導入は9割成功。でも現場は疲れている──1,003人調査の裏側
「AIを導入したのに、結局、夜まで私が電話を取っているんです」
数か月前、私たちはあるコールセンターの責任者の方から、そんな相談を受けました。導入から半年。AI一次受けのシステムは動いている。ダッシュボードには「自動応答◯件」の数字も並んでいる。にもかかわらず、なぜか現場は楽になっていない。ご本人は少し困ったように、「うちの使い方が悪いんですかね」と話されました。
このやりとりが、今回1,003人に実施した実態調査の、はじまりです。
「導入したのに定着しない」──私たちが受け続けてきた相談
Foonzの窓口には、相談が日々寄せられます。その中で、私たちが数年前から気になっていたことがありました。相談の入り口が、「導入したい」ではなく、「入れたのに、うまくいっていない」に変わってきていたのです。
内容を並べてみると、驚くほど似通っていました。
導入して1年経つが、複雑な問い合わせは結局オペレーターが手動で対応している
どの問い合わせをAIに任せてよいのか、部署間で線引きが決まらない
FAQデータのメンテナンス担当が決まらず、情報が古いまま放置されている
現場からは「使いにくい」の声が出ているが、改善提案の宛先がわからない
経営層は「AIを入れた」実績を求め、現場は「使いこなす」時間を求め、話が噛み合わない
システム自体は動いている。にもかかわらず、業務は軽くなっていない。多くの企業で、この違和感が言語化されないまま溜まっていました。
こうした相談が続く中で、私たちは一つの疑問を持ちました。自分たちが日々見ている景色は、本当に業界共通の課題なのか。それとも、相談に来る企業に偏りがあるだけなのか。感覚で語るのではなく、データで確かめる必要がある──今回の調査は、そこから始まりました。
1,003人が教えてくれた、"うまくいっている"の中身
調査は2026年7月3日〜5日、従業員100名以上の企業でAI問い合わせ対応システムに関わる担当者・責任者1,003名を対象に実施しました※。
結果の中で、まず私たちが目を留めたのはこの数字です。
AIシステムを導入した企業のうち、約9割(88.9%)が「定着・活用されている」と回答。一方で、導入後の課題として最も多く挙がったのは「運用体制が確立されていない」の32.7%、次いで「現場担当者に利用が浸透しない」28.3%、「業務が効率化していない」25.8%でした。


一見すると矛盾するようですが、現場での相談を思い返せば、この2つの数字は同時に成り立ちます。「動いてはいる」が「運用は追いついていない」─冒頭の相談者と同じ悩みを、多くの企業が抱えていました。
導入時に重視した点を見ると、「導入費用・ランニングコストの安さ」40.7%、「AIの回答精度・技術力の高さ」38.9%、「現場担当者の使いやすさ」30.6%と、コストと精度がほぼ拮抗しています。一方で「ベンダーの運用サポート・伴走支援の充実度」を挙げたのは10.5%にとどまりました。選定の段階では、"導入後の運用をどう支えるか"は、まだ主要な判断軸になっていない──この数字は、私たちに多くを考えさせるものでした。
導入目的を見れば、「オペレーター業務の効率化・負担軽減」41.5%、「問い合わせ対応時間の短縮」37.0%、「人件費などのコスト削減」35.3%と、"現場を楽にする"ことが上位に並びます。そして成果についても8割以上が「十分」「ある程度」出ていると回答している。それでも約3割が運用体制の未確立に直面しているのは、目的達成の"手前"にある土台の話が、導入プロジェクトの中で見落とされやすいからではないでしょうか。
さらに掘り下げると、定着・活用の成功要因の上位には「現場への目的・メリットの周知」37.5%、「管理者層による推進」37.1%、「業務に合った運用ルールの設計」30.1%が並びました。いずれも、AIの性能そのものではなく、導入前後の"人と組織の整え方"に関わる項目です。今後強化すべき取り組みでも、「現場向けトレーニングの継続」39.7%、「データに基づくKPI設定・分析・改善」35.2%が上位に来ています。導入して終わりではなく、走らせながら整え続ける発想が、成果を出している企業に共通していました。

事前のルール整備についても、「詳細に整備した」17.3%と「ある程度整備した」62.2%を合わせて79.5%。定着している企業ほど、システムを入れる前の段階で、地道な土台作りをしていることが浮かび上がってきました。
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私たちが、この調査を通して確かめたかったこと
正直に言うと、私たちはこの調査を始める前から、一つの仮説を持っていました。「AI導入の成否を分けているのは、AIの性能ではなく、導入前の準備と導入後の運用設計ではないか」──サポート現場で得てきた実感を、そのまま言葉にしたものです。
1,003人の回答は、その仮説をおおむね裏付ける形になりました。ただ、私たちにとって重要だったのは、「やっぱりそうだった」で終わらせないことです。約1割の企業では定着に至っておらず、3割超が運用体制の未確立に直面しているという事実は、業界全体の宿題として残っています。しかも選定時に「運用サポート」を重視した企業は1割程度。この構造が変わらない限り、"導入したのに楽にならない"企業は、これからも生まれ続けるでしょう。
もう一つ、私たちが向き合わなければならないと感じたことがあります。それは、「AIを入れた企業が悪いわけではない」ということです。冒頭の責任者の方は、真剣に検討して、限られた予算の中で最適解を選ばれました。悪いのは選び方でも、努力でもない。ただ、AI導入というプロジェクトが、"導入して終わり"の前提で組まれがちなこと──ここに構造的な難しさがあるのではないかと、私たちは考えています。
ソクコムを設計するとき、私たちは「売って終わりにしない」ことを最初に決めました。導入前の環境整備からサポート担当者が伴走し、機能は使いたいものだけ選べる仕組みにし、AI一次受けから有人引き継ぎまでを三層構造のIVRで組み立てられるようにしたのは、AIを"使いこなす"までの距離が、想像以上に長いことを現場で見てきたからです。1ユーザー月額1,480円からのスモールスタートも、「まず土台を作る余白」を残すための設計です。今回の調査結果は、私たちがこれまで大切にしてきた方針の意味を、あらためて確かめる機会になりました。
冒頭の相談者に、私たちは何ができるでしょうか。答えは、「入れる前に、一緒に土台を組むこと」、そして「入れた後も、伴走を続けること」だと、今は思っています。1,003人の回答は、その方向性を後押ししてくれるものでした。
📊 調査レポート全文(無料ダウンロード)
1,003人の回答データ・課題項目別のクロス集計を含む完全版はこちらから。
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「うちの体制で本当に定着するのか」──そんな段階のご相談から歓迎しています。導入前の土台づくりから、Foonzのサポート担当者が伴走します。
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※調査概要:「AI問い合わせ対応システム導入後の課題と、定着に必要な取り組み」に関する実態調査/調査期間:2026年7月3日〜7月5日/調査方法:インターネット調査/調査人数:1,003人/調査対象:従業員100名以上の企業で問い合わせ対応業務に関与する担当者・責任者/モニター提供元:サクリサ/調査元:Foonz株式会社
