大切なことはすべてヤマトさんと日通さんが教えてくれた[展示のプロの話]
昨日の投稿で、学芸員の危機察知能力について書きましたが、そもそもどーやって身につけたんだっけ?と少し昔を思い出してみました。
結論:美術品の扱い方に関してはプロの技を目で盗みました、はい。
こーゆーこと言うと、当時の先輩や上司に「おいおい、誰が育てたと思ってるんだ」と詰められそうですが、まぁそれは置いといて…。
学芸員はもちろんプロフェッショナルです。でも、展覧会を作り上げるのは学芸員だけではありません。知らない人も多いかもしれませんが、美術品の輸送から展示や撤収まで手がけるプロフェッショナルがいるのです。
それがヤマトと日通です。
日本の物流を支えるヤマトホールディングスと日本通運は、それぞれ美術品取り扱い専門部署があります。
もちろんこの二社以外にも、マルイ美術、カトーレックなどの同種のサービスを手がける会社がありますし、もっと小規模で画廊やギャラリーの展示をするところもあります。
だいたい名前を聞くところとは、何かしら仕事をしたことがありますが、総合的にみて、レベルが高いのはやはりヤマトと日通です。
全国に支店を構えているので、どこでも基本的に安心して任せられるという点も大きいです。
この二社は、自社で豊富な美術品専用車(空調機能や振動吸収機能のついた荷台のあるトラック)を所有し、梱包資材なども自社でそろえています。そして何より、社内研修や技能コンテストを実施して、美術品の取り扱いに関する技術を日々高めるようになっています。
スタッフさんには美大出の手先の器用な人がいたり、めっちゃパワフルな人がいたり、個性は様々ですが、ベテランになるほど職人の域に達して、展示に関するたいていの要望には応えてくれます。
展示作業をお願いする時は、基本的に最低2人以上の場合が多いのですが、よくある組み合わせが、ベテランさんと新人さんのセットです。そうやって現場で、新人教育をしているのでしょうが、学芸員としても勉強になることが多いです。
私もまだ学芸員として新人だったころ、日通のスタッフさんたちと仕事をした時、ベテランさんが新人さんに「俺の頃は手取り足取り教えてなんてもらえなかった。目で盗むんだ」と言っていて、それを横で聞いていた私は
かっこえぇ…、職人の世界だ…
としびれてました。で、それから展示作業があるたびに、日通やヤマトの人たちの一挙手一投足をじっと観察して、ひものかけ方、安全な持ち方、二人一組で作業する時の息の合わせ方、そういうことを自然と覚えていきました。
新人の頃は、何もしていないと思われるのが怖くて、つい闇雲に動いてしまいがちですが、その気持ちをぐっとおさえて、ただ見る、じっと観察する、というのもとても大事です。これは学芸員に限らず、どんな仕事でもそうじゃないかなぁ。
展覧会に携わる職業は学芸員だけではありません。色々なプロがいて、成り立っているんです。そんなこともちょこちょこ発信していこうと思います。
バックナンバーはここで一覧できます(我ながら結構たくさん書いてるなぁ)。
