第52話|数学|聞かれたこと以上
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https://note.com/fast_deer7937/n/n74aef03be245
ピノが宿題を持ってきた。
算数を見てほしいようだ。
横に座って、ノートを開く。
問題を見て、式を書いて、計算する。
途中までは一緒に進むが、止まる。
「なんで?」
と聞く。
また説明して、もう一回やる。
また止まる。
「なんで?」
こっちが聞きたくなる。
なんで分からんのかが、分からん。
さっき言ったことを
そのままやればいいだけなのに、
そこが抜ける。
同じところで止まる。
少し苛立つ。
声が強くなる。
「だから、ここはこうじゃろ」
指でなぞって、もう一回やらせる。
出来る。
もう一問やる。出来る。
そのままもう一問。出来る。
「あ、分かった?」
「うん」
ここで止めればええのに、
続けてしまう。
「これってな、こういう時にも使うんよ」
別の例を出す。
式の形を変えて、繋げていく。
話が伸びる。
ピノは黙って聞いとる。
分かったのか、
分かってないのかは、
もう分からん。
気づいたら宿題は終わっとる。
ノートは埋まっとる。
ピノは席を立って、そのままどっか行く。
それ以降、
あいつらが俺に算数を聞いてくることは、
あんまり無くなった。
なんか、やりすぎた気がする。
----とっちゃレコ----
教える側と、教わる側で、見えとるものが違う。
教える側は、全体の流れを見とる。
どこから来て、どこに繋がるかまで分かっとる。
教わる側は、今の一問だけを見とる。
途中の一つが抜けるだけで、全部が止まる。
その差を埋めるために説明を足すが、
足しすぎると、今度は処理しきれん。
分かった瞬間で止めればええのに、
そこから先を乗せてしまう。
理解より先に、情報が増える。
聞かれたことだけで止める方が、
案外むずかしい。
----とっちゃレコ----
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