歯車がそっと動きはじめた話【後編】
前編では、はじめての有償依頼(まめ@ココロとカラダの教室さんのアイコン制作)にたどり着くまでのことを書きました。
前編の記事はこちらから
ここからは、その依頼をどのように形にしていったのか、制作の過程を、少しだけ胸の内も交えながら綴っていこうと思います。
依頼を受けた日のことは、今でもはっきり覚えています。
嬉しさと同じくらい、胸の奥に小さな戸惑いもありました。
「本当に自分なんかで良いのだろうか」
そんな不安がふっとよぎる。
でも、その不安のすぐ隣に
「これが描けたら自分自身を前に進めることができるのでは…」という気持ちが確かにありました。
その気持ちが、そっと背中を押してくれました。
描く前に、まずは“知ること”から
なかなか上手くはできていませんが、自分は絵を描くときに、描こうとしているキャラクターの背景や歴史・性格などを大切にすることで、それが伝わってくるような絵が描ければ…といつも思っています。
そのためにはどうしてもそのキャラクターについて深く掘り下げていく必要があると思ってしまうのです。
(以前書いた記事にこのことを綴っています)
今思えば学生のころの勉強もそうでした。
ただ「こうすればこう解ける」では納得できなくて、「なんでそうなるんだろう?」と納得いくまで考えてしまう。
結果的に、公式の成り立ちを自力で明らかにしてみたり、解説以外のやり方を考えたり、図やグラフをたくさん書いて、徹底的にかみ砕いて深いところで理解できるようにしたり…。
一見、すごい感じに聞こえるかもしれませんが、結局は”要領が悪くてそうしなければ理解できなかった”が正しい表現なのだと思います。
だから、人一倍勉強やレポート作成にも時間がかかっていたと思います。
でも、どうしても自分が納得のいく方法でやりたいと思ってしまいます。
だから、絵を描くときもそんな感じで、いろいろなことを深く考えてしまうわけです。
そういうこともあって、依頼を受けて最初にしたことは、ペンを握ることではありませんでした。
まずはまめさんの記事をひとつずつ読み返し、言葉の選び方や文章の温度、その奥にある想いを感じ取るところから始めました。
「この方は、どんな景色を見てきたんだろう」
「どんな気持ちで、言葉を紡いでいるんだろう」
そんなことを考えながら、どんなキャラクターにしたらいいのか、どんな表情なのか…というようなことを思い浮かべていました。
アイコンは、その人を表す看板のようなもの。
ならば、まずはその人を知ること——
それが大事なのではないか。
遠回りに見えるかもしれませんが、これを飛ばしたら自分の絵ではなくなってしまうような気がするのです。
時間をかけて数学の問題の真意を紐解いていくように、この遠回りが、実は自分にとっての一番の近道なのかもしれないと。
そんな気がするのです。
ラフの描画でイメージを明確に
自分の中でイメージができてきたら、今度はラフの描画です。
自分は、依頼主であるまめさんの選択肢の幅を広げられれば…という思いと、まめさんが持っているイメージにできるだけ寄り添えるように…と考え、ひとつではなく、構成の違いや表情の違いなど、いくつかのパターンを描いてみました。

ひとつ目の構成:「双葉が出ている鉢を持っている」
ラフを考え始めて最初にふと頭に浮かんだのが「双葉」でした。
双葉は、まだ小さくても、確かに“これから育っていく力”を持っています。
心と体の健康をテーマに活動されているまめさんの歩みや、まめさんに寄り添われている方々の回復のイメージと、どこか重なる気がしたのです。
「ひとつひとつを大切に」
「ゆっくり焦らずに育てていく」
そんな想いを、そっと形にしたいと思いました。
双葉を描きながら、
「この小さな芽が、誰かの心にそっと寄り添えたらいいな」
そんな願いが自然と湧いてきました。
ふたつ目の構成:「風呂敷を首に巻いている」
少し柴犬について調べてみると、「風呂敷」と「柴犬」は、昔から「和の心」や「日本らしさ」を象徴する組み合わせてとして浸透していたということがわかりました。それに加えて、「優しさ」というような印象もあるようです。
それで、「風呂敷を巻いた柴犬」は“心と体の健康を届ける小さな使者”のような印象になって、まめさんの活動とも合うのではないかと考えて、描いてみることにしました。
これらのラフをまめさんに見てもらい、相談した結果、「双葉の鉢を持って、目と口を開いているもので…」というように言っていただくことができたので、この方向で彩色を進めていくことになりました。

制作工程を簡単に説明すると…
彩色の工程を流れに沿って簡単に書いてみたいと思います。(我流の部分もあると思うので、もしアドバイス等いただけるとすごくありがたいです)
※自分の場合はラフも含めてすべての工程を「CLIP STUDIO PAINT」というソフトを使ってiPadで描いています。これは有料のソフトですが、非常に広くのユーザーに使われているソフトです。
1.まずは線画を描く
ラフを基にして線画を描いたものです。

この段階では、毛並みやハイライトなどは描かずに、輪郭だけの絵画になります。(線の色もこの段階ではすべて黒です)
2.ベースの配色をする
まずはベースとなる配色で、それぞれの場所を単色で塗っていきます。影や毛並み、ハイライト等は考えずに、簡単な塗り絵のようなイメージです。

3.濃淡等をつけていく
影や濃淡等を付けていきます。自分の場合はエアブラシで柔らかい感じに濃淡をつけていきます。

4.毛並みを描きこんでいく
「厚塗り」や「毛ブラシ」などを使って、細かく毛並みを描きこんでいきます。

5.色トレスによって輪郭をなじませる
「色トレス」とは、輪郭を近くの塗りの色と近い色にすることで、今まで黒一色だった線画を、毛の色である茶色や、双葉の緑にそれぞれ変えていくという作業です。これは「違う色で線画の上から線を描き直す」ということではなく、「クリッピング」という便利な機能を使って、線画を生かしたまま、輪郭の色を変えていくということになります。
以前、自分はLINEスタンプ等で輪郭をそのまま黒で描いていたのですが、「くっきりしすぎてしまう」というような印象を自分でももっていました。それで、この色トレスを活用し、最近制作したLINEスタンプから、できるだけ自然な輪郭で表せるようにしてみました。

6.細かい部分の書き込みと修正
見ていて違和感のある所や、色トレスがうまくいっていないところなどの細かい部分を、最終的にひとつひとつ描きこんでいきます。

7.ハイライトや頬の赤みをいれる
最後に目や鼻のハイライト、そして頬の赤みを入れてキャラの完成となります。

また、どうしても作画中に細かい消し忘れや、何かの拍子に入ってしまった細かいノイズのようなものが細かいゴミのようになって周りの余白に入ってしまうことがあるので、背景を一度単色で塗ったりしながらチェックして、一つひとつ丁寧に消していきます。(一見気づかないような微妙なものなのですが、実際に背景を透過にして背景と合わせて使うと目立ったりするので、これは非常に大切な作業になります。)
8.最後に背景を描いて完成
最後に別のレイヤーで描いた背景と合わせて完成です。
納品の前に、実際にnoteのアイコンの設定で上手く表示されるように確認し、キャラの大きさを調整しました。

完成と納品
納品は、後でまめさんが様々な用途で使うことができるように、この背景付きのものだけではなく、背景がなく透過のものや、キャラクターに白いフチがあるもの、そして、ラフの時にまめさんにお見せしたものの中から、目を細くしているものや口を閉じているものも併せて彩色して納品しました。
完成したアイコンをお渡ししたあと、まめさんがすぐに使ってくださっているのを見たとき、胸の奥がじんわりと温かくなりました。
自分が描いたものを、自分以外の誰かが使ってくれている。
今までLINEスタンプはほとんど身内しか買ってくれなかったので、なおさらその感覚は新鮮で、どこか不思議で、そして何より嬉しいものでした。
最後に
ゆるるんさんとの出会いやまめさんとのつながりから生まれた今回のアイコン。
自分にとっては本当に大切な一歩になりました。
本当にありがとうございました。
今回のことをひとつの自信とし、これからも一つひとつ積み重ねていきたいと思います。
ゆっくりかもしれませんが、一つひとつ焦らず。
あの、鉢植えから育っている小さな双葉のように。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

もしこの記事を読んでいただいて、アイコンのご依頼をお考えの方がいらっしゃいましたら、こちらからお願いできればと思います。※申し訳ございません。この記事は終了させていただいております。
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また、アイコン以外でもイラスト関係で何かお力になれることがあれば、コメントやDMでお話しいただければと思います。
よろしくお願いいたします。

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