【地方創生 番外編②】情熱の矢を、データで打ち返す部下たち。うみんちゅ班の反撃と、指導者の最後の一手
◆ ドライすぎる、完璧な返信
先日、うみんちゅ(海人)班が提出してきた「島桑(しまくわ)」に関する分析は、完璧すぎるほどのビジネス資料でした。
私は、強烈なフィードバックを送りました。
「一企業の新規事業戦略、無料コンサルに陥るな。浦添の地域住民や子どもたちをどう笑顔にするのか、大義を語れ」
普通なら、ここで立ち止まり、葛藤するはずです。
しかし翌日、私の元に届いたのは、うみんちゅ班のセメント会社総務係長からの、驚くほど冷静な、しかし完璧なビジネスメールでした。
「定性的な評価軸は獲得できたため、さらに定量的に各案の評価を行いたいと考えています。講師からのフィードバックについても、評価の一つだと考えておりますので……」
思わず私は唸り、そして口元を緩ませました。

彼らは、私の"魂の説教"すらも、自分たちの意思決定における「外部有識者からの定性コメント」として処理していました。さらに他の2案:ミズレモン、きっぱんのワードファイルを添付し、それらのフィードバックもリクエストし、「定量評価」で機械的に正解を弾き出そうとしていたのです。
優秀すぎるがゆえに陥る、実務家の職業病が、そこにありました。
◆ 理屈のデータに、情熱の劇薬を仕込む
要求通り、私は他の2案についても、一切の妥協なき評価材料を彼らに手渡しました。
しかし、ただのデータとして終わらせるつもりは、毛頭ありませんでした。
きっぱん・冬瓜漬について
300年の王朝の歴史。ロンドンからの帰国、そして継承というストーリー。比類なき大義です。
しかし、「作れば作るほど赤字」という深刻な収益構造のボトルネックがあります。だからこそ、学校教育や高付加価値サロンなど、別に稼ぐ手段が必要だと伝えました。

ミズレモンについて
1kgあたり6000円という圧倒的な市場価値。毎日、人工受粉を続ける生産者の執念のストーリー。
しかし、生産拡大と安定供給には、マンパワーの限界があります。地域への面的な広がりを描きにくい、玄人向けの制約もある。だからこそ、受粉体験や、行政を巻き込んだ育成プログラムなど、関係人口の創出が必要だと伝えました。

彼らは、意思決定のためのクールなデータを求めていました。
しかし私は、そのデータの行間に、どの道を選んでも必ず突き当たる本質的な問いを仕込んで、打ち返しました。
誰を笑顔にするのか。どう地域を巻き込むのか。
◆ 指導者の、最後の一手
さらに私は、メールの最後に、3つの問いを突きつけました。
①その資源のどこに、皆さんは理屈抜きで惚れ込んだのか
②半年間で、自分たちは実際にどんな行動をやり遂げられるか
③活動終了後、誰がこのプランを自走して引き継いでくれるのか
どんなに完璧に定量評価をしても、最後はこの3つの問い。情熱、実行力、持続性から、逃げることはできません。
「どれが一番儲かるか」「どれが一番実現可能か」という安全な部屋から、次回の対面ミーティングで、彼らはきっとこう言い始めるはずです。
「……で、俺たちはどれに一番ワクワクしてるんだっけ?」
本音のぶつかり合いが、そこから始まります。
あなたの職場の会議にも、この3つの問いはありますか。
数字の勝敗だけで意思決定が終わっていないか。誰かの魂が動いた瞬間を、見落としていないか。
優秀な大人たちが、自分たちの奥にある「魂の火」に気づき、一つの宝に命を吹き込んでいくプロセスを、私は指導者として、じっと見つめ、楽しみに待っています。
データは、正しい答えをくれます。
けれど、どの答えを選ぶかは、結局、誰かの心が決めることです。
うみんちゅ(海人)班が、この3つの問いにどう向き合っていくのか。
まだ、何も決まっていません。
その続きを、私も一緒に見届けたいと思います。
本日もお読み頂きありがとうございます。
スキ・フォローをいただけると、明日の励みになります。
📎合わせて読みたい
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップはクリエイターとしての学びに使わせていただきます! 