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松山発・新種のパプリカを全国区へ! 自走する6人のプロボノチーム/株式会社ディライトアップ

フリーランス・パラレルワーカーが参画することで、チーム一丸で大きな成果を上げたプロジェクトにスポットを当て、フリーランスと組織の理想的な関係構築のあり方や共創意義を賞賛する「フリーランスパートナーシップアワード2024」。

本記事は、1次審査を通過したファイナリスト5組のうち、地元企業とフリーランス・パラレルワーカー6名のチームが愛媛県の農家を支援した事例をご紹介します。

100年続くみかん農家である新口農園が、新たに栽培を始めた甘くておいしいパプリカ。その商品コンセプトづくりやネーミングに始まり、東京でのメディアキャラバンや販売会まで実現させたのが「ちいあま応援隊プロジェクト」です。

チームの結成から当初の計画を超える成果を生み出すまでのストーリーを、愛媛県内の農家に代わって青果の卸売販売を手がける株式会社ディライトアップの森川直子さん、複業として参加した福島香織さん、水野昌彦さん、小野恵美さんにうかがいました。

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地域の農家の支援に複業人材の力が必要だった

――プロジェクト名にもなっている「ちいあま」とは、どのようなものなのでしょう。

森川:愛媛県で100年以上みかん農家をされてきた新口農園さんが、3年ほど前から栽培を始めたパプリカです。小ぶりでお花のようなかわいい形のパプリカで、しっかりとした甘みがあるのが特徴なんです。この甘みは、乳酸菌の力で土壌を元気にするという新口農園さんの独自の工夫で実現したそうです。

――みかん農家さんが、新しいことに挑戦されているのですね。

森川:はい。新口農園さんはこの地域では一番と言っていいくらい、たくさんの園地をお持ちで、多くの雇用も生んでいます。だからこそ、閑散期の雇用をどう支えるかといった問題もあって、新しいことに取り組まれているんです。

また、この辺りは放っておくと耕作放棄地になってしまう農地も増えていて。そのような場所をうまく活用するための取り組みを、地元の方々から期待されているという面もあります。

新口農園代表の新口浦志さん(写真後列左から2番目)とちいあま応援隊のみなさん。前列左がディライトアップの森川直子さん。

――御社としては、新口農園さんからの依頼を受けて、フリーランスや複業されている方と一緒に支援しようと考えたのですか?

森川:ディライトアップでは、さまざまな農家さんから、卸売や販促を含めた経営全般のお悩み相談を受けてご支援しています。ただ、母と私の2人だけでやっているものですから全てのニーズにお応えするのが難しく、複業で手伝っていただける方に出会いたいと考えていました。それで松山市が主催する「だんだん複業団」という、市内企業と県内外の複業人材をマッチングするコミュニティに参加したんです。

その中で、昨年「共創プロジェクト」というプログラムが始まりました。企業とプロボノで参加する複業人材がプロジェクトチームを結成し、3カ月間で企業課題や地域課題について考えて成果物をつくるというものです。これに手を挙げて、新口農園さんのパプリカのブランディングと商品化の提案を、だんだん複業団の皆さんとやってみることにしました。

応募者全員に魅力を感じてチームを結成

――6人のメンバーが参加したということですが、どのように人選したのでしょうか。

森川:まずは、だんだん複業団の事務局の方に手伝っていただいて、プロジェクトの概要や求める人物像などをまとめました。それを見て6人もの方が応募してくださったんです。

最初は2〜3人に絞るつもりでしたが、たまたま皆さんが別々のスキルをお持ちで、応募の際に書いていただいた応募の動機やメッセージの内容もすごく魅力的だったんです。それで、思いきって皆さんと一緒にやらせていただくことにしました。

――なるほど。今日はそのうちの3名の方に来ていただいています。このプロジェクトに参加しようと思った理由を、教えてください。

福島:私はセブン‐イレブン・ジャパンで10年ほど商品開発の仕事をしていた経験がありまして、洗剤、化粧品、衣料品、おにぎりにお弁当、和菓子、洋菓子、サラダとさまざまなカテゴリーを担当しました。退社後は独立して主にメーカー向けに、商品開発のコンサルティングをやっています。

今は埼玉にいるのですが、父方のルーツが愛媛にあり、何かこの地域に関わることができないかと、だんだん複業団にエントリーしました。そこでパプリカのブランディングをするプロジェクトを知り、これは自分のスキルを活かせそうだと思って参加させていただきました。

水野:私はHonda(本田技研工業)の研究開発部門である本田技術研究所で車のデザイナーとして、ブランディングと深く関わる仕事をしてきました。一昨年、そろそろ外に出てもいい頃だなと思って独立したんです。

Hondaに在籍していたときから地方の中小企業様のお役に立ちたいという思いがあり、今は全国のいろいろなところで中小企業のブランディングを支援しています。その中でなぜか四国だけは行ったことがなく、今回のプロジェクトはご縁をつくるいいチャンスだなと思って参加させていただきました。

小野:私はフリーランスでPRの仕事を始めて10年ほど経ちます。その前はPR会社の社員として、地方自治体の仕事を多く担当していました。県や市町村の観光、農畜水産物の食材や伝統工芸といったものを、多くの人に知ってもらうPRをしていたんです。

愛媛に関連する仕事は、独立後も業務委託で長くお仕事させていただきました。ただ新型コロナの影響で世の中の流れが変わり、関わりが途絶えてしまったので、また愛媛との縁ができればと、だんだん複業団に参画しました。普段は既にできあがったブランド食材をどう多くの人に知ってもらうかという仕事をしているので、ゼロからブランドをつくることに関われる今回のプロジェクトにすごく惹かれました。

メンバーの得意領域を生かし、「ちいあま」の魅力を引き出していった。

――皆さん、それぞれの理由があって参加されたのですね。他の3名は、どのような方々ですか。

森川:週4日の会社員をされながらライターもしている高石美由紀さん、コンサルティング会社でデザイナーをされている清水覚さん、ビデオカメラマン・動画編集を長年されている佐藤直子さんです。6人とも見事に領域が被らず、よいチームワークでやらせていただいています。

生産者の想いに触れ、自発的に活動を延長

――3カ月間、どのようにプロジェクトを進めたのでしょう。

福島:共創プロジェクトプログラムの成果発表会と、それに向けて4回の打ち合わせ日程が決まっていましたので、それに合わせてオンラインミーティングをしました。その間はそれぞれ持ち帰った宿題をやり、必要があればSlackでやり取りをしました。

成果としては、「ちいあま」というネーミングと「甘さ まるごと 愛媛のパプリカ」というキャッチコピー、ロゴのほか、森川さんの取引先である飲食チェーンの企業様に提案するための資料なども作成しました。

――4回のオンラインミーティングでそこまで完成させるとは、すごいですね!

福島:ネーミングについては、だんだん複業団に参加している他のメンバーの方々にもアンケートを取るなどして検討しました。主に水野さんが進捗状況を確認しながら仕切ってくださったことや、迷ったときは森川さんがはっきりと方向性を示してくださったことが大きかったです。

水野:パプリカの畑を直接見ることはできませんでしたが、森川さんにお話をうかがって、みんなで夢を膨らませていくような進め方でしたね。

愛媛産であること、形がユニークで可愛らしいこと、乳酸菌農法という方法で非常に甘さが出ているということ、そういったことをアピールしようと合意形成して、商品のコンセプトやネーミングを検討していきました。

パプリカは一般に大きく肉厚なのに対し、「ちいあま」は小さく果肉もほどよい弾力。丸ごと料理に使えるのも魅力のひとつ。

――パプリカを実際に食べる機会はありましたか?

福島:プロジェクトが始まった10月に森川さんが何個か送ってくださったんですよ。時期的に、それがギリギリ最後に収穫されたものでした。

1月の終わりに成果発表会があり、そこで初めて愛媛に向かったんです。新口農園の代表の新口浦志さんにもお会いして、せっかくなら発売するところまで見たいよね、と盛り上がったんですよね。それで「ちいあま」が収穫できる7月に販売会をやろうという目標を立て、LINEで毎日のようにコミュニケーションを取るようになりました。

――だんだん複業団でのプロジェクトが終わってから、自発的に活動が続いていったのですね。

森川:新口さんの情熱が皆さんの心を動かしたというのが、一番大きかったように思います。成果発表会の後に、新口さんも交えて打ち上げをしたのですが、2次会、3次会までとにかく盛り上がったんです。

福島:あの後に小野さんが、「こういう販売会をしませんか」と、企画を提案してくださったんですよね。

小野:成果発表会で愛媛を訪れ、初めて新口さんにお会いして、生産者としての熱い想いに直接触れることができました。おいしいパプリカをつくるために大変な作業をされていることとか、耕作放棄地の問題も解決したい、新口農園の跡継ぎのためにも、まだまだいろんなことを成し遂げたいといった願いや新口さんの人柄に惚れ込んでしまい、引き続き応援したいと思ったんです。

福島:まさに「ちいあま応援隊」として、それぞれが自分のできることでバックアップしたいという気持ちになりましたよね。

小野:成果発表会の場でチームの皆さんとも直接会えて、このチームワークがあって今日を迎えられたんだな、という達成感を得たのも大きかったです。このまま終わらせるのはもったいない、このチームでもっと何かやりたいと思い、企画案を作成しました。その結果、森川さんから少し予算もいただけるというお話になり、さらに気合が入ったという面もあります。

東京でのメディアキャラバンと販売会を決行

――「ちいあま」の販売会は実現できたのでしょうか。

小野:7月11日に東京で販売会を予定していましたが、天候不順で「ちいあま」が思うように実らず延期しました。それで急遽、その日はメディアキャラバンを決行したんです。1日で6社回るという強行スケジュールになりましたが、せっかく愛媛から新口さんと森川さんが来ていただくのに、手ぶらで帰らせるわけにはいかないなと。今後の営業につなげられればと考えて、新聞社などの訪問先を選定しました。

新聞社での取材の様子。「ちいあま」の魅力をアピール!

――プロジェクトの皆さんで一緒に回ったのですか?

小野:都合のつく人だけでしたが、福島さんがつくってくれた「ちいあま」のTシャツを来て、みんなで電車に乗って回りました。その結果、東京新聞や共同通信にも取り上げてもらえました。つい先日も、日本農業新聞に全国版で紹介されたところです。記事は数段にわたり、写真も入っていて感激でしたね。

森川:私はメディアキャラバンという言葉も知らなくて、テレビの制作会社とか新聞社の中に入れるなんて思ってもみなかったんです。そういう意味でも、今回の活動はすごく刺激になりました。

小野:
延期になった販売会は8月1日に実施できました。台東区にある「上野桜木あたり」という古民家を再生した複合施設内のレンタルスペースを、OKATTEという地元の八百屋がランチタイムに借りているんです。そこで「ちいあま」を販売し、3色の「ちいあま」を使ったオリジナルランチも提供しました。OKATTEさんは品ぞろえにこだわりのあるお店なので、「ちいあま」ともぴったりマッチしたのです。

森川:お客さんから「ちいあま」を食べた感想を直接うかがうことができて、新口さんも私たちもとても励みになりました。

販売会のようす。「ちいあま」に興味津々。

チームでの活動がプロ同士の学びの機会に

――「ちいあま」の販路が広がっていきそうな兆しはありますか?

森川:OKATTEさんは販売会の後も継続して取り扱ってくださり、また大手スーパーチェーンのライフでは、大阪の店舗で既に販売していただいています。ほかにも全国に展開する飲食チェーンの社員食堂での試食会で扱っていただいたり、メディアキャラバンで訪問した会社の食堂を運営されている企業とも商談を進めたりしています。

――それは楽しみですね。最後に、このチームでやってよかったことや、今後挑戦していきたいことを教えてください。

森川:私は企業に勤めたことがなかったので、チームで進めるプロジェクト自体がとても新鮮でした。経験できてよかったです。これからもぜひ、こういったプロが集まるチームで、地域のお困りごとを解決していきたいと思っています。

福島:普段は守秘義務の関係もあって仕事の内容を外部で話すことはなかなかできないのですが、今回は行政事業でオープンになっているプロジェクトのプロボノということで「今こんなことをやってます」といろいろなところでお話しできました。それが私自身のPRになるということもあって、ありがたい機会をいただいたと思っています。

このチームで他の業種の方が本気で仕事をする姿を見せてもらったことも、すごく刺激になりました。こういった複業で活躍する方々と地域の関わりを、もっと盛り上げていきたいです。

水野:私も、今までになかった経験をこのプロジェクトを通じてできたということが、一番の収穫でした。ずっと車の仕事をしていたので、農林水産業のことはあまり知りませんでしたし、PRの領域についても、理屈では理解していても実際にどういうアクションを起こしたらいいのか分かっていませんでした。その場で見て教わる部分が多く、すごく勉強になりました。

小野:フリーランスでPRをやっていますと、ひとりでクライアントと向き合うような仕事が多いのですが、今回はチームの力をすごく感じました。販売会が成功したのも、チームワークあってのことだったと思います。

また、今回の活動では「PRの力でこんなことができる」ということをもっと知ってもらえると、いろいろな可能性が広がるんじゃないかと感じました。今後も私がお役に立てる案件があれば、チームで一緒にやっていくということに挑戦したいと思っています。

――だんだん複業団を運営されている、松山市の兵藤嵩彰さん(企業立地・産業創出課)にも同席いただいているので、一言コメントをいただけますか。

兵藤:ありがとうございます。「ちいあま応援隊」の皆さんは「共創プロジェクト」のプログラム終了後も取り組みを継続され、素晴らしい成果を生み出していただきました。松山市に森川さんのような志のある事業者がたくさんいらっしゃること、また松山の外にプロボノとして協力してくださるフリーランスの方々がいらっしゃるということが、非常にありがたいと思っています。今後も、こういった共創の縁をどんどんつなぎ、地域を盛り上げていきたいと考えています。

――「この人のためになにかしたい」という思いが原動力になって皆さんの力が結集されたこと、森川さんや新口さんも含む皆さんの間でプロ同士のリスペクトとチームワークがあって素晴らしい成果が生み出されたんだということがよく分かりました。企業とフリーランスの良きパートナーシップをつくっていく大きなヒントをいただいた気がします。ありがとうございました。

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フリーランスパートナーシップアワードとは
フリーランスパートナーシップアワードは、フリーランス(プロ人材、副業人材など)と企業が良いパートナーシップを築き、チーム一丸となって成果を出したプロジェクトに光を当て、讃えることで、企業がフリーランスをチームに迎え入れることの意義や成果を広く発信するものです。
書類審査による予選を勝ち抜いたファイナリスト5組の中から、Web投票により大賞が選ばれます。また、本選でのプレゼンテーションを踏まえた特別審査員賞も選出されます。

フリーランスが活躍できる土壌の広がりを応援するため、貴方が最も素敵だと感じたプロジェクトに是非ご投票をお願いします!

https://forms.gle/eRKHYPpioEwDngFW9

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