母においていかれた日。~10分のすれ違い~ 【 介護 / 家族 / エッセイ /認知症/ AIイラスト/ 画像生成AI /介護日記 】
とある仕事の帰り、実家に寄ることになった。
母から数日前の電話で、
父の誕生日用にショートケーキを頼まれていたからだ。
最寄り駅の一つ前で降り、スーパーの駐車場で待ち合わせ。
駐車場はいくつかあるので、場所も事前に確認済み。
仕事を終え、ケーキも無事に購入。
電車が少し遅れていたので、
「10分遅れるね」と連絡すると、
母からは「わかった」と返信があった。
そして到着。
…あれ、いない。
電話をすると「さっきまでいたけど、今は家にいる」とのこと。
理由を聞くと、「10分待つなら、その間に料理しようと思って」と。
「とりあえず、あなたはおいて行ったけど、また出ればいいんでしょ?」
少し不機嫌そうな声。
いやいや、と思いつつも、
家からここまでは車で片道10分。
しかも母は只今料理中で、家を出るまであと15分はかかるらしい。
母の言い分も、わからなくはないが、
私は、驚きと少しの苛立ち、
そして何より、
ちょっとしたショックを感じていた。
昔は、こんなことはなかった気がする。
電車が遅れても
「ゆっくり車で待ってるよ」と言ってくれていた。
待ち合わせも、もう少しゆるやかに成立していた。
そして、今回の電話で話した時も、そう言っていた。
私の連絡の仕方が、もう少し違ったらよかったのか?
「あと少しで着く」と伝えていれば、また違ったのか。
そんなことを考えつつも、
結局、
「歩いて帰るね」と伝えた。
運動にもなるし、まあいいか、と。
ただ――
ケーキの入った箱は思ったより重く、
手に食い込んで、じんわりと痛かった。
【小さな整理】
待ち合わせって、
時間そのものより、
『どうするつもりか、を
共有できているかどうかなんだな』と思った。
昔と同じつもりでも、お互いの感覚は少しずつ変わっている。
どちらが正しい、というより、
「あれ?」と思う瞬間が増えてきたこと自体が、
変化なんだろう。
次は、もう少しだけ具体的に伝えてみるか、
あるいは、最初から歩くつもりで行くか。
とりあえず、ケーキは無事だった。
