかり集中して
一つの絵を描き上げた。
そのことを一言褒めてやればよかったなぁ、、、
と、今は思う。

-------とっちゃRECO-------

▼ピノの話を読む
第55話|お絵かき|横で描いとる
https://note.com/fast_deer7937/n/neeb286dee846

▼次の話
第22話 | 子供の嘔吐 | 止められんかった手

▼最初から読む
第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日
https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245 

いいなと思ったら応援しよう!

TPP|とっちゃ・パピコ・ピノ ここまで読んでくれて、ほんまありがとうございます☕ もし「ええ話じゃな」と思うてくれたら、 あたたかい気持ちの応援をよろしくお願いします。 その気持ちが父ちゃんの力になって、 また明日もTPPは元気に綴っていけます🍀

この記事が参加している募集