【8】骨のお守りは誰のために
コウの顔色が悪くなってきたことに気づいたナナは、自分のお店で身体をほぐそうと提案した。カフェからは十分ほど、大学からだと二十分ほどのところにナナの経営するエステ店はあった。
目と鼻の先とは。
テナントビルの一階にあり、扉には店休日の札がかけられていた。ナナが扉を開ける。
「どうぞ」
「お、お邪魔します」
店休日のお店に入るのはなんだか悪いことをしているような気もするし、ちょっとした冒険心をくすぐられる気もする。
足を踏み入れると鼻腔をくすぐる良い香りが室内を漂っていた。アロマだろう。自然と肩の力が抜ける。
ナナは電気をつけた。
入ってすぐ受付カウンターがある。五人入れば窮屈になるほど小さな待合室の右手に施術室がある。個室になっていて待合室からは二つの扉が見えた。
「こっちよ」
扉を通りすぎ奥へと案内される。他の施術室とは違い重々しい雰囲気の扉が目の前に現れた。ナナは鍵を開けて中へ入る。
部屋の中央には簡易ベッドがあった。寝室にあってもおかしくないほどのものだ。枕元には香炉が置かれている。
「荷物はソファに置いて」
扉の右手にあるテーブルとソファをナナは示した。
「さ、ベッドに横になって」
微笑むナナにコウは言われるがまま仰向けになった。
