「そのフェイクニュースに、異議アリ!?」最先端技術で偽情報を見破る富士通の取り組み~法律家への特別インタビュー付き~
こんにちは。富士通広報note編集部です。
SNSで誰かが投稿した内容を本当だと信じたら、実はそれがフェイクニュースだった…皆さんにはこんな経験ありませんか。生成AIの進化により、著名人が本当に喋っているような偽動画・偽画像の作成が容易になり、2026年衆議院選挙でも、生成AIで改ざんされた虚偽の写真や動画がSNSで拡散されるなど、大きな社会問題になっています。
富士通では、偽・誤情報の拡散など新たなリスクに対応するため、国内では富士通と産学組織が9者で共創し偽情報対策プラットフォームの共同開発に取り組んでおり、また、国際的には2025年12月に国際コンソーシアム「Frontria」を創立するなど、多角的なアプローチで情報の信頼性を確保し、健全でレジリエンスの高い情報社会の実現を目指しています。
今回は、この社会問題を解決するための富士通の取り組みについて、少し変わった観点から、研修で富士通広報に来ていた法律家の方へのインタビューを通して詳しくご紹介します。法律家は弁護士、裁判官および検察官の総称ですが、裁判などで真偽を見極めるプロであり、とても興味深い内容が聞けました。ちなみに「異議アリ!」って本当に裁判で言うのかも聞きましたので、気になる方はぜひご一読を!
フェイクニュースの社会問題化
生成AIで作った精巧な偽動画・画像とともに偽情報がSNS投稿されれば、信じてしまう人もいますよね。
でも、その内容が災害、政治、医療といった重大な事柄についてであれば、悪影響は計り知れません。生活の根本に関わる大事なことですから、富士通だけでなく他の企業や国も含めて対策を講じる必要があります。
富士通の取り組み
その対策のため、富士通は、2025年12月に、偽・誤情報や新たなAIリスクに対応する国際コンソーシアム「Frontria」を創立しました。「Frontria」は、世界中から参画する60以上の組織が技術や課題、ニーズを持ち寄り、アイデア創出の場を提供するとともに、国際的な視点からのリスク対応と変革を推進します。富士通は、「Frontria」において、金銭要求や本人詐称などのリスクに対応するフェイク検知や、AIによる差別的な判断のリスクに対応するAIの公平性など、偽・誤情報対策、AIトラスト、AIセキュリティ領域のコア技術を参画組織に対してトライアル提供します。
さらに、国内においては、内閣府や経済産業省、その他の関係府省が推進する「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)」のもと、偽情報対策プラットフォームの共同研究開発が2024年10月から始まっています。富士通は、他の企業とともにこの研究開発に参画し、プラットフォーム全体の構築を担当しています。
今回、このプロジェクトについて簡単に説明しつつ、せっかくなので研修で広報に来ていた現役の法律家にもインタビューしてみました。
産学共同プロジェクトの意義と法律家へのインタビュー
担当者:こんにちは、富士通広報note編集部です。今日はよろしくお願いします。早速ですが、法律家の人は裁判などで真偽を見極めることが仕事ですよね。ある出来事が嘘か本当か、って簡単に分かるものなのですか。
法律家:それは我々法律家にとって重要なテーマであり、日々考えていることです。科学技術の発展で、ある出来事の真偽判断は、とても難しくなっている印象です。
担当者:そうなんですね。ところで、生成AIを悪用した偽動画・偽画像、フェイクニュースについて、法律家の人は関心ありますか?
法律家:非常にあります。偽動画・偽画像による犯罪は近年増加し、関連する刑事事件も増加しているようです。
また、フェイクニュースを拡散させると場合によっては損害賠償責任を負うなど民事事件に発展することもあり得ます。
担当者:怖いですね…。そんなことにならないよう、富士通は他の産学組織と共創し、偽動画や偽画像、フェイクニュースの拡散を防止するプロジェクトを進めているので、概要を簡単に説明しますね。
偽情報の検知、根拠収集、分析、評価、これらを各企業の各技術でバラバラに対応していたのでは限界があります。そこで、これらを統合して総合的に行うプラットフォームの構築を目指し、2024年10月から研究開発しています。

共同開発開始から約9か月経った2025年7月、富士通はその開発状況を紹介するためにシンポジウムも開催しました。
シンポジウムでは、富士通データ&セキュリティ研究所長今井の進行の下、各技術や分野におけるプロフェッショナルの方々のディスカッションも行われました。



法律家:そのプロジェクトにおける富士通の役割はどのようなものですか?
担当者:富士通は特に、分析結果を含めた大量の情報について、①その情報間の関係性や矛盾を分析すること、②得られた結論の根拠をユーザーに説明すること、これら2点の技術を主に担当しています。これらには、スーパーコンピュータ「富岳」やエンタープライズ向け日本語特化型大規模言語モデル(LLM)「Takane」で培われた富士通独自の最先端技術が活かされています。
法律家:なるほどですね。まず、①情報間の関係性分析について、これは法律家の仕事でも重要と言われています。法律家の世界では、真偽判断は「事実認定」と呼んでいます。事実認定では、1つの事実・証拠のみから判断すると間違うことが多いから複数の事実を総合的に検討・評価することが重要であるといわれ、このことは最高裁判所が述べるほどです(平22.4.27刑集64巻3号233頁等)。
また、②結論の根拠を説明するのも重要です。弁護士や検察官は、裁判の場で結論に至る理由を裁判官に説明する必要があります(民事訴訟法134条2項・刑事訴訟法293条1項等)。裁判官も、判決宣告時に理由を示します(民事訴訟法253条1項3号・刑事訴訟規則35条2項等)。
担当者:富士通の技術が法律家の考え方と関連しているとは驚きました。
なお、富士通では、偽情報対策プラットフォームの共同研究開発に参画する名古屋工業大学が行う、「偽情報を一度信じてしまった方はそれを訂正しにくい」という認知科学の研究結果なども参考に研究開発をしています。
この研究開発により、いずれは、偽情報に惑わされないようにユーザーの皆さんに適切な行動を促すというサービスを提供できればより良いと考えています。
なぜひとは誤情報を信じ続けるのか? 訂正情報の効果を制限するオンライン行動の特徴を解明|国立大学法人名古屋工業大学
法律家:フェイクニュースの拡散等による社会的なトラブルがなくなり、刑事事件や民事事件がそもそも起きないことが一番良いですよね。
担当者:そうですね。富士通では他にも、犯罪や紛争の予防に資するシステムをたくさん研究開発しています。高精度AIで不審者の不審行動を即時に検知するソリューションや、特殊詐欺、カスタマーハラスメントを予防するAIツールなどが代表例です。
富士通と米ARYA社、高精度AIで不審行動を即時に検知するソリューションを共同開発
特殊詐欺被害を防ぐ!富士通の「特殊詐欺訓練AIツール」とは? ~生成AIが訓練のトレーナーに?!~|富士通 広報note
犯罪心理学×AIでカスハラから従業員を守る! ~東洋大学と富士通の革新的な取り組み事例~
法律家:富士通が事件や紛争を防ぐための技術もたくさん開発しているとは驚きました。富士通のデジタルサービスにより、人々の生活がより便利になるだけでなく、より安心安全なものにもなりそうですね。
担当者:富士通は、デジタル社会の発展と人々のウェルビーイングの向上もマテリアリティの一つにそれぞれ掲げています。それらにより「イノベーションによって社会に信頼をもたらし世界をより持続可能にしていくこと」という富士通のパーパスを実現したいと考えています。
…あ!そういえば、法律家の方は本当に「異議あり!」って言うんですか??
法律家:少数派だと思いますが言う人もいますよ。ちなみに私は「異議があります。」と優しく言う派です。
担当者:「異議あり!」が存在するというのは誤情報じゃなくて安心しました笑
本日はありがとうございました!
おわりに
今回は、社会問題になっているフェイクニュース解決に向けた富士通の取り組みをご紹介しました。
これからも富士通は、マテリアリティへの対応を通じて、デジタルサービスによってネットポジティブ(注1)を実現するテクノロジーカンパニーになることを目指していきます。
(注1)富士通にとってのネットポジティブとは「社会に存在する富士通が、財務的なリターンの最大化に加え、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、そして人々のウェルビーイングの向上というマテリアリティに取り組み、テクノロジーとイノベーションによって、社会全体へのインパクトをプラスにする」と定義しています。

