【今さら聞けない】従業員エンゲージメントとは?組織を強くする5つのポイントを解説
こんにちは。
ourly株式会社のCOO、株式会社ビットエーのCHROを務めている高橋です。
今回は、今さらではありますが、「従業員エンゲージメント」について、その定義と高め方を深掘りしてお伝えします。
「社員のモチベーションが上がらない…」
「福利厚生を充実させたのに離職が減らない…」
「管理職が育たない…」
そんな悩みを抱える経営者や人事担当者の方にとって、ヒントになれば幸いです。
また本noteは、2月3日に開催をしたオープン勉強会で解説した内容を元にしております。
▼第一回|オープン勉強会の開催レポート
1. そもそも「エンゲージメント」とは何か?
まず、皆さんは以下の言葉の違いを明確に説明できるでしょうか?
エンゲージメント
ロイヤリティ
モチベーション
従業員満足度(ES)
これらはよく混同されがちですが、組織作りにおいては「何を取り扱っているのか」「何を改善しいっているのか」を明確にすることが非常に重要です。
似て非なる4つの用語ですが、それぞれの違いは以下のようになります。
エンゲージメント
企業と従業員の間に「相互信頼」がある状態。会社の目的に共感し、その実現に向けて従業員も主体的にコミットしている関係性です。一方通行ではなく、双方向の矢印が向いているのが特徴です。
ロイヤリティ
企業への「忠誠心」。例えば、私が新卒で入社した企業に対して持っていたのはこれでした。「世界一のメーカーに入れた」という所属意識や誇りはありましたが、会社のビジョンに深く共感して自律的に動いていたかというと、少し違いました。「いつか辞めて独立するぞ」という野心もありつつ、会社というブランドへの忠誠心は高い状態。これがロイヤリティです。
モチベーション
関係性というよりは、個人の状態。「目標を達成したい」「成長したい」といった内発的な動機づけです。
従業員満足度(ES)
給与や福利厚生、働く環境への満足度。「給料もいいし、フルリモートだから満足」という状態です。しかし、これはエンゲージメントとは別物。条件が悪くなれば(例:フル出社に戻るなど)すぐに辞めてしまう可能性があるなら、それは「満足度は高いがエンゲージメントは低い」状態と言えます。
2. 日本企業が陥る「働きやすさ」の罠
厚生労働省の定義によると、エンゲージメントは「やりがい」と「働きやすさ」に分解されます。

ここ10〜15年、日本企業は「働き方改革」やコンプライアンス遵守の流れもあり、「働きやすさ(就労環境、報酬、休みやすさ)」の改善に力を入れてきました。
しかし、オープンワークが分析したデータを見ると衝撃的な事実がわかります。
「働きやすさ」のスコアは上がっているのに、「やりがい(働きがい)」のスコアは下がり続けているのです。

「働きやすさ」はあくまで最低ライン。そこを整えるだけでは、組織の強さは生まれません。これからの時代に必要なのは、経営層への信頼、仕事への誇り、連帯感といった「やりがい」の部分にどうアプローチするかです。
3. エンゲージメントを高めるための重要ポイント
では、具体的にどうすればエンゲージメントを高められるのでしょうか。特に重要な要素をピックアップします。弊社のYouTubeチャンネルでも解説をしておりますので、ぜひご覧ください。
① 企業の「夢(ドリーム)」を明確にする
まずは会社が掲げる「夢」が明確でなければ、共感のしようがありません。 ※田中安人氏のフレームワークである「価値創造マップ」を参照

例として挙げられるのがフェラーリです。 彼らは単に高級車を売っているわけではありません。「レースに勝つ」という夢があり、その資金を得る手段として市販車を売っています。そして「市場の需要より1台少なく作る」ことで希少性を高め、ファンを熱狂させています。
このように、「自分たちは何のために存在し、誰にどんな価値を提供するのか」というストーリー(価値創造マップ)が一貫している企業には、強い求心力が生まれます。
② ミドルマネージャーに必要な「編集能力」
社長が「100」の熱量で伝えた戦略も、現場に届く頃には情報が劣化し、「30」くらいしか伝わらないことがよくあります。

ここで重要なのが、部長や課長といったミドルマネージャーの「編集能力」です。 トップの言葉をそのまま録音再生のように伝えるのではなく、「うちのチームの現場に当てはめると、こういう意味だよね」と翻訳(編集)して接続する力。
これこそが、今のマネージャーに求められる最大のスキルです。
③ 「心理的安全性」の誤解を解く
Googleのプロジェクト・アリストテレスで有名になった「心理的安全性」。 これを「みんな仲良しで、何を言っても許されるぬるい職場」と勘違いしていないでしょうか。
本当の定義は、「対人関係においてリスクのある行動(意見、質問、失敗の開示など)をとっても、このチームでは安全だと信じられる状態」のこと。
無知だと思われる不安
無能だと思われる不安
邪魔をしていると思われる不安
ネガティブだと思われる不安
これらを取り除き、「健全な衝突」や「率直なフィードバック」ができる環境こそが、心理的安全性の高い組織です。
④ 「なぜ?」の問いかけを変える(ダブルループ学習)
部下がミスをした時、どうフィードバックしていますか?
例えば「クレーム報告を1週間寝かせてしまった」というミスに対して、「1週間も寝かせるな!」と行動だけを叱責するのは「シングルループ学習」です。
これだと部下は「次は怒られないように5日後に報告しよう(根本解決ではない)」となってしまうかもしれません。
必要なのは、その行動の裏にある価値観にアプローチする「ダブルループ学習」です。

「どうして(Why)その判断をしたの?」と柔らかく問いかけ、背景にある価値観を探る。
そして、「うちはバッドニュース・ファースト(悪い知らせほど早く)を大事にしているから、早く言ってくれたら誰も責めないよ」と、行動を支配する価値観(カルチャー)を書き換えていくことが、本質的な改善につながります。
まとめ|自律型学習組織へ
かつての軍隊的なピラミッド組織(指示命令型)は、変化の激しい現代では機能しづらくなっています。 情報がオープンになり、現場のリーダーが自ら判断して動く「自律型学習組織」へと変わっていく必要があります。
そのためには、
エンゲージメントと満足度を区別する
企業の「夢」を語る
マネージャーが翻訳者になる
心理的安全性を確保する(ぬるま湯ではない)
価値観にアプローチする対話を行う
これらを一つずつ実践していくことが、強い組織作りの第一歩になるはずです。
次回、2月27日(金)は「強い組織を作る内発的動機の引き出し方」をテーマにオープン勉強会を開催します。 ぜひご興味のある方はこちらのページから申し込みをお願いします!
▼第一回|オープン勉強会の開催レポート
