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第22話|子供の嘔吐|止められんかった手

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第1話|抱っこと決意|シングルファザーとなった最初の日

https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245   

朝は、いつも通りだった。
ピノは少しだるそうだったが、
熱もなく、食欲もある。
そのまま保育所に送って、
仕事に向かった。

昼前、保育所から電話が入った。
嘔吐したので、迎えに来てほしいとのこと。

会社を早退してピノを迎えに行き、
そのまま病院へ向かった。
薬をもらって帰る頃には、
本人はけろっとしていて、
こちらが拍子抜けするくらいじゃった。

小学校には連絡を入れて、
パピコはいつも通り帰ってくるよう伝えた。

家に戻ってからは、
吐かないように気をつけながら、
スポーツドリンクを少しずつ飲ませ、
お粥を作った。

パピコが帰ってきた時のことも考えて、
食器は分けるようにして、
もし吐いたら近づかないようにと伝えた。

正直、
気を遣うことが多すぎて、
ずっとバタバタしとった。

寝室の準備をしようと、
布団を整えにかかった時、
それに気づいた。
布団の上に、
乾いて固まった嘔吐物があった。

一瞬、
頭が止まった。

どうして、
いつ、
誰が、
そんなことを考えているうちに、
パピコが涙声で寝室に入ってきた。

「朝、ピノが吐いたやつ」

怒られると思って、
言えんかったと。

震える声で謝ってきた。

そこで、
思わず、
相当叱って、
手も出てしまった。

止められんかった。

ピノを見ておくようパピコに伝えて、
部屋中に除菌スプレーをかけ、
布団はまるごと袋に入れて捨てた。

その後、
リビングで寝ていたピノを寝室に運び、
まだ泣いていたパピコと向き合った。

「ごめん。ほんまにごめんな」

手加減できるんじゃけぇ、
なんで止めれんかったんかな、
そう思いながら謝った。

大事な話だからと伝えて、
子供の嘔吐物からの感染の話、
処理の仕方の話をした。

動画を一緒に見ながら、
ゆっくり説明した。

「乾燥すると、菌が空を飛ぶんよ」

動画を見ている間、
パピコは、
さっきまであれだけ泣いとったのに、
画面から目を離さんかった。

感染の話も、
嘔吐物の処理のやり方も、
すごい集中力で見よった。

全部を理解しとるわけではないじゃろう。

それでも、
よく切り替えてくれたな。
ふと、感心してしもうた。

その後、
パピコを寝かしつけると、
寝たいわけでも、
何かしたいわけでもなく、
仏壇の前に座ることしかできんかった。

-------とっちゃRECO-------
この夜のことは、
子供に手を上げてしまったことも
もちろんだが、

「怒られるのが怖くて隠す」

という子供の行為が
強く印象に残った。

それまで当たり前だと思っていた
自分の叱り方や考え方が、
どこかで噛み合っていないのかもしれんと、
初めて立ち止まることになった夜でもあった。

ただ、
その違和感をどう扱えばいいのかは、
この時点では、まだ分からなかった。

この話の続きは、
もう少し時間が経ってから、
別の"章"で触れることにする。

-------とっちゃRECO-------

▼揺れてた頃を読む
第37話|12分|トイレの前に立った朝
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