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「エンドレスエイト(涼宮ハルヒの憂鬱)」あらすじ解説【タイムループ研究】

タイムループとタイムリープは似ているけど違います。ぐるぐる廻るのがループです。飛び移るのがリープです。

あらすじ

エンドレスエイト1

8月17日、自宅で甲子園を観る主人公キョンにハルヒから電話が来ます。

集合させられてみんなでプールに行きます。

その後喫茶店で今後の夏休みの活動計画立案ミーテイングです。

そして立案どおりに活動してゆきます。

8月30日、ここまでの活動を確認します。やり残したことはないと。

8月31日、キョンの夏休みの宿題は終りません。

エンドレスエイト2

8月17日、自宅で甲子園を観る主人公キョンにハルヒから電話が来ます。

集合させられてみんなでプールに行きます。その後喫茶店で今後の夏休みの活動計画立案ミーテイングです。ようするにタイムループループしています。前回と全く同じように立案どおりに夏休みの活動をしてゆきますが、

途中で朝比奈さん(未来人という設定)の相談を受けた、古泉(超能力者という設定)から連絡が来ます。
あわててキョンが駆けつけると、朝比奈さんは未来に帰れなくなったと泣いています。

帰れなくなった原因は時間がループしているから。古泉の説によれば、どうもハルヒの欲望により、夏休みのラスト15日間が延々と繰り返される状況になっているようです。

ループすると記憶はなくなり、ループしたという自覚も無かったのですが、長門さん(宇宙人という設定)のみは過去のループを全て記憶しています。彼女によれば今15498回目のループを体験しているそうです。膨大な時間です。キョンの計算では594年分です。

8月30日、ここまでの活動を確認します。やり残したことはないと。ループ対策は特になされていません。

8月31日、キョンの夏休みの宿題は終りません。

エンドレスエイト3

同じようにループして8月17日に戻るのですが、くり返しは省略して、

8月30日、ここまでの活動を確認します。やり残したことはないと立ち去るハルヒを見て、これ以上のループを阻止するためになにかをするべきだと思うキョンですが、なにをするべきか考えつきません。ハルヒはそのまま立ち去ります。

8月31日、キョンの夏休みの宿題は終りません。

エンドレスエイト4~エンドレスエイト7

3を繰り返します。古泉やキョンのデジャブする回数が増える事と、8月30日、これ以上のループを阻止するためになにかをするべきだと思うキョンの気持ちが段々盛り上がることだけが相違点です。ただ、なにもしません。

エンドレスエイト8

繰り返しです。
8月30日、これ以上のループを阻止するためになにかをするべきだと思う気持ちが極限まで盛り上がったキョンは、ハルヒの退出まぎわ、とっさに発言します。
「宿題がなにひとつ出来ていない。それをしないと俺の夏は終わらない。俺んちにみんな集合して、一気に終わらせよう」

8月31日は描写されません。9月1日はやってきました。学校のシーンでエンドレスエイトシリーズは終ります。

(あらすじ・終)

主役はキョン

タイムループの原因はハルヒが満足していないからだと説明されています。しかしどうも違います。キョンが計算を間違っているからです。
15498回ループしていると聞いたキョン、暗算をします。

ループ回数×14日=216972
一年365.25日と考えて、594年分。あまりにも長い時間に驚くキョンです。

しかし実際にループした日付は、8/17~8/31まで、つまり15日間です。
だからキョンの計算は間違っています。
ループ回数×15日=232470
一年365.25日と考えて、本当は636年分です。

ではなぜキョンは1回のループあたり14日経過、と勘違いしてしまったか。
31日、宿題ノルマの日が嫌だったからです。その日の存在から目を逸らしていた。だから無意識に計算から外してしまった。

そして最終的に宿題をこなそうと前向きになったら、即ループは解消されます。600年以上続いていたのにです。
となるとループの原因は、宿題から逃げていたキョンのメンタルにあります。

一方ハルヒは8/17以前に宿題を済ませています。だからハルヒは31日から目を逸らす理由がありません。実際31日を「予備日」と捉えています。つまりハルヒはループの原因ではありません。
「ハルヒがループ原因説」は古泉が唱えていたのですが、実は30日の時点では古泉も宿題は途中までしか終わっていませんでした。だからキョンと同じように古泉にもループを継続させる力が働いている。だから原因判定を間違った。
つまりこれは宿題を残している人間たちが作り出した現実逃避のループであり、ハルヒ原因説はただの濡れ衣です。

苦行

実際見て驚いたのですが、エンドレスエイト2~エンドレスエイト7の間は、展開というものががまるでありません。ひたすら反復しているだけ。退屈の極みです。ただの難行苦行です(ちなみに他の回は視聴していません。観ようとしましたがおじさんにはきつすぎました)。

なんでこんなに退屈なのか。登場人物たちが、ループのたびに記憶が全部なくなるからです(長門以外)。普通ループの原因探求と脱出がドラマになるものですが、なにも探求しないのだから展開はなくなります。
視聴者は前回の話を多少なりとも憶えていますから、ほぼ同じシーンを繰り返し見せられます。だからうんざりするのです。前回書いた通り、ループ物の主役は記憶です。記憶物語です。本作は登場人物たちの記憶を徹底的に弱くすることによって、視聴者の記憶を徹底的に反復強化してゆきます。一応時間は流れていますが、ループしているのでまるで展開の無いドラマ、止まった物語になっています。こんなのよくぞ放映しました。

以前取り上げた「ビューティフル・ドリーマー」では、温泉が言います。

「自分でも驚くぐらい記憶がはっきりせんのです。昨日のことも、前日のことも、うっかりすると数時間前の事も忘れていることがあったり、~(中略)~だいたい私が学校に泊まり込んで以来、幾日経つのですかね。三日ですか?四日ですか?」

これでも「エンドレスエイト」に比べれば、良く記憶できているほうなのです。温泉は思い出せないことを自覚できているのですから。
「エンドレスエイト」では2回目以降の8月20日夜にはハルヒ以外がループ進行を自覚します。その時点で15498回目のループです。でも過去が同じ進行であったかどうかも、長門以外の人物には認識できていません。ただループだったと知るだけです。そしてループから脱出しようとする具体的行動は、ほとんどありません。なぜなら(活動内容が夏休みの青春イベントだから)ループによるストレスが極めて小さく、対して宿題に向き合うストレスが極めて大きいため、皆ループを(受動的にですが)選択してしまうからです。そして登場人物がストレスが無い分、視聴者が難行苦行になるのです。

前回の「恋はデジャ・ブ」では、主人公はループによるストレスを非常に強く感じます。全て記憶しているからです。自殺までします。ループして生き返るのですが。ところが視聴者視点からは、主人公にかかるストレスに全く共感できない。

だって普通の人間はループ体験なんてしたことありません。どうして共感できるでしょうか。主人公の苦しみに実感がわかない。不自然で大げさな感情表現にしか見えません。同じ立場に自分がなればやはりストレスだとも思うのですが。

私的には「ビューティフル・ドリーマー」が一番楽しく鑑賞できるのですが、その理由は登場人物および視聴者にかかるストレスが、強すぎもせず弱すぎもせず、適切な塩梅だからだろうと思います。

ループ構成は、反復構成の一種です。

ループこそ反復構成の最も純化したスタイルとも言えます。そして本作は、ただでさえ純化しているループ構成を、更に極限まで純化してしまった怪作です。ひたすら反復しかない。正直二度と見たくありませんが、一見の価値は確かにありました。



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