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受発注にかかる時間が1/6に! 社員によるアプリ開発をフリーランスが伴走支援/紙小津産業株式会社

フリーランス・パラレルワーカーが参画することで、チーム一丸で大きな成果を上げたプロジェクトにスポットを当て、フリーランスと組織の理想的な関係構築のあり方や共創意義を賞賛する「フリーランスパートナーシップアワード 2024」。本記事は、1次審査を通過したファイナリスト 5 組のうち、紙小津産業株式会社の事例をご紹介します。

三重県松坂市にある紙小津産業は、大正から続く包装資材の卸売商社。100年以上の歴史を誇る一方で、非効率なオペレーションが積み重なることによる業務負荷の高まりが課題でした。そこで古くからの慣習を見直し、業務改革を断行。組織のデジタル化支援の経験に富むフリーランスとパラレルワーカーの力を借りて、業務の自動化、効率化に挑みました。

今回は、紙小津産業株式会社の小津雅彦社長、中尾英明取締役、三谷進一業務推進本部長、プロ人材として同社で活躍中の金谷拓哉さんと小島 清さん、紙小津産業とフリーランス・副業人材のマッチング支援を行った、株式会社Dream3.0の黄山(おうやま)昇さんにお話をうかがいました。

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「挑戦と成長」に共感できるパートナーと共に業務ダイエットにチャレンジ!

――最初に、紙小津産業の事業内容や会社概要について教えてください。

小津:三重県松阪市で1921年に創業した、スーパーマーケットの包装資材の卸売などを行っている商社です。2023年からは印刷事業を譲り受けて、事業の幅を拡大しました。製品ラインナップは10000点以上、製品の仕入れ先は300~350社、製品をお届けするお客様は約3,000社と、豊富な品ぞろえ、幅広いお付き合いが強みのひとつです。

また日々の膨大な取引を通じて、各業界の状況やトレンド、ご要望などが集まってくるので、その情報を基に顧客サービスを改善したり、お取引先やお客様の業界全体の課題解決につなげたりするナレッジマネジメントが当社の核になっています。

私自身は、紙小津産業の4代目です。それまでは東京で事業再生コンサルタントとして働いていましたが、親も高齢になり「いつかは地元で」という思いもあったので、2019年に入社しました。

商品を彩るパッケージから輸送に欠かせない段ボールやコンテナまで、幅広い品ぞろえが強み。

――フリーランス人材の登用を考えたのは、社内にどのような課題があったからでしょうか。

小津:1世紀以上、商売を続けてくれば仕方がない面もあるのですが、よくも悪くも古くからのやり方に縛られた、非効率な働き方が見受けられました。特に、手書き書類でのアナログな情報処理が目立ち、後から入ってきた社員は私も含めて独自のルールを覚えるのに一苦労でした。

業務の最適化を進めるため、今回のプロジェクトが始まる半年ほど前から「業務のダイエット」に取り組み始めていました。当初からIT化・DX化がポイントになると考えていて、新しい視点を持って協働いただける外部の方々の力を借りて、”ダイエット”を加速させたいという思いがありました。

そうしたとき、以前からおつき合いのあったDream3.0の黄山さんから、NPO法人G-netが運営する「ふるさと兼業」という、複業人材とのマッチングサイトをご紹介いただいたんです。

――「ふるさと兼業」経由で13人もの応募があったそうですが、選考にあたって重視されていたことはありますか。

小津:一番は、当社のスローガンである「挑戦と成長」に共感いただけるかどうかでした。この言葉には、前例のないこと、経験したことのないことに果敢にトライして成長し、また新たな挑戦機会を得て成長につなげるという循環をつくりたいという想いが込められています。百年企業として、次につなぐものは挑戦心。これからも、常にチャレンジできる機会をつくりたいと思っています。ですから新しいことに、積極的に取り組んでくださる方と出会いたいと思っていましたね。

中尾:募集をかけた時点では、外部の方と一緒にどういうことができるのか、明確なイメージを持ち合わせてはいませんでした。依頼したい業務を具体的に切り出せていたわけではないので、私たちの実情を理解したうえで提案してくださる方を求めていました。

三谷:プロジェクトに、文字通り「一緒に」取り組んでくださるかという点は重視していました。ITやDXは専門性ももちろん大切ですが、私たちのデジタルリテラシーを踏まえると、先生と生徒のような上下関係ではなく、親身になってくださる方と協働したかったのです。今回、来ていただいたおふたりは、お人柄も含め、条件にぴったり当てはまっています。

パートナーと目指すところを丁寧にすり合わせ、アプリ開発と「自走人材」育成を目論む

――続いて、協働された金谷さん、小島さんのご経歴と現在の活動についてお話しいただけますか。

金谷:前職はSIerのプログラマーとして、Webアプリの開発を担当しました。2021年にインターネット関連会社に転職し、現在もAPI活用のコンサルティングや、パートナーアライアンスの推進、パートナープログラムの運用などを担当しています。

会社勤めのほか、出身地である三重県の企業の、デジタル化支援を続けています。副業を通して、本業では出会うことのない方々からさまざまななことを教えていただき、充実感を味わっています。

小島:5年間システム開発に従事し、生産管理基幹システムを構築するプログラマー・SEとして働いてきました。その後、結婚・子育てを機に地元の自動車部品メーカーに転職し、生産ラインでの仕事の傍ら経験を生かしてシステム改善にも携わる中で、10年ほど前から周辺企業のデジタル化をメインに行うようになりました。

2022年からは所属していた会社とは業務委託契約を結んで独立し、並行して他社の生産現場のデジタル化支援に取り組んでいます。さまざまな業界、業種での経験を積んでスキルアップしたいと思い、「ふるさと兼業」は2019年から活用しています。

――プロジェクトを進めていくうえで、大切にされていたことを教えてください。

中尾:金谷さん、小島さんと、当社が目指すゴールイメージを明確にすることです。紙小津産業がしたいことと、おふたりのできることをすり合わせたうえで、プロジェクト期間の約3カ月で実際に何を実現させるか、プロジェクトを通して社内をどんな状態にしていきたいかまで、1カ月ほどかけて話し合いました。

打ち合わせを重ね、金谷さんと小島さんをそれぞれ中心とする2つのチームをつくり、「営業部門の受発注業務」と「管理部門の経費処理等の業務」の最適化を目指した、2種類の業務アプリケーションを自分たちで開発することに決まりました。さらに、プロジェクトを進める中で、当社の社員が、自律的に動ける「自走人材」に成長することを大きなゴールに据えました。

プロジェクトはオンラインで進められたが、初期段階でオフサイトミーティングを行い、業務理解とチームビルティングを図った。前列左が金谷さん、中列左から2番目が小島さん。

――当初から人材育成も視野に入れて、プロジェクトを始められたのですね。副次的な効果として、社員の成長を感じられたという話はよく耳にするのですが。

小津:人材の成長は、プロジェクトの中心に据えていました。人は主体性をもって動くときに、一番成長できて、楽しいと感じられるものです。「挑戦と成長」という全社スローガンを掲げて以降、これまでも若手がチャレンジできる企画を続けてきました。今回も金谷さん、小島さんという自律されたおふたりと共に働くことで「自走人材」への足掛かりをつかんでもらえたらと思っていました。

金谷:プロジェクトの目指すところを一緒に考え、現場の方々とアプリをつくりあげていく形は、私たちにとってもありがたかったです。というのも、過去に参画したプロジェクトでは、せっかくシステムやアプリを開発しても実務ではなかなか使われないなど、現場に浸透しなかったこともあったからです。

最終的にユーザーとなる社員のみなさんが入ることで、日々の仕事で感じている課題や実際に使う場面を想定したうえでのデザインや機能を、アプリに落とし込むことができました。

小島:システムやアプリの作成はアウトソーシングもできますが、社内の事情がわかる自分たちで修正できたほうがクイックに改善できます。プロジェクトに参画された方は、デジタルネイティブ世代の若手社員が中心でした。感度が高く良いものを取り入れようとする姿勢に、私も刺激を受けましたね。

受発注の作業時間を年間63時間削減! アプリ開発で相互理解やモチベーションもアップ

――では、開発された業務アプリでの成果を教えてください。

金谷:受発注業務については、Microsoft Power Appsを用いた受注伝票のデジタル化に取り組みました。以前は営業職の社員が手書きのメモを残して、後からパソコンで入力する流れだったのを、商談時に商品名やコードを直接入力できるようにしたことで、3分ほどかかっていた業務が30秒に短縮でき、年間63時間の時間削減に成功しました。

小島:管理部門の業務については、ITスキルがなくても扱いやすいプラティオというソフトを使って、手書きの経費精算に代わるアプリを作成しました。社内の情報共有も、紙からアプリへ移行しようとしています。両チームとも、約2カ月で試用に耐えうるアプリを完成させ、社員のみなさんから改善意見をいただきながら、現在もブラッシュアップされています。

――プロジェクトでの協働を経て、社員の成長を感じたエピソードがあれば教えていただけますか?

金谷:最初は、チームメンバーも「自分たちでアプリなんかつくれるの?」と不安だったと思います。自信を持って、この先も自走していくためには、アプリをつくる前の情報整理の方法と、基本のつくり方をマスターする必要があります。この2点は、丹念にお伝えしたつもりです。基本が腹落ちしてからは、メンバーから「こんなことをしたい」と前向きな意見が出るようになり、この先、別のアプリ開発も自律的に進めていけそうだと実感しました。

三谷:現場が使いたくなるアプリを開発するには、さまざまな部門の業務を把握する必要があります。自部門以外の業務を理解しようとするチームメンバーのアクションによって、部門間のコミュニケーションも活発になりましたし、メンバー外の社員も「こんなアプリを同じ会社の人がつくったんだ。自分もできるかもしれない」と、刺激を受けていますね。

アプリ開発ミーティングの様子。

小津:当社は2021年に「5%未来時間」という制度を始めました。事業展開につながる新たな企画提案に、業務時間の5%を充てるというものです。今年の成果発表の場では、アプリ開発チームもプレゼンをしてくれたのですが、それが本当に素晴らしくて。プロジェクトが一旦終わっても、さらに業務最適化を進めるアプリを自分たちでつくろうと、意欲を燃やしてくれています。「人材成長」というプロジェクトの大目標は、確実に達成されたと感じました。

小島:プロジェクトを経ての成長とは少し違うのですが、アプリの開発中、チームメンバーからアイデアがポンポンと出てきたことには驚かされました。「5%未来時間」で、常に企画を考えていたからこそのひらめきだったのかなと思います。

当事者の前向きさが共創を加速 紙小津産業から業界へ波及するデジタルシフトの可能性

――挑戦を後押しする社風の中で実現した、チャレンジングなプロジェクトだったのですね。では、今後の展開についてはいかがですか?

小島:アプリ開発の前にゴールイメージをすり合わせたことで、「社内にデジタル人材を育てる」という意志を持って動き出すことができました。紙小津産業さんには、お取引先との膨大なつながりがあります。若手社員中心にデジタル人材が増えていけば、ゆくゆくは、お取引先へのデジタル化支援を行うといった未来も考えられます。

小津:本プロジェクトでは、おふたりから「自走体制の構築」とともに、「開発アプリの外部販売」までご提案いただきました。自社だけでなく、他社の課題解決にまで乗り出せる可能性を示していただけてワクワクしましたね。次は、ChatGPTならぬ「ChatOZ(オズ)PT」をつくりたいと、三谷さん、中尾さんに話しています(笑)。引き続き、おふたりにもご支援をいただきたいです。

――マッチング支援をされた黄山さんが感じられた、協働が成功した理由を教えてください。

黄山:一番の理由は、全員のマインドがポジティブだったことだと思います。フリーランス、パラレルワーカーのおふたり、社長、幹部のみなさん、社員のみなさんから批判的な言葉が出てくることはありませんでした。異なるバックグラウンドを持つもの同士が協業する上では、前向きで柔軟な姿勢が大事だと改めて感じます。地域には、今後事業承継を迎える会社が多いので、よいロールモデルになると思います。

――フリーランス人材と協働する企業は、一部のタスクを切り出してアウトソースすることが多いのですが、上流の課題を共有し、パートナーの実績や能力を活かした具体策を探られた会社の姿勢が素晴らしいと思いました。本日は、ありがとうございました。

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フリーランスパートナーシップアワードとは
フリーランスパートナーシップアワードは、フリーランス(プロ人材、副業人材など)と企業が良いパートナーシップを築き、チーム一丸となって成果を出したプロジェクトに光を当て、讃えることで、企業がフリーランスをチームに迎え入れることの意義や成果を広く発信するものです。
書類審査による予選を勝ち抜いたファイナリスト5組の中から、Web投票により大賞が選ばれます。また、本選でのプレゼンテーションを踏まえた特別審査員賞も選出されます。

フリーランスが活躍できる土壌の広がりを応援するため、貴方が最も素敵だと感じたプロジェクトに是非ご投票をお願いします!

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▽その他のファイナリスト一覧

・杉浦味淋株式会社
1000人超えのファンの力でコロナ禍を乗りきった! "愛されるみりん"のデジタルマーケ戦略

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