「面白かったのはどれ?」——次女が横浜で大人にインタビューした日
【遊びの学び】お仕事インタビュー | Future Family Project 航海ログ
アンケートの最後に、こんな質問があった。
「今日、面白かった職業はどれですか」
次女が書いた答えは、「起業家」だった。
【現場】電車の中で、パパがインタビューされた
5月中旬。次女と二人で横浜へ向かった。
横浜の中高生支援スペースで、「お仕事インタビュー」ワークショップが開かれる。小5の次女を連れて参加することにした。
電車の中で、インタビューの練習をした。
「まず最初に挨拶するんだよ。こんにちは、5年生です、って」
「それで?」
「時間を取ってくれてありがとうございますって言って、ボイスメモ撮っていいですか、って確認する」
「うん」
「で、最初の質問は?」
「……どうしてこの仕事を選んだんですか」
「いいね。じゃあパパにやってみて」
次女がiPadを構えた。
「どうしてこの仕事を選んだんですか」
「パパはね、Back to the Futureのドク博士っていう発明家に憧れてたんだよ。だから発明家になりたかった」
「……なるほど」
「なるほど、大事。それだけで相手が嬉しくなるから」
次女は少し照れながら、もう一度「なるほど」と言った。
【発見】起業家グループに入った次女
会場には、元コンサル出身の起業家・元信用金庫勤務で今は横浜市役所職員という2人のゲストが登壇した。
参加者はそれぞれにインタビューし、「自分がやるとしたらどの仕事か」をランキングする。
次女は起業家のゲストにこう聞いた。
「どんな人が来ますか」
「高校生も来るし、おじさんも来る」と答えが返ってくると、次女はiPadにメモを取った。
ランキングを書く時間、次女は迷わず「起業家」を1位にした。
最後の発表では、起業家チームの一員としてマイクを持ち、名前と特技を言った。
「5年生です。特技は一輪車です」
会場から「すごい」という声が上がった。
もう一つ、この日に試みたことがある。
名刺交換だ。
子供用に簡単な名刺を作っていた。会場で、起業家・大学・高校の先生など4人と交換した。
名刺を渡す時は立って、両手で、相手の顔を見る。
最初は照れていたが、4枚目には慣れた顔で差し出していた。
ただ、ずっと自分が読める向きに渡していた。
本人は気づいていない。まあ、それでいい。今日が初めてだ。
【考察】「なんでその仕事を選んだか」という問いの重さ
電車の中でパパにインタビューした時、次女はこう聞いた。
「タイムマシーンで過去に戻るなら、どうしますか」
パパはこう答えた。
「同じ道を選ぶかな。なぜかというと、同じ道を通らないと、君たちと会えなくなっちゃうから」
次女は黙っていた。
小5の子供が「大人に仕事を聞く」という体験は、キャリア教育とは少し違う。
「どうしてその仕事を選んだのか」「大変なことは何か」「過去に戻れたら何をするか」——これらの問いに答える大人の言葉には、その人の人生の選択の重さが乗っている。
教科書に書いてある職業紹介じゃない。目の前にいる人が、本気で選んで、失敗して、続けている仕事の話だ。
次女が「起業家が面白かった」と書いたのは、起業家のゲストが「自分が通いたいお店を作った」という話をしたからかもしれない。やりたいことをやっている大人の話は、子供に届く。
以前、お風呂でよくこう言っていた。
「キキは13歳で家を出たよね。君たちも13歳で独り立ちだよ」
全寮制の学校を、うちが本気で検討しているのも、そういう思想からだ。
5年生の次女が、横浜の会議室で大人に仕事へ質問をした。その経験が、何かの種になるかどうかはわからない。
でも、種を蒔かなければ、芽は出ない。
【余韻】
800年後の子孫へ。
2026年5月、ある小5の娘が、横浜で大人に「どうしてその仕事を選んだんですか」と聞いた。
アンケートに「面白かったのは起業家」と書いた。
パパはそれを、書き留めておいた。
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