FPから登録料を徴収しない。代わりに会社のブランドを共創する「所属FP」の仕組み【回想録(3)FPサテライトの革新2】
FPサテライトの革新シリーズ第二弾は「所属FP制度」。
第一弾は「金融商品を販売しないFP」でした。以下の2記事よりご覧いただけます。
第二弾のこの革新がFPサテライト最大の肝であり、よく勘違いされるところでもあります。
FPサテライトには、町田退任時点で25名程度のFPが所属しているのですが、それは「登録制ですよね?」とよく言われるのです。すなわち「協会ビジネス」と呼ばれる、働き手であるファイナンシャルプランナー(FP)が登録料を支払い、団体に所属するビジネスモデルだと思われる方が多いようです。
明確に否定します。
FPサテライトは協会ビジネスモデルではなく、FPから所属にあたりお金を徴収することはありません。
したがって「登録」という言葉をそもそも使わず、「所属」という言葉を使うことにこだわっています。
私がイメージしていたのは「芸能事務所」に近い関係性です。 事務所に所属するタレントが、個人の活動を事務所にマネジメントしてもらい、看板を借りる代わりに窓口を一本化するように。FPサテライトもまた、個のFPを組織のブランドで包み込み、守り、マネジメントする「事務所」としての機能を目指しました。
FPサテライトに所属して活動するFPたちのことを、「FPサテライト所属ファイナンシャルプランナー」と呼び、表記方法も原則この表記を維持するようにルール決めしました。
「FPサテライト所属ファイナンシャルプランナー(所属FP)」とは
所属FPは、「FPサテライト所属ファイナンシャルプランナー」と名乗り、FPサテライトのメンバーとしてFP活動をするFPです。
契約形式は業務委託契約。ただし、その契約に協業避止条項を盛り込んでおり、FP業務に関しては他社の案件を個別に受けない契約としています。
芸能事務所に所属する芸能人が必ず事務所に仕事の話を通しているように、FPサテライトでも個別に案件の依頼があったときは必ず会社を通してもらっていました。
業務委託の求人募集でFPを募り、選考の上で採用した方を所属FPとして迎え入れています。リファラルもありましたが、その場合も必ず正規の選考ルート通過を必須としていました。
選考通過後は初期研修。こちらも無償。 FP業界全体の話やFPサテライトという会社についてお話し、所属FPとして活動していくにあたっての意識付けがおもな内容です。
登録料などの所属に係る費用はなし。社章貸与、名刺発注は会社負担。 任意で行う写真撮影会などのイベントで一部費用を負担いただくことはありますが、必須で支払わなければならない費用負担はありません。

なぜ所属FP制度を創設したのか
業界内外のセオリーを踏襲せず、独自で制度設計したのは複数の意図がありました。
「業務委託」なら売上がなくてもFPを創出できる
FPサテライトを創業した大きな目的として、「FPが活動できる環境を創出する」という理念がありました。そのため、できればFPを雇用したい、それも新卒でFPとして働ける環境を創りたいという想いが目標の一つ。
しかし、自身の食い扶持を繋ぐのでさえ難しい「金融商品を販売しないFP」というビジネス。 潤沢な売上がない中でも、FPが働ける環境を創るにはどうしたら良いのか。
そこで考えたのが、業務委託で成果報酬をお渡しする報酬形態でした。これなら、売上に応じて報酬を変動させることができるので、売上が十分でなくともFPとして働く人を増やすことができる。
家計を維持するほどの報酬がお渡しできなかったとしても、FPとしてキャリアの足掛かりにできる人が一人でも増えれば……という想いでした。
2018年、個人事業の法人成り前あたりからリファラルで所属FPを探し始め、同年4月に法人化してからすぐに求人を出し始めました。
会社コンセプトの毀損を防ぐ「協業避止」
「金融商品を販売しない、中立中正なFP会社」をコンセプトに運営するFPサテライトにとって、業務スタンスは非常に重要になります。
もし、所属FPがFPサテライトの仕事では「特定の見解に偏らず中立に」を守って業務を行なっていたとしても、FPとしてご自身のお名前で別のクライアントから受けたお仕事を、「〇〇保険が絶対おすすめです!」なんて言っていたとしたら……。
FPサテライトのコンセプトが崩れてしまいます。
このコンセプトを守るため、FP業務はFPサテライト以外の仕事を無断で受けてはいけない。契約書に「協業避止」の条項を盛り込みました。
できる限り雇用の良さは取り入れたい
今では価値観に変容があり、当時と見解に相違がありますが、
創業当初は「雇用でFPとして働ける環境を創りたい」という想いが強く、契約形態が業務委託であったとしても、その契約形態に縛られる必要はないのでは、と考えていました。
また、「業務委託だからこの職務」「パートだからこの職務」「正社員だからこの職務」と、契約形態や雇用形態に縛られるのではなく、「業務は同じでも、そのFPに適した働き方から契約形態を決めても良いのではないか」とも思っていました。
そこで、業務委託でありながらメンバーシップ型での働き方を取り入れ、「雇用と業務委託のハイブリット型」の制度設計を目指しました。
上記の制度設計自体は町田退任当時も維持されていましたが、これらの構想はマネジメント経験のない、若干24歳の発想でした。若さ故に色々な失敗経験を重ね、今は雇用に拘らなくなったり、管理工数も加味するようになったりと、当時の構想に難しさがあることを痛感しています。
なぜFPからお金を取らないのか
FPサテライトが創業した2016年当時から、FPがお金を支払って特定の団体から講師認定を受けたり、資格を付与されたりする「協会ビジネス」モデルの団体がたくさんありました。
しかし、その団体に所属しているFPで活躍しているFPがどれだけいるのか、甚だ疑問でした。
※団体に所属しながら活躍されているFPさんも、もちろんたくさんいらっしゃいます
その職業を生業にしようとしている人からお金を取るのは、FPの本業としてマネタイズすることに自信がないだけではないか。
FPとして働くのにお金を徴収しては、FPとして働くハードルが上がってしまうではないか。
そう考えていた当時の自分は、創業当初から協会ビジネスをしないと決めていました。
協会ビジネスとの構造的違い:会社の発展にコミットしてもらう
協会ビジネスの場合、会社にとってFPがお客様になります。そのため、FPへお仕事なり価値を提供する責務が生じると考えています。
一方、FPサテライトはお金をもらっていないため、「仕事量や報酬額は保証できない」と予め伝えて了承してもらいやすいですし、「FPサテライトのブランド向上に貢献して欲しい」と所属FPへお願いしやすくもなります。
協会ビジネスモデルの団体が必ずしも「仕事量や報酬額を保証している」
、その団体に所属しているFPさんが「団体のブランド向上に貢献していない」わけではありません。あくまで収益構造上、上記2点の方向へ力学を働かせやすいであろう、というお話です。
なお、創業当初と比較すると現在の私は協会ビジネスに対して肯定的な見解を持っています。この話はまたいつか。
多様性を尊重する:未経験・Wワーカーが集うFP組織に
最終的に採用する所属FPにも、様々な特徴があります。これは戦略的な狙いもあれば、経営事情としてそうせざるを得なかった面も複合的にありました。
【戦略的・経営事情】未経験歓迎、むしろ優遇
所属FPの7~8割は未経験者です。コンサルティング型でFP業を営んでいる場合、金融営業経験がコンサル思考の妨げとなることが多くあるため、経験を問わず、ゼロから育成する道を選びました。
【経営事情】主婦・Wワーカーも優遇
法人成り直後は特に提供できる仕事が少なかったため、FP一本で生計を維持する必要性がある方は採用が難しく、初期は特に主婦が大半を占めていました。
【戦略的】草創期からの採用開始
私自身が学生時代からFPを志していたため、主婦や会社員などマス層のお金の悩みに共感しにくい、いわゆる「生活者視点」が欠けてしまっている、というウィークポイントがありました。そのため、様々な方をFPとして迎え入れ、自分にはない視点を補いたいという狙いがありました。「3人寄れば文殊の知恵」ですね。
【戦略的】多様な属性の採用
学歴不問で高卒から大学院卒まで、20代~50代まで、中国籍の方も含め様々なバックボーンを持つ方々を採用しました。自身の人生経験がダイレクトにアドバイスや依頼へ繋がるFP業において、所属FPの多様性は営業活動においても強い訴求力になりました。
マネジメントは極めて大変でしたが、紆余曲折ありながらも8年かけてブランド力を醸成していくことができました。
終わりにーー理念先行で創り上げた所属FP制度
所属FP制度は、「金融商品を販売しないFPは稼げない」「でも一人でも多くの人にFPとして活動して欲しい」という現実と理念のせめぎ合いから、なんとか理念を実現しようと生み出した制度なのでした。
経営的には大変なことばかりで、費用対効果が悪いなどと言われることも多々ある中、それでも継続した結果として他の団体が簡単には真似できない制度設計とブランディングになりました。
これらの経験を活かし、今後、現職のFPクロスイニシアティブではFPサテライトのようなFP会社や他の独立系FPも含めてサポートしたりお仕事を提供したりできる会社として動いていきます。
※この記事は、町田在任時の2025年4月1日までの出来事や制度を掲載しています。現況はFPサテライトの公式情報をご確認ください。
FPとして活躍したいあなたへ
FPサテライト時代に述べ50人以上のFP育成に関わり、FP独自のキャリア形成支援や事業構想に強みを持つ町田が、FPとして独立起業したい人や独立後で事業戦略に悩む人のご相談を承っています。
詳細は以下よりご確認ください。
